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友達

 お昼御飯を食べた後、武器に加護を与えることになった。午前中と同じ部屋へリュカ様、モルガン様と一緒に行く。部屋の中は私たちが離れた時と変わっていない。机に武器が並び、部屋中に武器の入った箱が置かれていた。

 私は早速、武器に加護を与える。


「お疲れではありませんか」


 リュカ様が心配そうにしている。


「初めてのことで色々びっくりしましたけど、大丈夫です。着替えの後に休みましたから」

「すまないな。今日中にあと二箱はお願いしたいんだ」

「二箱じゃなく十箱でも大丈夫です!」

「じゃあ、頼むって冗談だよ。睨むなって」


 私の言葉に乗っかったモルガン様を、リュカ様が睨んだ。


「あの、本当に大丈夫なんです。それに、多い方が騎士様たちも嬉しいですよね」

「今日は聖女の仕事の初日です。二箱にしましょう」

「はい」


 リュカ様がにっこり笑って言うから、私はうなずくしかなかった。圧がすごい。

 少し気まずい空気の中、モルガン様が武器を並べる。私は祈りながら、この空気を変える会話を探した。


「あっ、そうだ。モルガン様は騎士様だったんですね。お昼に聞いて、びっくりしました」

「そうそう、俺の家系は代々騎士を輩出する家柄なんだ。だが、小さい頃は体が弱くてな。三男ということもあって、祈りの力が目覚めたらここに入った。その時リュカに会ったんだ」

「そんなに前から友達なんですね」

「友……」


 リュカ様が嫌そうな顔をした。


「そうだな!友はすぐに熱を出す俺を看病してくれたり、神殿生活に慣れるよう助けてくれた」

「すぐに熱を出すのは、体が弱いのに走り回っていたからだ。歳が同じだからと、フォローするよう頼まれて仕方なくだ」

「そんなこと言うなよ。一緒に神殿を抜け出したり、調理場に忍び込んだりして、楽しかっただろう?」

「止めるのを聞かず、勝手に動き回っていただけじゃないか。その度になぜか私まで叱られて、本当に辟易していた」


 リュカ様が拳を握りしめて、強く強く言う。さすがに覚えがあるのか、モルガン様は目が泳いでいる。


「あー、そんな訳で神殿に二年近くいたんだが、だんだん走っても熱が出なくなってな。多分、祈りの力のせいだろう。俺のたっての希望で、十一の時に騎士団に入ったんだ」

「神殿側も手に余っていたので、それはもう喜んで承諾していました」

「ははは、そこは否定できんな。まあこうして、何かあると神殿に繋がりがある俺が、派遣されるようになったって訳だ」

「そうなんですね」

「リュカが大神殿を出て地方の神殿長になった後も、騎士団の演習や魔物討伐で近くに行く度に会っててな。その度に小言のようなことを聞かされるんだ」


 モルガン様はうんざりした顔をした。


「リゼット様、こいつの言うことを信用してはいけません」


 今度はリュカ様がうんざりした顔をする。私はおかしくなって、声を出して笑った。


「ふっふふふ」

「笑われちまったな」

「ごめんなさい。ふふ」


 私は笑わないように我慢する。でも余計におかしくなって笑ってしまう。怒ってないか心配になって二人を見たら、二人とも笑っていた。



 二日後、部屋いっぱいにあった武器の加護の付与が終わった。


「じゃあ、これで終わりだ。リゼット様、ありがとな。お疲れさん」

「モルガン様はこれから騎士団ですか」

「そうだな。数日後には魔物討伐へ出るし、次に来るのは夏過ぎるか」


 そうか、魔物の討伐に行くんだ。私が心配で不安になっていると、モルガン様がニカっと笑った。


「そんな顔すんなって。俺は人より丈夫にできてる。それに一応神官のはしくれだからな。わずかだが祈りの力もある」

「それでも……。あっ!なら祈らせてください」

「えっ良いのか?聖女様直々に」

「ぜひ」


 私はモルガン様に手をかざすと、力を込めて祈る。


「無事に帰って来れますように」

「うお、こりゃすごい」

「上手にできていますか」

「でき過ぎだ。竜が封印できそうなくらいだ。ありがとな」


 モルガン様は大げさに褒めて、また笑った。


「今度来る時は、英雄を連れて来るから、楽しみにしててくれ」

「英雄ですか」

「甥っ子なんだ。今年十四だから、リゼット様の四つ上か。良いやつだぞ」


 私は少年になったモルガン様を想像する。うん、仲良くなれそう。


 この想像は、次の日から始まった授業で打ち砕かれることになった。

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