第二六話 悪友の捜索
まず、俺は再度繰々咲学校内の周囲を見る。
一番最初に入る場所は変わっていない。
黒板も、建物の壊れ具合も、さくらと一緒にいた時と差異はない。一旦、孝はノートをテーブルに置き、ページで「悪友、これを見たらこの教室にいろ」と鉛筆で書き記す。
ノブが逃げ惑っているのならばこういう物の変化があれば、多少は安堵するきっかけになるだろう。
食事は本人に出会ってから渡せばいい。
鞄は持ったまま、ある程度やるべきことをやってから孝は本格的に悪友の捜索を開始することにした。
「さて……っと」
まず、毛でもじゃもじゃの怪異は教室にも入る。
だから、一応武器になるものもいくつか今回は持ってきた。
肉切包丁が二つ、鉛筆も目玉に突き立てるなら一応武器にもなるだろう。
孝は念のため、携帯電話の確認をする。
「……やっぱりだめか」
携帯はアンテナが立たない。
……つまり、今回も電話での連絡を取ることは不可能ということだ。
少しは繋がるようになれば違うのだろうが、現実とは厳しいものだ。
深く溜息をつきながらも孝は冷静に考える。
少なくともノブが携帯を必ずしも持っていることも限らない。
逃げている途中で物を落としてしまう可能性もある。
念には念を入れて……服のポケットの中に忍ばせておいておくか。
「ぎゃぁあああああああああああああ!!」
「!! なんだ!?」
ノブの悲鳴、ではない。知らない男性の声だ。
孝は急いで悲鳴がした方へと走り出す。どこからだ? 一体、どこから。
『ギ、ギュルルっ』
長く続く廊下を走る中で背後から嫌な気配を感じた。
「!! またか!! もじゃもじゃ!!」
下手に走る足を止められない。
悪いが、さっきの男性の元へと駆け付けられなさそうだ。
一旦、どこか小さい部屋に隠れられれば……!!
目の前に男子トイレと女子トイレが目に入る。よし、あそこに入れば……!!
孝は思い切って、男子トイレへと駆け込んだ。
『ギィ、ギュルル……』
もじゃもじゃは中に入れないと踏んだのか、すぐに横を通っていく。
……アイツが廊下や教室にいたら、トイレに駆け込めばいいんだな。
と、孝は安堵感に包まれて、胸を撫で下ろす。
孝は、一旦トイレに入りたくなって用を足そうと思い、一番右端のトイレの扉を開ける。
そこには、変わり果てた遺骨がそこにあった。
「……っ」
人の遺体、どころか白骨死体があるとは。
……つまり、餓死して死ぬ可能性がこの学校にはあるということだ。
はやくノブを見つけるためにも合流せねば。
孝は不快感を覚えながらも、トイレで用を足し男子トイレから出た。




