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きぐるみ羽織る、間だけ……  作者: 上村朱璃
第1章.母 Ⅲ
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第019縫.ガーゴイルの攻略法

 これだけ向こうの異世界の“黒幕”連中に目の敵にされてるのでは、ますますもって『天界』で頑張ってる父の身が心配ですね。


 もう「あの事」を、母に隠してる場合では有りません! アレを使って、ガーゴイルを“瞬殺”してしまいましょう!



バタバタバタ……バタバタバタ……



 ニックはアーアーウーウーと喚きながら、右往左往してます!


「お母さん、あのガーゴイルってどうやって倒せばいいの?」


「あのガーゴイルにはね、打撃も魔法もダメなの! でも、闘い方はあるハズよ! だから、朱璃は私が守ってあげるわ! 溜めからの『()()()()()()()』で……」


 何故、このタイミングで溜め攻撃を? いえ、ひょっとして…… 言葉の途中ですが、ワタシはスッと腕を横に差し出して母の行く手を遮ります。


「お母さんはそこで見てて! お母さん、足を患ってるんでしょ? 足を狙われたら、ひとたまりもありませんからね! ワタシが何とかします!」


 いきなりワタシの口から出た、娘のひと言に……母もビックリ!


「でも朱璃、アナタだって闘うどころか親に手を上げた事すら無いじゃない? 一体どうやって……」


 そこまで言った所で、母はアタフタしてバタバタしてるニックと頭同士ぶつかってしまいました。



ごいん……っ!



 両者ナルト目、ダブルノックダウンでぶっ倒れてる横を流れる様にすり抜けて……ワタシは身を屈めながら、ガーゴイルの足元に接近しました。しかもその時、同時に砂を一握り掴みながら。


 やはり目の前でガーゴイルと対峙すると、ワタシの瞳には先程見てた時より数倍大きく映りますね。


「お……大きいですね……いえいえ、気後れしてはダメっ、ワタシ!」


 取り合えず、ガーゴイルの一撃目を避ける事さえ出来れば……その場の緊張感は解けるハズです!


 ガーゴイルが、フクロウみたいに首だけワタシの方に向けます。



ギギッ……!



 ガーゴイルと目と目が合う、まさにそのタイミングでワタシは握っていた砂を思い切り下からガーゴイルの目にぶつけたんです!


「コレでどうです?」


 超至近距離からの目潰しをまともに喰らい暴れてるガーゴイル、一撃目の地面パンチを避ける事に成功しました!


 それに気を良くしたのか、ワタシはその流れでガーゴイルの首を上手く手繰(たぐ)ります。


「ミルキーウェイ?……ウェーブスウィンガー? 正式名称はどっちか忘れましたけど……」


 そして、ワタシは回転空中ブランコみたいにガーゴイルの背後に回ります。ガーゴイルが振り向いた時はもう既に、ワタシは空中から襲いかかっていました!


「先制攻撃は頂きです、『でこピタ♡』!」


 ワタシは、神気で頭部をコーティングした状態でゴブリンに頭突き、『でこピタ♡』を思い切り喰らわせました!



ガイィィィ……ン!


ギギ?



「痛っつつっ……まるで効いて無いじゃないですかっ!」


 『でこピタ♡』は失敗しましたが、今度はそのまま着地際ガーゴイルに後ろから抱き付くのと同時にガーゴイルの腕を自分の腕で絡め取ります。


「これなら……どうですかっ?」


 その体勢のまま、ワタシは猛ダッシュし始めたんです!


「爆走ホールド……」


 猛ダッシュの勢いで身体が前に流れるのを利用して、両足で踏ん張ったまま思い切りガーゴイルを背中からブン投げたんです!


「そのままお空の彼方まで飛んで行けぇっ! 『バックハグ♡』!」



ブォンッ……!



 そしてワタシは、バックハグ♡で投げ飛ばしたガーゴイルに向かって少し大きめの石を数個、追加攻撃で投げ込みます。


 一方、ブン投げられたガーゴイルはその勢いでギュルルル……と縦回転しながら飛ばされます。



ファサッ……!



 でも、ガーゴイルは空中で大きな漆黒の翼を広げる事で突然静止して見せたんです!


 しかもその後、手を(かざ)して横に振るとグニャリとした空間が出現して、追加攻撃で投げた石がガーゴイルに届く前にその空間に全て阻まれます。


 まるでその姿は、ガーゴイルが空中から悠然と朱璃を見下ろしてるみたいです。


「そう言えば、ガーゴイルにも翼って生えてるんでしたっけ。この技はまだ未完成だから、『翼の生えたモンスターには効果無い』、と……それにさっきのグニャリとしたアレ、魔法なんですか……?」


 ワタシの頭の中は、至って冷静です。そのお陰でしょうか、朧げながら……残り50%のヒントが霞んでた様な気が……



 さぁ、目の前のガーゴイルに集中です! 先程、ワタシは考え得るひと通りの攻撃を全て試してみました。



 でも……











 打撃技もダメ、投げ技も極め技もダメ、おまけにワタシは魔法が使えないし……コレって俗に言う、「詰んでる」って状態じゃないんですか?


 しかも、翼のある相手では逃げてもすぐ追いつかれます。ココロが存在しない無機物モンスターなので命乞いも通用しないでしょうし……



 でも、これから異世界に行った先、闘うのはワタシなんです。何時迄も母の助けを宛てにしてはダメなんです。考えるんです、ワタシ!


 こういう時、もし私が母の立場だったら……どうするでしょう? どうして母は、あの場面で()()()()をチョイスしたんでしょう?




 ……あっ!!!

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