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第七話 友人と話してSAN値回復

「うわぁあああああああああああ!!」

「うぉおお!? 何だよ急に!?」


 俺は絶叫しながら頭を抑える。

 死んだ、俺、頭潰されて……あんな悪臭がする化け物に、俺、食われた……!!


「死んだ! マジで死んだ!!」

「え!? 声かけただけろー!? そんなにビビんなくても」

「死んだ!! 死んだ!! 頭、頭食われて……そんで、……っ? ん? なんで、俺喋れてるんだ」

「無視かよ!!」


 隣から、ノブが突っ込みを入れる声が聞こえた。

 なんで、ノブの声が聞こえんだ? あの世? だったらノブも死んでないとおかしいだろ。

 というか、喋れる、よな。間違いなく。

 俺は自分の手のひらを見てから、隣の方に立っている人物の方へと顔を振り向く。

 裏手で、一瞬無反応だった俺に、微妙な表情をするノブがいる。


「……………は? なんでノブがいんだよ」

「お、おー! 反応やっと帰って来た! こえーって急にっ!! 唐突に大声上げたと思ったら、なんだよもう。そんなに驚かれるとは思わなかったわ!」

「は? なんだよそれ」

「ちょっとからかおうとしただけですー」

「だから、なんでお前いんの」

「悪友にアイスおごってもらうためにですが」

「死ねよ」

「ガチギレ!? 理不尽じゃね!?」


 隣にノブが立っていた。

 俺が見染神社に行く前に、別れたはずなのに……? なんでだ。

 同時にたくさんの視線が俺に刺さるのを感じた。 

 夕焼け、さっきまで夜だったはず。

 教室も、穴だらけじゃない、俺の見慣れた刻詩歌高校の教室だ。

 ということは……俺、夢を見てた、だけなのか?

 でも、それにしてはリアル感が強いというか。

 俺は桜の座っている席の方を見る。

 そこには彼女の姿はなく、もう下校した後のようだった。

 …………どういうことだ? これ。


「わりい、寝ぼけたみたいだわ」

「寝ぼけて、って……お前なぁ、大声で叫ばれて裏手突っ込みを突っ込みを入れてくれなくてボケ待機状態になってたこっちの身にもなれよ」

「……おう、ちょっと落ち着いたわ。細かい話はコンビニの所でしようぜ」

「おー、わかった」


 俺たちは学校から出て、コンビニでアイスを買って歩道の所で互いにアイスの袋を開けた。

 今回も俺がノブに奢って、と言う形だが俺は気持ちを落ち着かせるために前回のガリガリのサイダーはやめ、棒付きのバニラアイスを買うことにした。ちなみにノブは前回と同じものである。

 ノブはアイスを食べながら俺は悪友に軽い謝罪を述べながらアイスの包みを取る。


「わりい、ノブ。変な夢見て発狂したっぽい」

「お前が発狂? そんなに怖い夢見たの?」

「ああ、どこぞの幼馴染が目の前で死ぬっていう夢な」

「は? 幼馴染? って……――――って、もしかして桜ちゃん、とか?」

「そこはご想像に任せる。ものすっげぇキモイ化け物に襲われるわ俺も頭を食われるはで失禁だけで済めるかどうかちょっと悩んだりしたわ」


 俺はノブに恐怖心を下げさせるためにおふざけを挟みながらアイスを一口食べる。

 ノブは俺の絶叫した時の顔を見たから、茶々を入れずに普通に聞いてくる。


「食われてんなら失禁どころじゃねえじゃん、で? どんな化け物だったんだよ」

「……なんか、陰毛っぽい感じのけむくじゃらに、血みたいな臭いもした気がする気持ち悪いヤツだったな」

「血? 陰毛……? 女の子の化け物とか?」

「わかんねえ、でも可能性はゼロじゃねえかもな」

「じゃあ、お前が口っていったところは本当はおまん、」

「そこで今下ネタ言ったらガチギレすっかんな? 真面目な話なんだぞこれ」


 相変わらずの友人の言いかけた言葉を遮る。

 わざと冗談を言って空気を和ませようとしたのがわかるが、俺のキャラ的にそれを許したらダメなので、じろっと睨む。


「いやだって、失禁とか言うから……ほら、そのー……ダメ?」

「ガラガラ―本日の孝営業店はアイス代いますぐ要求しまーす、本日中じゃないと利子付けまーす」

「ジョーク! ジョークだから! 今日は許してー! 俺の財布カラッカラなんだよ!」

「はぁ、真面目に聞かねえよなお前ってホント呆れるわぁ、つっっっかれるー」

「お前相談に乗ってもらってる立場だろ!?」

「ん? そうだっけ? 忘れてたわ」

「テメェ!!」


 俺がアイスを食べ終えてからノブが軽く俺の腹を殴ると俺も足で蹴り返した。

 少しノブとやりとりをして俺のSAN値が回復したなと感じると、またノブがアイスを地面に零した。

 

「あ! 落ちたー!!」

「あーあ、俺知ーらない」

「あちゃー……ま、今日は家帰ってぐっすり休めよ。明日は俺が奢るからさ」

「んじゃ、ホットココアな」

「うわ、お前いじめかー? 今夏だぞー?」

「空気を読まないお前が悪いでーす」

「俺だけ読めてないみたいに言うなよー! お前だって下ネタ言うくせにー!」

「TPOは弁えているので」

「カッコつけか?」

「俺、好きな子の前でもじゃんけん負けたりするやつなのお忘れ?」

「そうだったわー、じゃ! またなー」

「おー、またなー」


 俺は背を向けながら悪友に手を振って、家に帰宅することにした。

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