10.やっぱり幽霊に婚活を強制されているんだが
「……なあ」
「なんですの」
「なんですのじゃねーよ!なんでまた俺の部屋に来てるんだよ!恨みが消えて昇天したんじゃねーのかよ!」
「『恨みが消えたら自動で天に昇る』などと誰が言いましたの」
「そういえば誰もそんなこと言ってなかった!」
よく思い出してみると幽霊もタマちゃんも『現世への執着が消えて天に昇る意思が生じた時』とか『満足して天に昇る気になってくれるかも』とか言ってた。
つまり本人がその気にならねーと昇天しねーってことかよ!
ちなみに一昨日、幽霊と友武さんが消えたのは、単にタマちゃんや俺に見られているのが気恥ずかしくなったかららしい。紛らわしいな!
「そういう貴方こそなんですの!月曜の朝一で結婚相談所に行くと約束してましたのに、心配してこちらに来てみれば案の定、9時を過ぎているのに布団の中で高いびきとは何事ですの!」
「ぐ……それは……いや、ちょっと待て。お前もう七代呪う必要無くなったんだよな?俺の結婚とか関係なくね?」
「関係ないわけないでしょう!友政様の子孫ならトモ様の子孫も同然!であれば私の子孫も同然!ならばその子孫が幸せな家庭を築くのを手助けするのは当たり前でしょう!」
「一昨日までと目的が真逆になってるのに手段が変わらないってどういうことだよ!?」
「一昨日までとは違いますわ!『誰でもいい』などとはいきません!私の眼鏡にかなう娘でなければ結婚は許しませんわよ!」
「むしろ迷惑度合が増してる!?」
「迷惑とはなんですの!感謝なさいませ!」
ちなみにこの部屋には再度呼び出された友武さんとタマちゃんも来ている。この幽霊を持って帰るよう二人に言ったのだが
「薫子さんは言い出したら聞かなくてね……」
「薫子ちゃんは即断即決即実行の娘ですから……」
と、二人揃って苦笑いしながら返してきた。役に立つ味方が居ねえ。とりあえずここは言うこと聞いておくしかないのか。
「お待ちなさい!そんな恰好で行くつもりですの!?」
「そんな恰好って。普通の休日の恰好なんだが」
「正装とは言いませんがスーツくらいはお召しなさい!」
「今日は説明聞くくらいで相手と会うわけじゃねえんだから……」
「大馬鹿者!まずは服装で貴方が真剣に伴侶を求めていることを相談所の担当者に示すのです!そうすれば担当者もより親身になり、紹介される娘のレベルも上がるというもの!戦いは今日から始まるのですわ!」
「ぐ……」
一応は理にかなってるので反論しずらい。
「ああっ、またそんな靴を履いて!こちらの革靴になさいませ。足元というのは結構見られてるんですのよ!」
「分かったよ……ちゃんと履き替えるから少し落ち着けよ……」
これ、俺の結婚が決まるまで続くの……?
「さあっ、準備ができたら出発ですわ!背筋を伸ばしてシャキっとなさいませ!」
青空に元気な幽霊の声が響き渡る。まあ、せっかく心配してくれるんだし、少し気合を入れていこうか。
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