第七話
「ゴブリン…」
やばい、ゴブリンだ焚火に近づいているということは魚を狙って?もしくは煙におびき寄せられた?
「とにかく倒さないと」
武器はナイフ一本だけ、これで勝てるか?もっといい方法はないか?
「石を投げる?」
足元を見るが良さそうな石はない
「何かないか?」
魔法?火は出せるが何故出るのかはわからないし、飛ばせるかどうかもわからない
高速回転する勇悟の思考に一つのアイデアが閃く
「あれを使ってみるか」
深呼吸をして心を落ち着ける、ゴブリンに意識を向けて右手を出す
「落ちろ」
ボコッとゴブリンの足元に穴があき吸い込まれるように落ちる
「今だ!」
全速力で駆け寄りながらナイフを抜く、どうやらゴブリンは何が起きたかわかっていないようだ
「くっらえー!!」
両手でナイフを握り穴から見えるゴブリンの頭めがけて振り下ろす
ガツッと音がする
「グギャッ」
皮膚は切り裂いたがゴブリンの頭蓋骨が硬く弾かれる
「くそっ」
ガツン、ガツンと何回も振り下ろすが頭蓋骨を貫通させることができない
「ナイフじゃ駄目か」
何か他の方法を考えないと、ゴブリンはグギャグギャと痛みに苦しんでる今のうちに他の方法を
「何かないか?」
周りを見渡してあるものを見つける
「そうだ!あれだ」
ナイフをその場に置いて走り出し、目当てのものを両手で抱えてゴブリンのところへ戻る
「これで、終わりだ!」
両手で持った岩を勢いよくゴブリンの頭へと落とす
ゴツンと大きな音とバキッと何かが割れる音がする
「グギッ」
ゴブリンの声が聞こえなくなる、どうやら息絶えたようだ
「終わったー」
地面に身体を投げ出し、大の字に横になる
「疲れた」
初めての戦闘で思ったより体力と精神力を使ってしまったようだ
「そうだ、穴って解除できるのか?」
さっき気絶した時には消えていたし、解除したら穴が埋まるんじゃないか?
「落とすときは落ちろって思うだけだったし解除って言えば戻ったりして」
手を向けて「解除」と唱える
すると穴は一瞬で埋まり中にあった岩とゴブリンの死体が出てくる
「解除しても中のものが埋まるわけじゃないのか…」
出てきたゴブリンの死体を見ると首が変な方向を向いている
「頭蓋骨じゃなくて首の骨が割れた音だったのか」
血の匂いがあたりに広がっている、血の匂いとかで他のモンスターとかきても困るし川に流そう
ナイフを拾って腰につけ、ゴブリンの片足を持って川へと引きずる
「意外と軽いな」
見た目より全然軽い、筋肉とかは思ったよりないのかもしれない
「骨も頭蓋骨以外脆いのかもしれないな」
そんなことを考えながら死体を川へ流す
気がついたら周りがだいぶ暗くなってしまっている
「そうだ、燻製はできたかな」
焚き火へ近づき燻製の状況を見る
「水分も抜けてきてるし、色も付いている完成かな」
三脚から魚を外しそのまま腰へつける
「流石にこれ以上暗くなると行動できないな」
そろそろ寝る場所を探さないと
「今から洞窟を探すのは無理だし寝床を作るのはもっと無理があるよな」
そしたら…木の上だな
「地面で寝るより多分安全だろ」
森へ入り身体を固定するための蔦を取って登れそうな木を探す
川からあまり離れないようにしながら歩く
「この木にするか」
良さそうな木を見つけて登り、人が乗っても大丈夫そうな太い枝に腰を下ろす
「よし、これで身体を固定すれば大丈夫だろう」
幹と腰を蔦で結ぶ、切れないように二重にしておく
幹に寄りかかるようにして身体を落ちつける
「ふぁ…」
あくびが出る、思ったよりすぐに寝れそうだ
「やっぱりすごい疲れているんだな」
瞼が重い、眼を閉じるとすぐに寝てしまった
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