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第三二話 刃物女との初めての戦闘

 信光に孝は声を荒げる。


「ノブ! ロッカーのホウキちゃんと持てよ!!」

「お、おお!!」


 信光に前回のループことを踏まえ、悪友に死なないよう念のための作戦をさっきまでの間に立てておいた。ホラー作品で身代わりの人形やお守り代わりになるだろうから、と言って持たせたものだ。

 この時ほど、ホラー愛好家だったことを誇れることはない。

 孝は鞄から包丁を出す。

 刃物女、という呼び方だけあって目の前の女は刃物の扱いに長けている。なのに、包丁で応戦とかバカなのはわかってる。だが、学生で鞄に持ってこれる物なんざ限られてる。

 鞄は盾替わり、武器は包丁。

 今回が、初めての怪異との戦闘――――男子が憧れる展開だ。

 しかも俺を二回も殺した相手だ、対戦相手には十分だろう。

 せめて、ヒロインを守るって体が漫画っぽかったが、そうも言っていられない。


「さぁ来いよ、刃物女!!」

『縺?k縺輔>繧上??サ吶▲縺ヲ』


 先に動いたのは、刃物女だった。

 ものすごいスピードで、俺の腹を切りつけようとしてくるのに、俺は鞄でガードする。

 切り裂かれた鞄は無残に地面に転がり、俺は数歩後ろに下がる。

 最初の一撃は防げた、よっしゃ!!


「うぉおお!? すげぇタカ!! 初撃回避かよ!」

「ヤジ入らねえわ気が散る!!」

『縺溘∪縺溘∪縲√◆縺セ縺溘∪縺ォ豎コ縺セ縺」縺ヲ繧九?』


 刃物女は間合いを考えているのか、距離を取ってくる。

 殺人鬼よりも、怪異の一撃回避とかよく自分でもできたものだと誇らしくなる。

 たった一度の攻撃を避けただけだとわかっていても、脳汁が溢れるのを感じる。

 だとしても、油断は命取りだ、盾は無くなったここからが勝負。

 興奮を理性で繋ぎ止めるために息を吐く。


『縺ッ繧?¥豁サ繧薙〒縲∵ュサ繧薙〒繧』


 寒気が、首元に感じた。


「――――!!」


 刃物女の切っ先が首元まで迫っていた。

 俺は、幼少期から鍛え上げてきた反射神経を呼び起こし、イナバウアー感覚で一撃を避ける。

 続けて、二度目は回転して躱し、三度はしゃがんで躱す。


『縺薙?縺」??シ』

「っち、くそっ」


 ――今の一連の流れで、三回死んじまったっ。

 

 くそ、まだ死蘇印の特性が解んねぇ。だが、今の流れで三回とも失敗とか、ダセェ!

 死蘇印の残りは後4画だけ。なんとかするしかねぇ。

 刃物女は不快そうに言い放ったのに、口角を上げる。

 怪異って奴は、こういう時が一番隙があるのは定番だよな!?


「っは!! これでどうよ!」


 四度目は刃物女の切っ先を薙ぎ払い、足で彼女の包丁を蹴り飛ばす。


『縺ェ縺」窶ヲ窶ヲ』


 ――ああ、アドレナリンが回りやがる!!


「仕返しだ、刃物女!」


 続けて、右手に持っていた包丁を刃物を刃物女の腹に突き立てた。


『――――――――!!』


 刃物女は腹を抑え、蹲る。

 よし!! 逃げるに限る!!


「いくぞノブ!」

「お、おお!!」


 孝は信光を連れて、今いる教室から出た。

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