第二九話 満月からのひらめき
「で? どうするよ」
ノブの不安げな言葉とともに、俺たちは俺が最初に来た教室へと戻ってきていた。
俺はノートを開きながら悪友に確認をとる。
「……玄関は確認したか?」
「してなかったら俺、とーっくに脱出してるわ!!」
「……だよな」
……さくらと一緒の時に玄関からの脱出は不可能だったのも確かだ。
下手に外に出て逃げたことがないからわからないが、外に出れれば脱出できるという可能性はゼロではない。
「ノブ、窓は開けるか試したか?」
「ああ、試したぜ? でも無理だったわ。椅子で窓ガラス壊そうとしてもびくともしなかった」
「そうか……なら、この廃墟から脱出する方法は、外に出ることじゃないな」
「は? どういうことだよ。普通に考えて外に出なくちゃ脱出できねえじゃん」
「ノブはゲームで遊んだことあるだろ?」
「そりゃ、まあ……ゲームと何の関係があるんだよ」
「ゲームは特定の条件がないと次のステージに行けないだろ。つまりそれはこの学校でも同じ条件があるかのせいがある」
「……それって、何が条件なのかはわかってんのか?」
「まずこの空間で死ぬは悪手だろ、骨とか転がってたりしてなかったか?」
「あ、あったわ!! そういえば!」
……俺がループして死んだことを隠し、骨と表現したが実際にノブは見たことあったのか。
なら好都合だ。
「じゃあ、死なないようにしてもあちこちに化け物いんだろ? どうすんの?」
「……そうだよな」
孝は外を眺める。あの時と同じ満月だ。
前回の時は眺めるなんて悠長なことできなかったが、最初に見た時と大分下に下がっている。
……考えられることの一つで、まずこれを提示しよう。
「時間経過、かもしれない」
「時間経過?」
「ああ、ノブ、お前学校の教室の窓で月を見たことあるか?」
「え? ……あ、最初に見た時より下になってる!!」
「……その可能性に賭けてみないか? ノブ」
ノブならば乗ってくれるはずだ。
他に俺も可能性を思考することができない……どうだ?
「今はそれに賭けるしかないわな、一緒に行動しようぜ」
「いいのか? ノブ」
「今はお前のそのひらめきに賭けるしかねえだろ? どっちにしても食料はもうねえわけだし」
「……そうだな」
「運命共同体だぜ? 裏切んなよ、タカ」
「当り前だろうが」
肘で俺の胸元を突いてくるノブに笑う。
……ノブは俺の悪友だ、助けないわけにはいかない。
なんだかんだでコイツと一緒にアイス食うの嫌いじゃないしな。
「じゃあ、行くぞノブ」
「おうよ、親友!」
そうして俺とノブは結託し、繰々咲学校からの脱出に挑むのだった。




