第一四話 死蘇印
「うぁあああああああああああああああああああああ!!」
頭が掻っ捌かれた感覚を感じながら俺は叫んだ。
場所がどこだからとか、お構いなしに。
指先に触れている部分が、自分の布団の感覚がした。
しかし、二度目の死の感覚がすごすぎて頭の処理が追い付かず、俺は頭を抱えながら過呼吸になる。
「……割れて、ない。二つに、なってない……?」
額や頬などに一つ一つ触れていく。
二つに割けて血が出ているわけでもない。
俺の臓物が、今零れ落ちているわけでもない。
そして、最後に刺された腹の方へと指で撫でる。
「俺、ループしたってこと……か」
目に飛び込んでくる場所が、自分の部屋なのだと理解できる程度には頭が状況を理解し始める。
しかし、気になるのは今回は場所が違う、ということだ。
「……教室じゃないな、俺の部屋? なんでなんだ?」
俺は頭を整理させるためにまずゆっくりと息をする。
確かに前回の時は、学校帰りの時でノブに声をかけられていたはずだ。
時刻を確認するために、携帯がどこにあるか見渡す。
すると、ブラウン管のパソコンの近くに形態が充電台で充電されているようで、俺はすぐに手に取った。
「どれどれ……?」
俺は携帯で時刻を確認した。
すると、そこには火曜日だったはずの日付がなぜか、一日前の月曜日になっていることが判明した。
俺は驚きを隠せず、「嘘だろ……」と、言葉を漏らした。
「……時刻が変わってる? なんでだ」
俺は頭を抱えながら、携帯を握っている左手首に視線を向ける。
見ると、そこには8画ほどあった刺青が1画消えていた。
「……ループしたから、一つ消えたって捉えていいのか?」
俺はずっと立っているのも苦痛なので布団へと腰を落とした。
手首の刺青を見て、俺はある仮説を立てることにした。
まず、ループしたことでこの刺青は一つ消えた。
つまりループすればこの刺青は一つずつ消えていくということが考えられる。
けど、時間軸が違った、それはなぜか……?
考えたくないが、条件があるということだろう。
「どれだ……?」
孝は携帯を置いて思考を開始する。
俺が一度目の時に死んだ時、何があったかを思い出せばいい。
ノブと話した内容が変わったから、とは思えない。
しかも、顔無狐は俺がループしたのを知っている風だった。
つまり、俺がループするようになった可能性があるのは顔無狐の仕業、と今は仮定しておこう。
俺がこの刺青が出たのは、それで大体説明できる。
ただ、条件……俺がループする時間の変動がある、可能性と言えば。
「……あの学校内での死に方と関係してるのか?」
だとしたら、明確にはっきりしているのはさくらが俺と一緒に死んだか、死んでいないかになる。
しかし、その可能性があるとするならどうして顔無狐はわざわざそんなことをしたか、と言うことにも繋がって来る。
……一緒に死んだから? それとも、別々に死んだから?
今の俺にはそれくらいの情報しか頭に過らない。
「……とりあえず、この刺青、いつまでも刺青って呼ぶのもな」
もしノブや語部屋部やみんなや、さくらにでも聞かれてしまったら変な誤解をされる。
絶対、頭どうした? とか、色々聞かれる未来が頭に過った。
まずいな、頭おかしいとかは思われてるとは思うが……誤魔化せそうな名前にはしたいな。
「そうだな、死んだら蘇らせてくれる刺青、は……さすがになげぇな」
孝は頭を掻きながら頭を捻る。
どうせ俺しか知らないんだし、少年漫画とかに出てきそうな単語っぽくするか。
死んで蘇る、印。死相とか? でも意味わかんねえしな……蘇るの読み方の方は、そう、とも読めたよな。
「……そうだ! 死蘇印! 死蘇印にしよう!」
孝はピーンと閃いた単語を口にした。
中々に誇れる命名に歓喜しながらうんうんと強く頷く。
後は、少年漫画とかに出てくる単語、だとか誤魔化しておけば問題ねえな。
一応どの作品だー、なんて聞かれたら難しい場面があるか。
「間違いなくノブはなんとなく気づきそうだけど蔦屋は意外と馬鹿だから、簡単にひっかかってくれるよな。でも茜ちゃんが意外とやべぇな、もしもの時、知り合いの漫画家志望のネタ、とも言っておいた方がいいかもな。じゃあ、しのぶとかはなんとなく察してくれそうだから、問題はない……か、うーん。大体、なんとかなるかー?」
俺は頭を掻きながら、あくびをする。
とりあえず明日に備えて準備ができる範囲があるなら、してから寝ることにした。




