2
やっと・・・・・・やっと魔法学園に行ける!! レイン様と送れる学園生活!! 正直に言おう、ワクワクドキドキが止まらない!!
今までいろいろあったけど、こうして家族と暮らせて、かつレイン様とも交流があるという私的には満足な結果を手に入れて、学園生活を送ることができる・・・・・・。レイン様のトラウマとなる過去イベもつぶせたし、レイン様の家族たちも生きている!! 本当にうまくいってよかった!! 下手すると、もう家族に会うこともなく、一生レイン様のそばで暮らすことになっていたかもしれないし・・・・・・。それを踏まえて考えよう。レイン様と・・・好きな人と、一緒に学園へ通うことができる・・・・・・なんてすばらしいんだろう!!
さて、ここは私の寮の部屋。はい、学園にある私の部屋です。私が通うルミワ魔法学園は全寮制なんです。うん、乙女ゲームでよくある設定だよね。で、私はここに来るまでに特に誰にも会いませんでした。いや違うな・・・・・・いろんなスキルや魔法を駆使して、会わないようにしたっていうのが正しいな。そのうえで、妖精たちをいろんなところに出張させて情報を集めてもらいました。その妖精たちの報告によると・・・・・・
・ヴァルテスは第二王子の更生をあきらめた。
・次代の王は第三王子が務めるらしい。
・行方不明だったヴァルテスの姫君は高等部に通うらしい。
・ヴァルテスの姫君は新しい婚約者ができたらしい。
・姫君の婚約者は賢者らしい。
・宝石姫の親衛隊は姫を守るために新しい体制を作っている。
・アリス嬢は宝石姫の親衛隊に所属している。
以上、学園で流れている噂でした。
・・・・・・いやいやいや、ちょっと待って!! おかしいよね!? 一つ目はいい、興味がないから。二つ目も別にいい、第三王子は優秀な子だから安心して王様にできる。三つめも別にいい、これは事実だから。でも、四つ目!!どう考えてもおかしいよ!! いつ、私に婚約者ができたの!!そして五つ目を見た感じ、相手はレイン様だし!! いや、レイン様が婚約者っていうのは私的にはうれしいんだよ?でも、このうわさを聞いたとき、レイン様がどう思うのか・・・・・・。そして宝石姫の親衛隊。これ何?うちの学園にそんな組織あったの?ていうか、誰だよ宝石姫。そしてヒロイン。何故君が親衛隊に入ったんだ。
・・・・・・ふぅ。落ち着け私。そう、これからのことを考えるんだ。これから・・・・・・今日の午後からは高等部になる少年少女の入学式。入学式が終わったら自由。一週間後、日が落ちてから歓迎会。そうそう、歓迎会のドレス、お母様が作ってくれたんだよね! すっごくきれいで着るのがとっても楽しみなんだよ。うん?歓迎会? ・・・・・・学園で開かれるパーティーは貴族の少年少女たちにとって、社交界デビュー前の練習の場で、当然社交界と同じルール。男性は別にどうでもいいけど、女性は・・・・・・エスコートがいる。普通は婚約者か親族にエスコートを頼むんだけど、私の親族はお兄様は忙しいし、シノは高等部じゃないし、他の人にエスコートを頼むにはもっと早くから頼まないといけなくて・・・・・・あれ?つんでる?
「・・・・・・エスコート、どうしよう」
ヤバいことに気づいてしまった私は女子寮の門の眼に隠れるように立っていた。いや、実際いろんなスキルを駆使して隠れてます。何故隠れているのかって?人を待っているからです。誰を待っているのか?レイン様です。私がいることに気づくと、みんなすっごく緊張してしまうらしい。まあ、天下のヴァルテス家だからね。しょうがない。だから隠れてレイン様を待っています。なんか、レイン様が私を迎えに来てくれるんだって。申し訳ない気持ちもあるんだけど、すっごくうれしい! だって、こういうの、リア充の人みたいじゃん!! 彼氏が彼女を迎えに行って一緒に登校する・・・まさに登校デート!! いや、私の妄想みたいなものだけどさ・・・・・・少しくらい、そんな風に思ってもいいでしょ?
「エリシア」
私の名前が呼ばれたので、振り返ってみると・・・・・・やっぱり、レイン様だ!! こんなに隠れている私を見つけ出せるとは、さすがレインさ、ま? ・・・・・・レイン様が、レイン様が制服を着てる!!後ろ髪をひとまとめにしているせいで、レイン様の神々しくも愛らしく整ったご尊顔がはっきりと見える。今までは髪を結んでいなかったから、どっちかっていると愛らしさ、とかあどけなさのほうが勝っていたけれど、今は端正さとか美しさのほうが表に出ている!! この学園の制服を着こなしている!!
ルミワの制服は乙女ゲームの舞台だけあって、かっこかわいいんだよね~。男子はズボン、女子はひざ下丈のキュロット。胸ポケットにはルミワの交渉の刺繍。紺地の軍服っぽいブレザーの制服に学校指定のローブを羽織るんだよ。女子がスカートじゃないのはバトルがあるからだと思う。
て、違う違う。今はレイン様だよ!! そう、レイン様がルミワの制服を着ているんだよ!! ゲーム内のレイン様って、最初から最後までダルダルローブの姿だからね。ホームページでもローブ姿だったよ・・・・・・。イベント?豪華になったローブを羽織ってましたが何か? そんな感じだったからルミワの制服を着たレイン様って見たことがなかったんだよね。かといってゲームのレイン様が制服を着ているところを想像できなかったんだけど・・・・・・。その夢にまで見た光景が、目の前に!!
「レ、レイン様!! 制服、すっごく似合ってます!!」
「え!? あ、ありがとう・・・。エリシアも、制服、似合ってるよ」
「ありがとう、ございます」
「えっと、その・・・・・・行こうか」
「うん!」
当たり前のようにレイン様に差し出された手を取って、一歩踏み出す。自然と距離が近くなる。・・・・・・森の家ではこれくらいの距離で活動してたことが結構多いけど、学園だとまた違った感じがして、恥ずかしい・・・・・・。あれ?周りの人たちが、全然注目してこない。いつもなら、すっごく視線が突き刺さるんだけど・・・・・・・。ん?これは・・・・・・隠蔽の魔法? もしかして、レイン様魔法を使ってる? ああ、それなら納得だ。こんな高難易度の魔法をわからないように使うだなんて・・・・・・しかも、周りの生徒も一人も気づかないように魔力の隠蔽も同時に行うだなんて・・・・・・さすがレイン様!! はっ!!そうだ、忘れてた!!
「レイン様!!」
「な、何!?」
上ずった声で返事をするレイン様、マジカワユス。じゃなくて・・・・・・。
「お願いします歓迎会で私のエスコートしてください」
「え? 最初からそのつもりだったんだけど・・・・・・あれ、言ってなかったっけ?」
「・・・・・・言われてないよ~」
「ごめんね! 僕、エリシアに言った気でいたから・・・・・・」
安心した。まさかレイン様が私のエスコートをしてくれるとか・・・・・・。今まで、あのバカのエスコートだったからな~。
「もう、死んでもいい」
「死んじゃだめだよ!!」
大丈夫、比喩だよ、死なないよ。せっかくレイン様がエスコートしてくれるんだから。よかった~。
「レイン様、行こう!」
「う、うん!!」
私たちは学園へと、足を踏み出した。レイン様と一緒なら、何があっても乗り越えてみせる!!
・・・・・・それが、乙女ゲームのシナリオであっても。




