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第12話 「秘密の特訓」を満喫しようと思います


 またある日。

 守護の庭の庭でアバウトとセレナが訓練をしていると、そこにある女の子が訪ねてきた。


「おー、バリー!おひさ~」

 エレナがバリーと呼んだ人物。彼女はバリエルである。


「あれっ、エレナ?なんでここに?」

「修行だよ修業~、私も守護者目指すことにした!」

「ちょいちょい、私があれだけ誘っても「守護者にはならないー!」って断っていたじゃないですかー!一体何があなたをそうさせたのです?」

「それは内緒~」

「あー、わかりました。もしかして———」

(お願い当てないでー!)


 エレナの願いもむなしく。


「好きな人ですか?」

「いやーーー!」


 バリエルに正解を食らってしまったエレナは、山にこだまするほどの悲鳴を上げてしまった。それを聞いたアバウトは心配になり、弾丸のように走ってきた。

「エレナ、大丈夫か!?...あれ、君は...」

「あぁーっ、あなたはこの前の!」

 対面した2人の頭の中では、1週間前の記憶がフラッシュバックした。


「なに?もしかして2人は知り合いなの?」

「あ、いや知り合いっていうか...この前暴漢から助けていただいて。とてもかっこよかったんです」

「あー、へーそうなんだ、ふーん」


(あれ、エレナさんがご機嫌を損ねられた!?最後の一言余計だったかな...)


「へへーっ、そうでしょうそうでしょう。かっこよかったでしょう」

「あは、あははっ...あ、そうだ!オレ、アバウトっていうんだ。エレナとこうして訓練をしてる。よろしく頼むよ」

「この前エレナから聞きましたよ~。エレナ、とても嬉しそうに話していましたから」

「ちょ、バリ―!それは言わないのがお約束でしょ」

「でも、びっくりしましたよ。道端で助けたお兄さんが守護者になることを目指すなんて。私がそのきっかけを作れたのなら、とても嬉しいです」


 するとエレナは激しく反応した。

「お、お兄さん!?」

「私がそう呼んでいるだけです!」

 そう言ってバリエルはにこっと笑い、「それじゃ、スタン爺のところへ行ってきます」と残して守護の庭の中へ入っていった。




 その夜。アバウトの提案でエレナと2人だけの秘密の特訓をすることになった。

「ありがとな、エレナ。付き合ってくれて」

「付きっ...!?」

「あ、あぁ!練習にってことだよ...」

「あ、そ...そうだよね!びっくりした」


 エレナは今やアバウトといる時間が1日の大半を占め、彼のまっすぐな姿勢に魅力を感じていた。対するアバウトもまた、エレナに同じような気持ちを抱くようになっていた。そんな2人の距離感はドキドキ感満載の、通称ラブコメディスタンスと化していた。


「フォロが言うには、オレの霊力は少しずつ動くようになってきたって。元気な1割の霊力たちが頑張っているみたいなんだ」

「とりゃ~!」


 なんの掛け声かと思えば、次の瞬間にはエレナがアバウトの足を掴み、軽々と逆さに持ち上げていた。霊力により強化したエレナだからこそ発揮される怪力である。

「何してるのエレナ、離して~!」

「だって右足に霊力が停滞してるんでしょ!逆さまになれば落ちてくるかもしれないじゃん」

「霊力に自重はありません!...あ、落ちてきた」

「え、ほんと!?」

「嘘」

「ぶ~っ」

 エレナの作戦は失敗に終わったようだ。


「ねえ、アビー。明日は訓練のお休みの日でしょ?よかったら...あたしと出かけない?行きたいところがあるの」

「魔王城?」

「ちゃ・う・わ!そうじゃなくて、霊力スポット!なんて言うか、その...恋人の聖地的な」

「はっは~ん、さてはデートのお誘いかぁ」

 そういうアバウトも顔を赤らめている。

「ち、違うってば!スタン爺が言ってたじゃん、霊力は人とのつながりだって。だからそこに行けば何かわかるかもでしょ!?」

 デートのための理由付け感も否定できないが、確かに彼女の言うとおりではある。


「そうだな、行こうか!」


満喫小噺12

 霊力は人どうしのつながりや自然とのつながりがきっかけで育まれるものです。300年前の魔王封印以降にだんだんと広まっていったとされています。現在はノワールの守護者がおもに霊力を使用しています。

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