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きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
第1章.母 Ⅱ
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第009縫.譲渡の儀式、完了!

 キュイぐるみのデザインと性能を、良く良く見てみると……




 キュイぐるみは、全体的に純白です。


 中でも、特筆すべきは驚異の「浄化」性能です。泥ハネ、泡飛沫は当たり前。何とスライムの体液までキレイに祓い清めて、常に純白をキープし続ける“スグレモノ”なんだそうです!


 しかも母は、初回特典として天日干しをした時のあの良いニオイ……『お日さまの匂い』もオマケしてくれたみたいです♡


 もうコレでその日からステキな匂いに包まれて、快適なきぐるみライフが送れる事間違いナシ♪











 キュイぐるみの頭部はカチューシャになっており、ウサギの中折れ耳と七色に光る長めのねじれ角が生えています。


 中でも、このねじれ角はアンテナの役割を果たすみたいで……放出系の魔法を唱える事が出来る場合、ねじれ角が長ければ長いほど放出する魔法の範囲、威力、命中精度を高めてくれるんだとか。


 己の拳や武器に魔法属性を乗せて闘う事が出来る場合、このねじれ角があるお陰で本来は殴った相手のみの単一効果しか与えられなかった魔法効果が、周囲を巻き込む事が出来る“凶悪仕様”へ早変わり。


 性能としてワタシの場合、こちらの方の恩恵が大きいのでは無いでしょうか?


 例えば、使える魔法が雷属性なら……モンスターを拳で殴った瞬間、周辺のモンスター達も電気ショックの巻き沿いを喰らってビリビリ……?


 例えば、使える魔法が光属性なら……地面に拳をメリ込ませると、地割れから聖なる光が漏れ出て自動的に体力回復出来る足場を周辺に生成……?


 ニックに教えて貰ったんですけど……「気」を手に常に巻き付いてる“シャンパンゴールドの帯”の状態にする事で、初めて魔法精製の元に出来るらしいんですよね。


って事は、実は……


 今はまだ魔法覚醒していないワタシが、どの属性の魔法を使える様になるかは分からないんですが。将来使える様になる魔法の属性で色々な闘い方が展開出来そうですね!


 だけどワタシの「気」は常に手に巻き付いている分、()()()は難しそうですけどね。











 キュイぐるみの胴部は、純白のチューブトップキャミソールの胸の部分にピンクのリボンが在り、その上から羽織る様に首から両肩、肩甲骨にかけて純白モフモフのファーで覆われてます。


 なので、デコルテの部分が大胆に空いており、胸を強調した作りになってます。


 また、背中に羽根の生えた人がこのきぐるみを着た時に背中からダイレクトに羽根を出せる様に、チューブトップキャミソールの後ろは半円に窪んでおります。




 キュイぐるみの腰部は表地は純白、裏地はピンクの二重ひらひらスカートになっており裏地がちょこっと見え隠れしてます。また先端はフリルになってます。


 胴部も腰部も、裏地はきぐるみが男の子の場合はスカイブルーのストライプ、女の子の場合はラブリーピンクのタータンチェック、と統一されてるらしいです。











 キュイぐるみの腕部は、手のひらが軟らかく出来てます。この腕部のお陰でどんなモノでもしっかり握れ、極上の“肉球具合“の再現を可能にします。


 また、手のひらが軟らかいという事はより接地面が広くなるという事です。つまり、発勁技の威力も上がるんです!




 キュイぐるみの脚部は、ウサギのモフモフブーツが剥き出しの美脚をより引き立たせます。更にモフモフブーツにはダイヤルが付いており、リボンを添える事で可愛さを強調してるんです。











 ワタシは、まるで運命の糸に引き寄せられるかの様に……ふと気が付いたら、いつの間にかキュイぐるみを着てしまっていたんです。



ポムポム、キュルルンっ♡



 お尻にある団子の様な尻尾がもふもふしてて、とてもキュートです♡ お尻をふーりふりっと♪ふーりふりっと♪



【このきぐるみの材質は『純白の一角兎』、キュイラージなんだよー。つまりコレがテイムぐるみになってるって事はねー】



……はひ?



【キョウコ様の“初代テイムちゃん”はこのコだったって事なんだよー! ちなみにボクは2代目ねー。3代目も異世界のどっかにいるハズだよー!】



……うそっ?



【ちなみにねー、この『譲渡の儀式』で譲渡されるのはきぐるみだけじゃないよー! 先代と旅を共にした“テイムちゃん”も、次世代に引き継がれるのさーっ】



「つまり、今この瞬間からニックがアナタのテイムモンスターになるって事なのよ……朱璃!」



えぇ~っ……!!?

   ホントですか、それぇ……?



【お姉ちゃんの“初代テイムちゃん”、ニックでーす。これからヨロシクね、ご・主・人・さ・ま!】



「朱璃、ニックを宜しく頼むわ。仲良くしてあげてね。私ではフェアリーバード()()()限界、最後までニックの強さを引き出し切ってあげる事が出来なかったの」


 そう言って母はワタシの目の前でゆっくり、スッと頭を下げました。


「朱璃、アナタならニックの強さを最大まで引き出せそうな気がするわ」


「でもお母さん、ワタシにキュイぐるみを譲渡してニックまで託したら……今日のゴブリンみたいな魔物がまたお母さんを襲ったら、身を守る術の無いお母さんはどうするの?」


「その魔物に襲われる確率が高いのがアナタの方だから、『譲渡の儀式』を急がせたの!」



 だから、気を付けて……と母。


「キュイぐるみがアナタに力をくれるのは、【きぐるみ羽織る、間だけ】だからね……」











「もうそろそろ、その理由を順番に教えてあげてもいい時期よね。まずは、お父さんとお母さんの馴れ初めからね……」



 そうして、ポツリポツリと母は話し始めたんです。ワタシへの『譲渡の儀式』を急がせた理由って、一体……?



 それに母は、今まで父の話を意識的に避けていた様な……父は現在、生きてるんですか? 父の身に一体、何があったんでしょう?

 ふぅ、ようやく本作のタイトルの本当の意味が判明しました。さぁ、次からはお母さんの昔話に入ります。恋バナ、とも云いますネ。


 お母さんには、しっかりノロけて貰いましょう (笑)

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