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きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
第1章.母 Ⅲ
22/44

第022縫.異世界へ突入です!

 ガーゴイルを破壊してワタシの元へ駆け付けた母ですが、あるモノを見た途端に先程までの余裕が消え去ってしまいます。


 それは何かと言うと……



「朱璃、その“次元の歪み”……」


「お母さん、さっきガーゴイルの破壊光線が巨大な岩を抉った時に、この“次元の歪み”も影響を受けちゃったみたいなんです……」



 ワタシ、その場にへたり込みます。なぜなら次元の歪みが、最初に見た時よりも半分くらいまで縮まってたからです。











 でも母はそれを見るなり、考えるよりも先に身体が動いてました。


 何と直接触らない様に、両手に全ての霊力を込めて次元の歪みの切れ目を抉じ開けようと試みたんです! そのお陰で“次元の歪み”は少し大きさが拡がったんです。


「落ち込んでるヒマは無いわよ、朱璃! この“次元の歪み”に飛び込んで、異世界に行きなさい! お父さんを……追いかけたかったんでしょ?」


「でも、そんな事をしたらお母さんが……」


「私の闘い方、見たでしょ? どっちみち、これからも『白い巫女』である私を排除したい黒幕連中がモンスターを送り続けるハズだからね!」


 そして、次元の歪みに目配せしました。


「そうなれば、コレもいっぱい出現するわ! 同じ黒幕連中が送り込むモンスターだから、おそらくどの“次元の歪み”に飛び込んでも同じ異世界に辿り着くハズよ!」











 この時母はひとつ、ワタシに敢えて言いませんでした。確かにどの次元の歪みに飛び込んでも同じ異世界に辿り着くけど、着地点がバラバラになる可能性が有る事を。


「あと、1度異世界に行った事のある私からひとつアドバイスするね。異世界で日本名は通用しないわ、より“響き”で伝わり易いカタカナで名乗るのよ!」


 そして母は、ニックにワタシを託したんです。



「ねぇニック、私の魔力はもうすぐ限界だから、コレから先はニックにお願いするわね……私が駆け付けるまで、朱璃の事をお願いね……」



【キョウコ様、分かりましたー。さ、お姉ちゃん、行くよー!】



「お母さん、後で必ず合流しましょうね! 向こうの異世界で、待っていますから!」



 そう言ってワタシはニックと共に、次元の歪みの中に飛び込んだのでした……






────────────────






 2人が飛び込んで暫くすると次元の歪みは縮んで行き、消滅してしまいました。見届けた母は、バチッと弾かれゴロンと揉んどり打ちます。



「条件めっちゃキビシイけど、私にも有るのよ?……朱璃みたいな()()()がね」


 母の手のひらは、両方ともポゥっと仄かに輝きを放ちます。これは、霊気の光では無さそう? 手のひらをグッと握り、天に突き上げます!


「こー見えても『白い巫女』の私、“まだまだ現役”なんだからねっ!!!」ふんすっ。



 自分の最低限の責任を全てやり遂げた母は、ヨロヨロと力なく立ち上がります。すると、それと同時に林の奥からとある人影が。



「あ、あなたは……」






────────────────











・地上界






 ここは『地上界』と呼ばれる、日本とは違う異世界です。



……んぺっ。



 少し斜め上の方の上空に出現してた“黒い瘴気が滲み出るヒビ”から、女の子座りのまま吐き出されたワタシ。ニックもくるくる横回転してます。



【あそこ見て、お姉ちゃん!】



 陰気に包まれた森の向こう、何やらゴソゴソ動く人影が在ります。どうやら、盗賊団の人達ですね。森の中で一際大きな木の(うろ)に押し込められてるのは……どうやら町娘の皆さんの様です。


 あまりに規模が大きくて、まるでマングローブの木の根元みたいです。この近くに、町があるんでしょうか? いえいえ、それより盗賊団が町娘を捕まえてどうするんでしょう?



「ニックさん、無事に“次元の歪み”を抜ける事が出来たみたいですね!」


【お姉ちゃん、この異世界では“次元の歪み”の事を『ワープホール』って言うのー!】



 どうやら人数は盗賊団が5人、町娘の皆さんが4人ですね。計画通り町娘を拉致した「勝利の美酒」で全員酒を煽っておりベロンベロンです。


 酒徳利をガンガン叩いて盛り上がってたへべれけな盗賊団、用を足しに千鳥足のまま5人揃って草むらへ向かいます。



シャーッ……



「んー、何か夜空がキラリ光ったよーな……流れ星かな? うぃー、ひっく」



 呑気に夜空を見上げる5人組。暫くすると、その正体が分かりました。きぐるみを着た美少女が飛び込んで来たんです!



浴びせ倒し……?

フライングボディープレス……?











 5人の盗賊団は皆ゴロンと揉んどり打ち、ワタシは彼らのお陰でキズ1つ無く安全に着地出来ました。



【もう異世界に来ちゃってるからさー、“アカリ”って名乗っちゃいなよー!】


「その方が良いかも、ですね」



 盗賊団の人達をガン無視して、2人だけの世界で盛り上がっています。


「あ?……なんだぁオメェはぁ?」


「アレが黒い瘴気のヒビを通ってどっかに飛んで行ったと思ったら、今度は小娘が落ちて来たぜぇ?」


 今度は、盗賊団の方が何故かニックだけガン無視します。ワタシ、朱璃……ここではアカリでしたね、だけ商品価値があると踏んだんでしょうか?


「この小娘も、オレ達がかっ拐っちまおうかぁ?」


「構わねぇよなぁ!」


 盗賊たちに好き放題言われ、ワタシはカチンと来ました。


「アナタ達、ワタシを“かっ拐っちまおう”ってどういう了見ですか!」


「だってオレ達、泣く子も黙る盗賊団『メフィスト』だから当たり前じゃん……」



ひゅうぅぅぅ~



 うんっ、当たり前の返答ですね。場もシラけますよ。これにはワタシも、顔を真っ赤にしながら……


「あ、アナタ達をクッションにしたワタシも悪いですけど……ふ、不可抗力ですから、コレ!」


 ニックは、ぷうっとふくれっ面です。笛吹ケトルみたいに、頭からピーッピーッと湯気が立っています!



【ねーねー、お姉ちゃんもそこの人達もそーなんだけどさー。ボクだけ蚊帳の外なの、どーしてー?】



 このグダグダなやり取りに、黙って聞いていた盗賊団の親分もついに……


「えぇぃっ、問答無用だぁっ! みんなぁ、やっちまえっ!」



 ……『情けは無用』って事ですか。でも若干1名、気になるセリフを言っていた人がいましたね。その人は一番最後に、と……


 それに、この窃盗団の人達……弱い! 先程、ガーゴイルとの熾烈な闘いを生き残った事がワタシにとって大きな自信に繋がってます。











 えーと、盗賊5人をサクッと倒すには……



 ……やはり『手前に引き込みながらドン』、コレに限りますね! コレをするのに丁度良い“胸キュン♡流格闘術”は……



 それはもう、あの“連携技”しかないでしょう!



 ワタシの中では一体、どの技とどの技を連携技として組み込もうと考えているんでしょう?

母の京子編、このお話 (日本編) の続きは第3章【花樹王編】の冒頭にお話し致します。


それまで、地上界でのアカリの活躍をお楽しみ下さいませ。

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