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きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
閑章1.ワタシの過去
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第004縫.『力』の制御と昔話

 あの日、初めてゴブリンを見た時に何も出来なかった事。それをワタシは許せず、自分を責めてました。


 でもそれは、ゴブリンを倒せなかったからでも自分の身を守りきれるか心配になったからでも、どちらでも有りません。


 自分のせいで、お母さんを危険な目に合わせてしまうかも知れない。そんな自責の念だったのかも知れません。


 本当はそんな事なんて全然心配しなくてもイイくらい、ワタシのお母さんって本当はスゴい人なんですけどね、実は……


 でも自分の事を許せないワタシは、あの時偶然出せた力をもっと自由に引き出せる様に練習しよう!とココロに決めたのでした。











 ワタシは家の窓から空を見上げながら、ボーっと考え事してます。


「ふわぁ、夏の暑さもようやくひと段落したなぁ」


 現在、窓の外に見えるのは……空の一番高い所に在る、まるで鳥の羽根みたいな雲。空一面に細かい雲片が広がる、まるで魚の鱗みたいな雲。



チュンチュン……チュンチュン……



 この囀り(さえず )は、スズメが稲穂を啄み(ついば )に来たんでしょうか? ワタシは両腕を突き上げ、ん~っ!と大きく伸びをします。


 シュルンッと頬を撫でる様に通り抜けるそよ風が、何とも心地良くて。ワタシは何となく、こう考えたんです。




 確か、あの時……猛烈に『生きたい!』って願ったんです! もしかすると“生に執着するパワー”があの形となって現れたのかも知れません。


 もしその仮定が合っているのなら、今みたいな練習をしても無意味ですよね。生に執着する様なシチュエーションを作ってあげなくちゃ。一番手っ取り早いのは……



 ならば、いっぱい運動をして汗を流して、体力をカラッポにしてあげればどうでしょう?




 方針が決まったので、体力作りも兼ねて最初はあのゴブリンに襲われた家の裏庭を拠点にして、家の周りから走り込みをする事にしてみました!



タッタッタッタッタ……



 家の周りを走る内に、だんだん強張ってた筋肉もイイ感じに(ほぐ)れて来ました。よしっ、もうそろそろ家の周りから近所へと少しずつ範囲を広げましょう!



ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……ふぅ。



 そして、人目を避けながら過剰な位走り込みをした結果……ワタシはヒイヒイフウフウ言いながら、大量の汗を流してへばって寝っ転がってしまいました。


「よし、今なら……」


 ワタシは右手の平を上に(かざ)してみました。すると、目論み通りシャンパンゴールドの“帯”を放出する事が来たんです! ワタシ、よしっ!と両手をグーに握って大喜びしました。


 取り合えず、自分の意思でこの帯を放出する事には成功しました。


 しかし、“生に執着するパワー”が必要になる様なそんな極限の状況下じゃなくても、ある程度日常生活の延長上でこの帯を身体の一部としてコントロール出来る位に迄ならないとせっかくの『力』も使い物にはなりません。


 それには、どうしたらいいでしょう……?



 この帯を放出した時の「感覚」として……この帯を顕現して放出させた時に、自分の身体の何処かに在る『放出口』から捻り出した感じが有ったんです。


 恐らく、今回初めて自分の力でこの帯を放出したので……まだまだこの『放出口』も小さくしか口を開けてないのでは?


 となれば、やるべき方法はひとつ! 次は、とにかく数多くこのシャンパンゴールドの帯を放出させて……回数を熟して、『放出口』を解す為に口を大きくしてあげるトレーニングです!











 こうして、ワタシは小学校迄は走り込みを中心に、中学校に上がってからは合気道部に入り部活に汗を流しました。そして、合気道をベースとしてこの帯を自由にコントロール出来る練習を只管(ひたすら)繰り返しました。


 そのお陰もあって、大分この帯を自由に放出する事が出来る様()()なりました。


 でも、この帯を放出した後に『放出口』から長く伸ばせば伸ばす程コントロールが効かなくなって来るという問題が発生したんです!


 自分の思いの方向、思いの長さに、頭のイメージ通りに動いてくれないと……これまた、折角の『力』が使い物にはならなくなってしまいます。


「どうしよう……」


 ウジウジ悩んでいても仕方無い!とワタシは気持ちを切り替えます。いくら考えても、答えが出ない日だって有るんです。


「パンケーキ、食べに行きましょう♪ 帰り道に在るファミレス、美味しいんですって♪」


 こういう時は思わぬ所から答えがひょっこり転がって来るモノです。気分転換に、部活が終わった後に自転車に乗り、友達とファミレスに寄ってお小遣いでパクついてから帰りました。


 お風呂に入ってふぅ、とひと息つきながらドライヤーで髪の毛を乾かします。すると、ふと何気にテレビに流れる“ある番組”に目が止まります。


 流れてたのは、毎週ひとつずつ日本の色んな昔話を紹介してる番組。ふわんっと漂う髪の毛の甘い匂いにウットリしながら、止めたドライヤーを片手にテレビを見ます。


 しかし、次の瞬間……



「コレですよぉっ!!!」


ゴン!……ガランガランガランッ!

……ごふぅっ!











 ワタシは手に持つドライヤーを放り出して、思わずとんでもない一言を口走ってしまいながらテレビに齧り付いたんです!



 果たして、この番組で何を見たんでしょう……?

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