表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今日から学校と仕事、始まります。①莞

異世界人、美容室行く

作者: 孤独

裏切京子は人間ではない。


「…………髪、伸びましたわね」


それでも彼女は地球という星で、人間をやっている。

その姿は確かに可愛らしさと恋する乙女も兼ね備えた、姫カットって言うには髪伸びすぎな女子高生。腰に二丁拳銃を掛けていなけりゃ、恐さというものはない。

自宅の等身大の鏡にて、前髪の長さを気にする。


人の姿を手に入れて、こうして同じ人の群れの中に混じることで、身嗜みというこれまでにない部分を意識するようになる。

自分に可愛いやキレイだなんて、表現を口にし、抱くことを人の姿が教える。

私はどう思われているだろう。人がそう思うのかって、人ではない裏切には考えさせることだ。



「広嶋様は私を見てくれますかね」

「裏切ちゃんも髪に切りに行こうよー!」

「ぎゃああぁっ!?」


突如、自宅に現れた。女友達というか、仲間にして、恋のライバル。


「ミ、ミムラ!!いきなり現れないで!!背後をとるな!!」

「裏切ちゃん。前髪伸びてて鬱陶しいでしょ??私は纏めているけど」


そんなことを言うミムラのツインテールは腰から下まで伸びた、特長とくながな髪である。似合っているが、この子が言うかいって感じ。



「一緒に美容室に行こうよ!可愛くなっちゃおー!」

「び、美容室……?」



◇       ◇



そんなわけで裏切京子ちゃんの、沖ミムラと美容室に行ってくるお話である。


「こ、ここが美容室ですね。日本にはどこにでもありますわよ!」

「そーだね」


お店の前に立って思う言葉はそれでいいのか?


「ミムラはこちらによく来られるのですか?そのツインテールですし、整えるのは大変でしょうに」

「半年に一回くらいかな?髪をちょっと切るために来るよ。膝ぐらい伸びたら、腰ぐらいまで切ってもらうのはここでやってもらっている!」

「半年に一回しかその髪を切らないの!?」



その事実に驚きながら、自動ドアを開けて入る。そこはもう外からでも分かっていたが、オシャレな店内。自分は恥ずかしくないだろうか?それを問われる。


「あら、ミムラちゃんじゃない」

「どーも」

「9か月ぶりじゃない。髪伸びた?」

「えー?まだそこまで伸びてないと思うんですけど」


そう言いながら、ツインテールの二つを手に取りながら、言葉をかわす。

ミムラに任せて良かったのだろうか?


「?その子は」

「友達でーす!今日はこの子の付き添い!可愛くして、どーぞ!」

「ミ、ミムラ!」


押される感じで席に座らされる。初の美容室に緊張中だというのにだ。

柔らかく深い椅子。

一方でミムラは待合室の椅子にドーンッて腰掛て、慣れたように女性雑誌をラックから取り出して読み始める。


「マスター、最新号ですねぇ」

「ミムラちゃん、タダ読みですねぇ」

「私は裏切ちゃんが終わるまで待つので。あ、でも。これ以外にも読みたいので、何時間でもどーぞ」

「君はその髪を切りに来たんじゃないのかい?結局……」


まぁいいか。そんな溜め息をつく、美容師さん。

早く始めなさいよと、裏切。こんなところ初めてでよく分からないからそう思っている。

髪を切ると言うので、何気ない事で美容師にとっては、どう驚いていいのか。


「それじゃあ……」

「ちょっと待ちなさい!!」

「ん?」


裏切。一発目で気付く!



「わ、私の背後をとるんじゃありません事!!そんな事をしていいのは、広嶋様だけです!!」

「あの散髪マントをつけてあげるだけなんですけど」

「ミムラ!説明!!私は何をされるの!?」



ミムラは最新号の雑誌をパラリと捲って読みながら、



「美容師さんが裏切ちゃんの後ろから、刃物で髪を切って、結って、整えてあげる人のことだよ」

「は、刃物を持った男に後ろをとられるというのですか!?さらに髪を弄られるとは!屈辱の極み!!」

「……あの、気付かないフリしてるけど。モデルガン(?)を腰につけている子の散髪をするのは、私も初めてなんだけど」

「これは本物ですわよ!!下手な真似したら撃ち殺しますわ!!いいんですか!?知らぬ男が、刃物を持って!自身の髪を預けるなんて事!」



確かに怖いものだ。よく考えたらそうだろう。

だが、美容師さんからしたら、裏切の言っている事の方が恐ろしい。手元が狂いそうだ。

しかし、口先。客商売においては、伝える表現がとても重要な事。それから自分の腕が相手に伝わってくれる。なぜ、お客様の後ろをとるのか。

さらに思えば、幼少期。母さんに初めて連れられて来た床屋にあったゴルゴ13、その時の全巻。読破に頑張って、時間かけてくれと頼んだっけ?。そして、デューク東○は、一体どのように髪を切っているんだろうか。そんな思った疑問をこんな子から掘り起こされた。



「確かにお客様の後ろをとってしまうのは、不安にさせてしまうかと思います。しかし、前の鏡を見てください」

「!」

「こちらで自分の髪型が綺麗に整われていくところを見て頂き、どのように変わっていくか。変わって欲しいか。お客様自身の言葉も欲しいのです。私があなたの前に立っては、それを確認できません。可愛くなりたい。させたいのですから、このような行為をお許しください」


そして、私はなんでこんな事を言うのだろうか。

精一杯に、仕事をしますよと言えた気がした。


「……わ、分かりましたわ」


裏切はこの馬鹿丁寧な言葉を正直に受け取って、自身が感じた屈辱を受けた。

まぁ、これで可愛くならなかったら、……射殺するんだろう。今度は腕が震える。

けれども、奮ってやろう。



「あ、マスター。すみませんけれど」

「なんだい、ミムラちゃん」

「裏切ちゃんを私より可愛くさせないでください。恋のライバルなんで」

「だったら君もあとで相手してあげるから。ここは立ち読み場じゃないよ」

「ミムラ!なんですのそれ!!私の方を可愛くお願いします!」

「分かった分かった!平等にやるから」


面倒だから二人共、坊主頭にしてイーブンにしようか。

でも、殺されちゃうね。



挿絵(By みてみん)

懲りずに挿絵です。

というか、こっちが自分のメインかな。

裏切っぽく描いてみたけど、仮のデザインって事で。


もうちょっとは上手くなりたいものです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ