ニブイチ削除
あとしばらくすると俺は死ぬらしい、余命は1年足らず28まで生きられたことを幸福に思うべきか、それとも恨むべきか、そんな事を考えているうちに余命がどんどんとなくなっていく。
幸いな事に近年の技術発展により俺の脳をそっくりそのまま、電子にし生き永らえることができる、どんな仕組みかは俺にはそう理解できんが、命が助かるのならと二つ返事で了承した。
機械の身体は思ったより快適だった、高い所にある物が取りたい場合は左右どちらかの腕を根本から外し残った腕でそれを扱えばより遠くまで届く。
酒を飲まずとも酔うことが出来る。
沢山動いてもオイルをさせば問題ない。
しかしたった一つばかし不便な所がある、一ヶ月に一度メモリーの整理をしなくてはいけない。
俺の脳内?では前の脳の情報でほぼ満杯らしくバックアップをとった後にブラッシュアップを必要としていた。
極稀にバックアップを削除し忘れてコンピューターの容量を食ってしまうが気がついたら直ぐに消すため問題は無い。
しかしそれ以外では全く不便なところはなく充実した日々を送っていた。
しかしそんなある日またメモリー整理の日がやって来た、いつものようにバックアップをとった瞬間突然視界が変化した。
いや、視界がなくなった。
俺はニブイチに外れた。
貴方の人生から5分の時間を削除しました。