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きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
第2章.緑兎 ( ミント ) 団 攻防
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第041縫.振り付け初お披露目

 フィリルの“精神体”、『にゃんモード』がベースになってると云う事は……もうひとつの『清楚モード』、一体どこへ行ってしまったのでしょうか?


「対象物のニオイが予めインプットされてるモノなら、例えどんな異なる場所や次元に隠れてても必ず探し当てられるのよねぇ~」


 おいおい、わんこの進化系なのかね、フィリルさん。危なく、そうツッコんでしまいそうになります。


「コレが私の奥の手で“義賊”って云う、さっきの“傭兵”と同じ少し特殊なジョブなの。そのレアスキル、『無限探査(インフィニティ)』よぉ~!」


 フィリルがそう言いながらシャワーに手を(かざ)すと、指の先だけ水蒸気の様に消えて無くなります。


「今の私の体躯は霊体、なろうと思えば水にも空気にもなれるわよぉ~。この能力を使えば現実世界は勿論、ココロの世界にだって探しに行けちゃうんだからねっ!」


 うわぁ……正直、フィリルさんのレアスキルは大変魅力がありますね……行こうと思えば『天界』にだって行けちゃうって事ですか……?


 いえいえ、とワタシはぶんぶん首を横に振ります。


 そんな、命を粗末にしちゃダメっ! 行けるのは飽く迄フィリルの剥き出しの“精神体”だけなんですから、危険過ぎます!


 今のは、『最初から思い付かなかった』事にしておいた方が良さそうです。



「コレは私の中の『にゃんモード』の部分だけが外に飛び出た、言わば私の分身なのぉ~! 『清楚モード』では出来ない、“私”の強みなんだからっ!」


 フィリルはそう言いながら、いとおしそうな顔をして語尾に合わせて優しくツンツン!と人差し指でワタシの鼻頭を突付きます。


「だけどね、デメリットも存在するの。ココロを受け入れる相手の趣味思考、思想や宗教に至るまでカンタンに染まっちゃうの」


 そう言って、フィリルは少し俯き……フッと淋しく笑いました。


「だから、もし相手のココロが黒く染まっちゃってたら私のココロも黒く……一度受入れちゃったら自分では止められない、『諸刃の剣』なのよぉ〜」


 本当は、余り口に出して言いたく無いんでしょうね。


「それから、今から言う事は『清楚モード』は絶対に話さず封印しちゃうだろうから、私が教えてあげるねっ」


「私の一族の人でね、悪い相手に騙されちゃって……捕まった末に自分のココロを強引にドス黒く染めさせられて、身を滅ぼした人もいるらしいよぉ~。言った事、『清楚モード』には内緒ねっ♪」



トクン……



 ワタシはそれを聞いて、自分がフィリルを守ってあげなくちゃ!って母性が湧いて来るのを感じたんです。


「お近付きの印に、アカリさんにイイ事教えてあげるねぇ~! 本来、フィリルの本体は『清楚モード』がベースで、後から生まれたのが私なのっ」


「だから、もし私が目を覚ました時に最初から『にゃんモード』で居たら……相手を認めて依存してる証拠なのぉ~!」


 それと……とフィリルは人差し指をフリフリしながら言葉を繋げました。


「だからアカリさん、早く『清楚モード』に認められる様に頑張ってねっ!」


 それから、どうやら本当はこの後のコレを言いたくて仕方が無かった様です。


「私の『インフィニティー』、自分の身体に“水”を取り込まないと発動出来ないのよぉ~! でも、水を飲んでも浴びてもOKなのよねっ! “レアスキル”の類いは、発動条件が付加されちゃうのぉ~」


 ふ~ん……その為のミストシャワーだったんですね。フフッ。


 あっ、どうやらこの能力には時間制限が有るみたいですね。“精神体”が、霧の様になって消えて無くなりました。そして、フィリルは目が醒めてスクッと立ち上がり、縛った髪を(ほど)きました。


「ふうっ、ようやく元に戻れましたね」


 いい?と人差し指をピッと上に向け、ワタシの顔を覗き込みました。その時のフィリルの顔、何だかとても嬉しそうです。


「“レアスキル”は、厳しい発動条件に見合うだけの優秀な発動効果を有するって事なんです! ちなみに、この事を知ってるのは私の『仲間』だけなんですからねっ!」


 ワタシ、フィリルから自分の事を『仲間』と言って貰えてとても感激です! 溢れ出る様なニコニコ顔が、傍に居るニックにはたまりなく映ります。



────────────────


 こういう「秘密の共有」をすると、仲間意識の結束に大いに役立つんだよねー。


 だけどさ……秘密の話の割にはフィリル、楽しそうだねー。


────────────────



「じゃあ私、ミントセキュリティサービスに戻って事後処理をして来ますね! いつか、アカリさんと一緒に旅したいです。では、また再会を願って!」



『いてら~!』×2



 フィリルはツカツカと歩き、階段に足をかけた所で手をフリフリするワタシに振り向いてこう言ったんです。


「また会えますよね、アカリさん? いいえ、たぶん……その……女神さま?」











 あら、バレてます? まぁ、ミニウサギが視えてる位ですからね。なので、ワタシは空中に左手の親指と人差し指を“くの字”に伸ばして翳します。


 さぁ、初お披露目です! すると、左手からシャンパンゴールドの帯が出て来ました。そして、帯の端が次々と桜の花びらに変化します。


「きっと、また会えますよ!」


 そのまま、翳した左手を時計回りにゆっくりと“くの字”の指で弧をなぞる様に大きく動かすと……ワタシの姿が桜の花びらに包まれます。


「いえ、どれだけかかってもアナタを迎えに行きます!」


 最後は半身で“くの字”の指を顔の右下に当てて、小顔を強調しながら。


 初めては闇の中、ミニウサギに言ったあの言葉。まだ照れが有ったんですよね。でも今なら、自信を持って言えます!



「だってワタシ……『日本一アキラメの悪い女神』ですから♡」

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