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第三一話 三度目の刃物女

 孝と信光はある程度のお互いの情報をある程度交換し合って、休憩を取った。


「じゃあ、食事も終えて情報交換したわけだから捜索すっか」


 軽く、体を伸ばしながら孝は言った。


「えー!? でもあのけむくじゃらに隠れやすいように教室に隠れながらがいいんじゃね?」

「間違いじゃねえだろうけど、お前意外とビビりだったのな」

「いやいやいやいや!! リアルホラー展開経験して恐怖心にかられずに堂々としてるお前はどうよ!?」


 信光が全力で大声で訴えてくる様は、ホラー映画で怯える視聴者の図に孝には映って見えた。

 悪友が、語部屋部の蔦屋レベルでビビるとは思ってもなかったので少し残念に思う。


「いや、アイツが気持ち悪いと思う人の心は欠かしてねえわ、お前がビビりすぎだっつーの」

「ビビるだろうが!!」

「だっさ」

「ホラー愛好家のお前に比べたらホラー耐性ねえの! 普通、リアルホラー経験したらビビるわ!」

「まぁ? 俺は一回でも見ちまえば慣れるしな」

「お前、そんなに遭遇してんの?」

「教えてやんねー」

「ひっどぉ!!」

「……刃物女に襲われたりしたのもあっから、けむくじゃらだけ用心しちゃだめなのは教えとく」

「刃物女? 殺人鬼でもいんの!?」


 信光は声を荒げる。

 ああ、そういえばノブは知らないんだったな。

 一応、俺のループの説明はしないでおくか、混乱するし。


「みたいな奴、怪異かもしれねえけどまだまだ情報不足だから共有しておきたいんだわ、お前は他にもうねぇ?」

「あー……得には、あのもじゃもじゃ以外とはまだ会ってない」

「そうか……」


 ノブがこういう時に嘘をつくことはない。

 悪友である俺が、こいつがそういう性質だと知ってる。

 少なくとも今は運命共同体なわけだしな。


「……じゃあ、お互い死角を殺しながら進むぞ」

「お互い背を向けてってことだな」

「おう、問題ないな」

「待て! 念のため再確認! けむくじゃらは女子トイレ、教室なら机の下に隠れればいいってことで問題ねえな?」


 ノブは片手で一度制してから、女子トイレに人差し指、教室で中指を立てる。


「ん、必要か?」

「大事だろうがよっ」

「……まぁな」


 孝は言葉で頷く……細心の注意は払うべきだ。

 刃物女に関してはどこから襲ってくるのかもわかっていない。

 予測を立てたくても刃物女なんて怪異なんているとしたら、普通に殺人犯程度の認識だし。

 

「あ、おい!! 孝!! よけろ!!」

「――――は?」


 孝は嫌な気配を感じ、屈む。

 ナイフが空を切る音が聞こえて、振り返れば俺が見た時と同じ刃物女がそこにいた。


「――――お前!!」

『縺ェ繧薙〒驕ソ縺代◆縺ョ?』


 忘れもしない。茶髪のポニーテール。

 赤い瞳、首に巻かれた赤い縄。間違いない。

 あの時、さくらと俺を殺した刃物女だ。


「孝!? まさか、その女が!?」

「ああ――――刃物女だ!」

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