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第十八話:新たな力

お待たせしました、第四章です。

(何事もなければ)毎日19時に1話ずつ、順次投稿される予定です。


第一話に挿絵(シヅキ初期装備verのデザインイメージ画)を追加しました。

よろしければご確認ください。


「……で? 試合のとき、負けたらわたしに食材を集めるようにって言ってた気がするけど。めぼしい食材ってのぁ、何があるのさ。イルミネのことだ、その辺りはちゃんと調べてるんでしょ?」


 宿の一室、寝台の上。シヅキとイルミネは、一糸纏わぬ姿で横たわり会話を交わしていた。

 イルミネはシヅキとは違って計画性がある。シヅキとのマッチング自体は偶発的であっても、そもそものプレイ目的としてある程度食材に目星を付けていてもおかしくはないだろう。


「ふぅ……。そうね、ゲーム内で情報を集めた奴がいくつかあるんだけど……。どうもこのゲーム、現実を上回る(・・・・・・)食品は、難度50以上の敵からしか入手できないみたいなのよね。シヅキ、その辺りとは戦えそう? 前提として、それが出来ないとどうにもならないんだけど」


「難度50以上~……? それはちょっと厳しいなぁ。憤怒の巨牛が48でしょ? アレを超える連中となると……もう少し鍛えてからかな」


 五十と少しの敵なら現状のシヅキでもなんとかできるだろうが、それにしても苦戦は必至だ。数を集める必要がある食材のために毎回死線を潜るのは、いくら痛苦を望むシヅキでもできる限り避けたく思う。


「ま、私とそう大差ない強さなんだしそんなものよね。あてはあるの?」


「ありがた~いアプデがあったからね。〈血刃変性〉とかいう等級Ⅳのスキルが見えてるから、とりあえずはそれを取ろうかなって。巨牛倒したときに経験値はがっつり貰えてるし、習得条件も……まぁ、故意に狙うならそこまで時間は掛からない類だし。〈血の剣〉ぅーん……」


 回数稼ぎに血の剣を使用し、シヅキは脱力して倒れかかる。結果的にイルミネへと覆い被さる格好になったが、これは決してシヅキが意図して行ったことではない。おそらく。


「きゃっ! ちょっと、いきなり抱きついてこないでよ」


「……この脱力も血刃変性でなんとかなんないかな~」



    ◇◇◇


「さて、検証の時間だ」


 翌日の朝。町からほど近いIDの中、ゴブリンの姿がちらほらと遠目に見える草原でシヅキは独り佇んでいた。

 イベントで多少獲得した経験値、それと憤怒の巨牛を倒したときに得た経験値を併せて〈血刃変性〉を取得する。


□□□□□□□□□□

〈血刃変性〉

アクティブスキル(等級:Ⅳ)

CT:10秒 MP消費:200


〈血の剣〉で生成された刃を任意の形状に変更する。

※形状は〈血の剣〉解除後も内部的に記録・保持される。


使用可能:短剣/片手剣/両手剣/槍/杖


消費EXP:800Pt

解禁条件:〈血の剣〉を累計100回以上使用する(101/100)

□□□□□□□□□□


「うーん、まずは……大きさ、それと材質からかな」


 ……その後、30分にも及ぶ検証作業によって、シヅキは血刃変性のルールを概ね把握した。それらは以下の通りだ。


『二つの短剣をそれぞれ別の形状に設定できる』

『全長1mを超えるものは作れない』

『二つの短剣を組み合わせてひとつの武装を形作る場合、上記の制限は2mにまで拡張される』

『剣や槍は作れるが槌や弓は作れず、刃の付いた槌は作れた、つまり生成物には刃がなければならない』

『刃の付いた盾は作れない、つまり生成物は武器でなくてはならない』

『しなる槍が作れる、つまり生成物は軟らかい材質を再現可能』

『武器が元々持つ破壊不能特性は見かけ上の硬度に関わらずそのまま保持されている』

『赫血の短剣の追加効果"攻撃命中時確率でHP回復"は一度の斬撃中でも()()()()()()()()()()()()()時点で判定がリセットされる』


「ふむ、ふむ、ふむ。……これで等級Ⅳかぁ。好みの形状に出来るってだけで、性能変化なしで経験値800はだいぶ重い気がするんだけど。血の剣使用時の脱力も、弱まるどころか生成物の大きさに比例して余計酷くなるみたいだし……」


 検証で判明した性質から、シヅキは効率的な利用方法を考える。〈血刃変性〉は血の剣の形状が変わるだけでスキルの性能自体に変化はなく、そうである以上は出来る限り有効な利用法を編み出さなければEXP800Ptの消費には見合わないだろう。


「ついでに検証した追加効果の発動条件も考慮するなら……最適解はあれかな。そこまで複雑なものが出来るかはわからないけど。〈血刃変性〉……ふぅん?」


 シヅキは新たな血の武装を作り出す。それは一見、何の変哲もない長剣のように見える。

 だが、シヅキがひとたびそれを振るうと、刃が大きく伸長し、複数の小さな刃に別れ鞭のような軌道を描いた。そして、がちりと音を立てて再び一振りの剣へ。


「蛇腹剣……いけちゃうんだぁ。あるいは案外これが想定解だったりするのかな? 仕掛け武器が作れるなら等級Ⅳも納得だ。……よし、とりあえずは試し斬りかな。ちょうど強さが把握できてる相手もいることだし」



    ◇◇◇


「は~……これヤバいな、強さも、扱いづらさも……」


 シヅキの傍らには、倒れ伏し、今まさに光となって消えようとしている『憤怒の巨牛』の姿。つい先日戦ったばかりであり、通常の〈血の剣〉との差異を確認するには丁度良いと考え、先ほどまで戦いを繰り広げていた。

 結果として、討伐に掛かった時間がおよそ半分程度になった。二度目の慣れを加味してもかなりの短縮だ。これなら、目的であった戦力の増強が十分に達成できたと言えるだろう。


「一応普通の剣としても振るえるけど、ちょっと加減間違えると勝手に伸びちゃうな。要練習だぁ。……これ、ワイヤーの巻き取り機構とか搭載できないかな……?」


──────────

Tips

『血刃変性』

 〈血の剣〉による伸長部位を変形させるスキル。

 使用者の思考を読み取り形状に反映させるが、それで別の武器種の形を取ったとしても内部的には武器種は元のままであり、当然スキルの使用制限も元の武器種に準ずる。

 これで大斧を形作ったとて、短剣で斧用のスキルを発動することは出来ないし、武器攻撃力が変動することもない。

──────────


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