第二〇話 コンビニの初恋様とのやりとり
久しぶりのコンビニに、俺とさくらは一緒に店内へと入る。
さくらは店員に頭を下げて、こんにちは、と言う。昔からいい子ちゃん気質だったもんなコイツ。
俺たちはすぐにアイスのコーナーへと足を運ばせた。
「で、どれがいいんだよ」
「え? たかくんが選ぶんじゃないの?」
「……聞かれんぞ」
きょとんとした顔を見せる初恋様は、どうものんきにしている。
オナ高の奴らに聞かれたらどうすんだよ。お前の体裁的に面倒になるだろうが。
「いいもん、たかくんが強制的に言わせられてるってことなら問題ないでしょ?」
「……勝手にしろ」
「ふふ、勝手にする。どれにしようかなー? 迷うなー」
さくらは人差し指を当てながら、自分の好みのアイスを選別し始める。
……昔よりも、あざとさが増した気がする。
単純に俺の初恋様だから、可愛く見えるってだけなのは確かだ。ひさしぶりに二人でコンビニってだけなのに、どうしようもなくコイツの素振りが何もかもかわいく見える。
……少なくとも初恋様は婚約者もいると知った時、よりさくらの婚約者の話を破談させようと子供ながらに考えたのは悪辣すぎたが……あの喧嘩があって以降、身を引くと彼女の親父に伝えてある。
伝えてあった、はずなのに。
「はやくしろ」
「えー? んーっと、じゃあ、これにするねっ」
さくらが手に取ったのはダブルソーダだ。
よく恋人同士や家族が一緒に食べると言われている、あのアイスだ。
なんで、そのチョイスにした? と、激しく突っ込みたくなる俺がいる。
「……なんで、」
「たかくんはアルバイトしてるって話は知ってるけど、買ってもらうんだし……これなら問題ないよね?」
「……お前な」
孝は頭を抱えた。
自分の体裁よりも、俺の懐事情重視かよ。
園児の頃も、似たような理由で俺とダブルソーダ食った奴だったなそういえば……今思えば、楽しい思い出とも言えるだろうが。いや、今思えば逆に刺激が強すぎる気がする。
というか、待て。さくらとダブルソーダ食うって、他人にはどう映る?
今はほとんど繋がりがないのに、他の奴からは実は恋人だった、的な噂が立ってしまうんじゃ?
……まずい。
「ダメだ、ぜってぇーダメだ」
「え? なんで? 安いよ?」
「いいから、いいからこっちにしろ! いいな!?」
俺は適当にバニラ系の棒付きアイスを選ぶ。
さくらは不満そうに頬を膨らます。
「……わかったよぉ、今回だけね」
「……おう」
今回だけってなんだ?
という突っ込みを孝は全力で脳内の中で封印し、レジの方へと向かっていった。孝は知らない、わずかに耳が赤くなっているのに、さくらが嬉しそうに見つめていたことを。




