出会い
ある夏の日、俺は彼女に出会った。
その日はとても暑く、俺は脱水症状でベンチに座り動くことができなかった。
「何か飲まないと・・・」
何か飲まないといけないことは分かっていた。分かっていたんだけど俺は。俺は動くことが出来なかった。
「大丈夫ですか?」
そこにある女性の声が空気を振動させ、鼓膜を揺らし脳に直接話しかけるように声が届く。
「すいません。軽い熱中症なものになりまして・・・」
俺はこれまでの経緯を手早く説明し重要な要点を伝え、大事なことを手早く説明する。
「動くことができないので何か水分をもらえませんか?」
彼女は少し悩んだ顔を見せ考え込んでいやが結論を見出すと俺に伝える。
「お茶を持っているのでそれでいいですか?」
そして彼女は少し照れながら小さくつぶやく。
「・・・飲みかけですけど」
もちろん俺はこのつぶやきは聞こえなかった。『とにかく水分が欲しい』ただその一つのことに俺は命を懸けていたんだから。
「ありがとうございます!」
俺はできる限りの声を出し礼を言った。その声は少し枯れ『あざす!』みたいな感じに聞こえていただろう。
彼女は持っていたバッグからお茶が入ったペットボトルを取り出し俺の手の上にキャップを開けた状態で渡してくれた。
『優しいな』
これが彼女に抱いた第一印象だった。
俺はもらったお茶を飲み干し少し力が戻って来たことを確認するとポケットから財布を取り出し小銭を手に取り彼女に渡した。
「これで新しいお茶でも買ってください」
俺は歩けるようになったので彼女に深々と頭を下げこの場を後にした。
―――これが女神(彼女)との出会いだった。
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山田泰汰