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きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
閑章1.ワタシの過去
3/44

第003縫.異世界への扉、開く

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【あらすじ】


 ほんの普通の女子高生だった、上村朱璃。


 そんな彼女が、異世界の住人達と戦う力を手にした……その理由とは?



【舞台】 日本


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挿絵(By みてみん)

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【朱璃のお気に入り♡パジャマ】

画:せん 様

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 ()()()()()()()()、ワタシは忘れもしません……あんな怖い思いをした時の事を。




 ワタシの名前は、上村朱璃(うえむらあかり)




 髪はダークブラウン、自慢のサラサラロングヘアーです。髪のお手入れは、毎日欠かせません。くるりとターンをすれば……ルン♪  ほら、ローズヒップのイイ匂いが周りに漂うでしょう?


 目の色は黒です。ちなみにカラコンは入れてないです。瞳に指を近付ける行為が怖くて、昔からコンタクトレンズはダメなんです。でも、メガネ女子ではありません♪


 身長はだいたい155cm、平均的な女子高生の標準身長と、ほぼ同じ位でしょうか? これでも、最初はチビだったんです。合気道を始める様になってから、身長が伸びたんです。


 お胸の大きさは……Cカップです。お昼休み時間の女子トークで、友達から男の子達の視線が気にならない?とかよく聞かれます。大きな声では言えませんが……実際、気になって仕方無いです。(ボソッ)


 でもこういうの、キャイキャイ喋ると楽しいですよね!


「ふぅ、男の子ってバカ……♪♪♪」



 そんなワタシですが、実は困ってる事がひとつあるんです。それは、物心ついた頃からずっと……周りの皆から“フシギちゃん”って呼ばれてる事なんです。


 そう呼ばれる様になったのは、ワタシがお母さんに連れられて小学校の門を潜くぐった辺りからみたいなんです。


 その時の事を、こう振り返ります。











 あの時は確か、桜のアーチが新しい世界を前に及び腰になる小さなワタシの背中をポンと押してくれて……桜の花びらの群れが優しくサラサラと、ふわり甘い匂いでワタシを包み込んでくれましたっけ。



 どうやら、ワタシはその時から他の人には無い不思議な能力……普通の人には見えないモノが『視え』てしまう能力をすでに持ってたみたいなんです。


 確かに、最初は怖かったですよ。宙空に、あっちにフワフワフワ……こっちにフワフワフワ……って浮いてるユーレイの人達が、ハッキリと『視え』ちゃう訳ですからね。


 でも、そういう人達って意外とフレンドリーなんですよ。ひたすら“お話相手”になってあげれば向こうも敵意を抱く事はまず有りませんし、襲われる事も無いですし。結構気さくなんですよ、あの人達。



 あの曲がり角向こうの三郎さん……野良ネコのテリトリーに入って危なくビリビリに引っかかれそうになったんですって!


「だから言ったでしょ、ワンちゃんネコちゃんみたいな動物はね……ワタシみたいな人間と違って皆ユーレイさん達の姿が視えてるんですよ! フフッ、今度からは気を付けて下さいね♪」



 何故か同じ人としか話せなくて……会話が最近マンネリ化して来たんですよね。他の人は、何処に居るのでしょうか?


「アナタ、この世界に思い残しがあるからこの地に縛り付けられてるんです。まずは一歩、踏み出しましょう! アナタのテリトリーの外の世界で、皆待ってますよ♪」



 要は『寂しがり屋のかまってちゃん』なんです、あの人達はね。こちらから手を振れば、笑顔 (?) でちゃんと振り返してくれますし。


 時には喜んで、時には励ましながら……たまーにココロを鬼にして、ユーレイさんの概念を逸脱した行為を強要 (??) させたりもするんですけどね。


 こういう事ばかりしてますから、ワタシの周りのユーレイさんだけ何時までも成仏してくれないんでしょうか……?











 でも……ワタシが10才を迎えた辺りから、ある異変が出て来たんです。



ザザザ……ザザザ……

   ズッ……ズズッ……



 何と、ワタシの瞳にユーレイの人達以外のモノが『視え』始めたんです! 初めて視たのは緑色の体の小鬼……何気に見たファンタジーの絵本に載ってた、ゴブリンってモンスターです。


 ゴブリンが暗闇の穴から出て来た時にワタシは、初めて見てしまったんです! ゴブリンが……ユーレイの人達を食してるのを! あまりの恐怖に最後まで見れず、その場で泣き崩れてしまいました。



ゲ……ゲケッ!?



 その時におそらくゴブリンと、目と目が合ってしまったのでしょう。お互いが『視え』る事で「存在認識」が成立したと思われます。『視る』事が出来ない普通の人は、ゴブリンも存在に気付けません。


 ゴブリンは、体躯を揺らして襲って来たんです! ワタシを、“餌”と認識して!



ギシャーッ!ギシュッ!

   ギッ!ギッ!ギーッ!



 ワタシ、死にもの狂いで抵抗しました! でも、ポカポカ叩こうとしても何故かスカッスカッと空を切るだけで触る事すら出来ないんです。目の前に、口を開き牙を剥き出しにして涎をボタボタ垂らしているゴブリン達。



く……くちゃ(臭い)い……



 その時、ワタシは涙目をギュッと(つむ)り『生きたい!』とココロで強く叫びました。


 その魂の叫びが、ワタシの中の“未知の力”を呼び覚まします! 何と、両手のひらからシャンパンゴールドの“帯”が伸びゴブリンに絡み付いたんです!


 今まではスカッスカッとゴブリンに掠りも出来なかったんです。それが、“帯”に絡み付かれると「実体化」して直接触れる事が出来たんです!


 その事にビックリしたゴブリンは、ワタシの事も放り出して一目散に暗闇の穴へと逃げ帰って行ったんです!











 ゴブリンが逃げたのを確認した後にワタシ、ホッと安心して緊張の糸が切れたのかスゥとそのまま意識を手放したんです。



 ひょっとするとワタシの事を“餌”と認識してしまったゴブリン達だから、今後もいつ襲って来るか分かりません。そんな彼らを相手に、どう立ち向かって行けばイイんでしょう……?

【う・ん・ち・く♡】──────



《異世界の住人達》


 朱璃が生まれつき有してた「霊視」の能力。普通の人間でも霊視出来る者は稀に居ますが、精々ぼんやり認識出来る位。


 地縛霊を土地の縛りから開放したり、ユーレイの人達の『因果律』にまでガチャガチャ介入出来るのは朱璃だけなんです。


 そういう下地があった上で、朱璃が10才を迎えたのをきっかけとして「霊視」が新たな進化を生みます。それこそ、『異世界の住人』達が視え始めた事。


 異世界ファンタジーと云うのは、異世界に行けたからと言って本当に異世界の住人達と“直接”戦える者は極稀なんです。眼に視えないナニカに、何も出来ずに殺されるのがオチなんです。



 そう云う意味では『異世界の住人達が視える、直接触れる』能力こそ本当の意味での、現実に即した「チート」なのでは無いか、と思われるのです。



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