表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
第2章.緑兎 ( ミント ) 団 攻防
34/44

第034縫.羽織ってる、間だけ

 今の壁ドン♡で床の巨大な魔方陣が綺麗サッパリ消滅したので、中央の階段へ行ける様になったみたいです。


 ニックは、試しにワタシに聞いて来ました。



【お姉ちゃん、今の出来事でどういう事が立証出来たと思うー?】



「もしかして……ワタシが編み出した“胸キュン♡流格闘術”は、みんな拳に光属性魔法を纏わせた……光属性攻撃だったって事ですか?」



【そのとーりー! さすがお姉ちゃん、カンが鋭いねー!】



「では、何で魔法なんて存在しないハズの日本から来たワタシが……地上界で魔法が使えたんでしょう?」



【たぶん、お姉ちゃんに半分“女神”の血が入っているからなんじゃなーいー?】



 えっ、こんな所にも“女神”の血の影響が出て来ているんですか……? 階段を降りようとして、アカリはふと立ち止まってニックに聞きます。


「ねぇニックさん、地下室には何があると思います?」



【まぁ、階段の前にあんな魔方陣を用意するくらいだからねー。気を引き締めてかからないと、危険かもだよー!】



 それか、どうしても見られたく無い……隠して置きたいもの?



「ニックさん、お願いがあるんですけど……ワタシはここで見張って様子を伺いますから、長老さん達をここへ連れて来て貰えませんか?」



 もしその通りだとしたら、可能でしたら証拠隠滅される前に現場を圧えておきたいですし……ね。



 でも『ここで見張ってる』って()()()言ってあげないと、ニックの事だから心配して意地でも付いて来てしまうでしょうから……やっぱり、援軍は呼んで来て欲しいです。



【んー、分かったよー! だけど、無理はしないでねー】



 ワタシとニックはお互いにコクンと頷き、ニックはくるりと回れ右して、民家から外へ飛び出して行きました。ワタシは階段を降りて、地下室へ向かう事にします。



 何か危険な気を感じながら、ワタシは恐る恐る扉を開けました。すると、目の前に広がってるのは……事務所でしょうか?


 事務所には壁一面に木棚が設けられており、色んなオブジェが処狭ましと敷き詰められています。そして向こうにはこちらを背にしてソファーが向かい合う様に設置されています。


 だいたい、この地上界で盗賊団が事務所を構えているって事自体、異質に映ります。恐らく、強さの誇示なんでしょうか?


 ふとワタシが目線を斜め前に向けると、右向こうには磨りガラスの仕切りがあります。磨りガラスの仕切りには誰か複数のシルエットが見えており、その向こうから何やら声が聞こえます。



……きゃん、ダメぇっ、背中なでると……

……くうぅぅんっ……


…… “本能”には……逆らえないのっ……

……にゃあぁぁんっ……


……んっ……尻尾を……触らないでぇっ……

……めえぇぇぇっ……



 また磨りガラス奥の向こうから、女の子達とは別にもうひとつ声が聞こえて来ます。



……所詮オメーらの……能力なんて……

……『きぐるみ羽織る、間だけ』……


……良くも悪くも……全て借りパク……

……そのツケがこの低たらくっ……



「……はっ! 何か、色んな声が聞こえます!」


 そう叫んで、ワタシは急いで磨りガラスの仕切りを回り込みました。磨りガラスの仕切りの向こうで、ワタシが見たものとは……


 仕切りの向こうにもソファーが置かれており、そこには盗賊団『グランプス』の野郎共が2人腰掛けていました。彼らの足許にはイヌ、ネコ、ヒツジ……


 もとい拉致されたキュルムの町のきぐるみ少女達が、2人組にそれぞれのきぐるみを()()()()()()()()()()にされていたんです!


「うわぁ……きぐるみを着たキュルミーの女の子達を、まるで“借りて来たネコ(  ペット  )”みたいに……」



 コレって……絶対あーんな事やこーんな事をされて……最終的には、身体に焼印を押されて奴隷として売られて……


 ドナドナドーナードーナ……仔牛をのーせーて……



 その衝撃の光景を見て、ワタシの妄想がスパークして頭の中でぼんっ!と爆発してしまった様です。ぷしゅ……と頭から湯気を立ち昇らせて、頭をクラクラさせながらアカリはひと言呟きました。


「えっ……きぐるみをモフモフされると、力が抜けて腰砕けになっちゃうんですか? 無敵じゃないかって思っていましたのに……コレ」


 ワタシは頭をブンブン振り、頬を両手でパンパン!と叩いて2人組に言い放ちました。



「アナタ達、この子達にこんな事をして、何サマのつもりなんですか!」











「おっ、またキュルムの町の女が来やがったよ」



 長老さん達がココに来るまで、足止めして時間稼ぎしなくっちゃ!



「わ……ワタシは通りすがりの流れ者です! でも、人拐いの現場を見てしまったからには見過ごす訳には行きません! 何で、こんな事をしたんです?」


「ちっ、キュルムの町の住民じゃねぇ奴がコイツらを助けに来たって訳かぁ。だったら……教えてやるよ!」



 盗賊団『グランプス』の2人組……どうしてキュルムの町のきぐるみ少女達を拉致したんでしょうか?

【う・ん・ち・く♡】───────



《きぐるみの秘密》


 もともとキュルミーの闘い方は“きぐるみ”を媒体として、きぐるみとなったテイムモンスターの魂と憑依します。


 そして憑依したテイムモンスターの魂の力を借りて攻撃する、というスタイルなんです。


 彼女たち3人のミント団の女の子達は“量産ぐるみ”なので、主にテイムモンスターではなく野良の動物達が憑依します。


 憑依する以上、本来動物やモンスターが生まれつき持っている『モフモフされると力が抜ける』という“本能”まで引き継いでしまうのは、ある意味仕方無いのです。


 野性動物が異常なくらいテリトリーに入るよそ者を警戒しているのも、その為です。



───────────────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ