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少女とリンゴ

作者: ミディア寝子

こんにちは

ミディア寝子です

他の小説もぜひ読んでいただきたいです

どうぞ最後までご一読くださいませ

 あるところに、小さな女の子がいました。女の子はお母さんとお父さんと暮らしていました。お母さんもお父さんも働いていたので女の子は、学校から帰ると一人ぽっちでした。

 ですが、女の子には仲のいいエメラルド色の蛇がおりました。蛇はよく女の子の遊び相手になってくれたので、女の子はちっともさみしくありませんでした。

 ある日のことです。女の子は学校から出された宿題をしていましたが難しいのでなかなか終わりません。

 「まだ終わらないの?早く遊ぼう」

 と、蛇は女の子を急かしますが、なかなか終わりそうにありません。謝りながら問題を解く女の子に、蛇はこう言いました。

 「分かった、早く終わるように僕が手伝ってあげるよ。僕がこれから読み上げることをそのまま書いていけあいいから」

 蛇は、問題の答えを読み上げたのです。女の子は、「蛇さん、そんな悪いことしちゃだめだよ」と言いましたが、蛇は読み上げるのをやめません。

 問題を終えると、蛇は満面の笑顔でこう言いました。

 「バレないから、大丈夫だよ。それよりもさ、遊ぼう?」

 女の子は罪悪感を覚えましたが、次第に蛇との遊びに夢中になり、そんなことは忘れてしまいました。


 その日の夕方、女の子のお母さんが帰ってきました。

 「ちゃんと宿題やった?見せて」

 いつものようにお母さんはそう言います。女の子は「宿題」と聞いて、蛇とのやり取りを思い出しました。しかし、蛇が「バレない」と言っていたのを思い出し、思い切ってお母さんに宿題を渡しました。

 しばらく宿題を見ていたお母さんがふと顔を上げます。

 「これ…本当にちゃんと解いたの?」

 いつもは聞いてこないことを聞かれて女の子は少し焦りました。

 「う、うん。ちゃんと解いたよ」

 そういうとお母さんは「嘘だよね」と言い切りました。そして「誰にこんなこと教えてもらったの?」とも。

 お母さんは、女の子がこんなことを思いつくはずがないと分かっていたのです。そこで、女の子はこう言いました。

 「お母さん、ごめんなさい。実は、蛇さんと早く遊びたくて、自分で答えを見て写したの。ごめんなさい」

 ですが、そこでお母さんは気づきました。これは、蛇が女の子に強要したのだろう、と。

 女の子は素直で繊細な子だったので、たとえ思いついても実際に行うなど怖くてできないと確信したのです。そして、優しいからこそ蛇をかばっていることも分かりました。

 「答えがね、違うページの答えなの。それに答えまでどうやって辿り着いたかも書かれてないの。すぐにわかるから、次からはちゃんと解くのよ?それで、これも今からお母さんと解きなおしましょう」

 そう言ってお母さんは女の子に宿題をする準備をさせました。女の子が筆記用具を自分の部屋からとってくる間に。お母さんは蛇にこう言いました。

 「あの子を唆さないで。あの子はあなたを庇っていたけど、本当はあなたが答えを書かせたんでしょう?あなたの思いだけであの子にこんな悪いことを教えないで」

 お母さんはそう言いました。そして、女の子はそれを扉の前で聞いていたのです。

蛇さんは悪くない。女の子は心の中でそうつぶやきました。自分だって蛇さんに流されて答えを書いたし、蛇さんのことを言わなかったのは庇ったからじゃない。お母さんに何がわかるの?

女の子は、お母さんに対しそう思いました。そして気づいたのです。答えがずれていなければ、求め方を書いていれば。たとえ答えを見ていてもバレなかった。怒られなかった。


その日から女の子は、宿題を早く終わらせる方法を知ってしまったのです。知恵という名の悪を女の子は蛇から与えられました。

少女ははたして、幸せになるのでしょうか…?

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