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◇間章:敗北if(ヒュージボア)

こちらは本編とは無関係なif話です。シヅキがぐちゃぐちゃになります。

 避ける、斬る、離れる。同じ行動を繰り返すこと、暫く。懸念していたHP減少によるパターン変化なども見られず、あと少しでHPを削り切れそうな頃合い。

 繰り返される単純な反復作業に、眠気を堪えつつ突進を躱そうとして────全身に衝撃。

 起きたことが理解できないまま、今度は背中に衝撃が走り、激痛。


「──がっ!?」


 ヒュージボアのモーションが変化しており、変化前なら避けられていたはずの突進が直撃。シヅキは跳ね飛ばされ、外周の樹木に背中から叩きつけられていた。


(痛い、痛い痛い! 背中が……いや、それより足が! 動かない……どうすれば!?)


 樹木に勢いよく叩きつけられ、背骨が破断。シヅキの下肢は、最早どれだけ力を込めても全く動かなくなっていた。木を背にする形で、座り込んだ姿勢から動けない。

 そこへ、のそりと近づく大きな影。


「……ひっ」


 自らを見下ろす巨大な生物。シヅキは、原始的な、被捕食者としての恐怖、生命の危機を強く感じ、食いしばった歯の間から息が漏れる。


「……っ!クソッ、それ以上こっちに近づ──」


 それでも短い時間で覚悟を決め、手に持った短剣を突きつけ精一杯威嚇する。

 その姿を感情の宿らない瞳で見つめたヒュージボアは、おもむろに自身の巨大な牙をシヅキのやわらかな腹部へ突き立てた。


「ぁ……え? ぐ、げほっ……」


 腹部に感じる灼けるような熱と内臓を押し分ける異物感。そして、遅れてやってくる激痛。今まで体感したことのない痛みに、シヅキは反射的に身体を丸めようとし──再度腹部に突き刺さる牙。


「お……ごぉ……っ」


 ヒュージボアの巨大な牙は容易に腹膜を貫き、内臓にまで達する。シヅキはあまりの痛みに、叫び声すらあげられない。ただ激痛に呻き、身を丸めて身体を守ろうとするが──


「ぎっ!?やっ……やぇ゛っ……がぁっ!」


 シヅキの柔らかな腹部に多数の穴が開き、白い肌が血で染まっていく。ヒュージボアはまるで獲物をいたぶるように、自らの牙を用いてシヅキを何度も突き刺していく。


「うぉ゛……ぐっ…………ごぽ……」


 何度も、何度も。たとえシヅキの意識が混濁し、口から悲鳴ではなく血を吐き出しはじめても。まるでそれが本能に起因する行いのように、ヒュージボアはシヅキを貫き続ける。


「ぉ……ぁ゛…………」


 そして、数多の刺突の後。遂にシヅキのHPが尽き、リスポーン処理が実行される。

 人気のなくなった森の中、ヒュージボアは、不満そうにシヅキのいた跡を牙で掘り返し続けていた。


──────────

Tips

『敵AI』

 UGRの敵性エネミーに搭載されたAIは、動けない敵に対して残忍な行動を取るよう設定されている。

 この傾向は、敵性エネミーとして強いものであるほどより顕著になる。

──────────



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