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「さあ、やっておしまい!」
「「「「「はい、奥様!!」」」」」
「イヤーーーー!!」
皆さんどうもこんにちは。現在おめかし中のエリシアです。お風呂に放り込まれて頭のてっぺんから足の先に至るまで、しっかり磨かれています。久しぶりだから、少し緊張してます。逆に、お母様やメイドさんたちは生き生きしてるね。一応、レイン様のところにいた時も自分でお手入れとかしてたんだけど、どうもダメダメだったみたいだね。しょうがない、プロじゃないんだもんね。仕方なくされるがままになってるんだけど・・・・・・お母様たち、楽しそうだね。
「シアがいなかったこの1カ月、寂しすぎて他のことで気を紛らわせたりしたの。そのせいで・・・・・・たくさんの新作ができたのよ!!」
我が家のお母様は働く女性のあこがれだ。元王女で現ヴァルテス家婦人、そして、現在、大人気で有名な服飾会社の経営者兼デザイナーをしている。そんなお母様の服のモデルは私たち家族だ。キレイから可愛いい、かっこいいから美しいまで、私の家族は何でも着こなす。私やシノに至っては、男装女装もするしね。お母様は天才デザイナーなので、毎回、素敵なデザインの服を作ってくれる。そこに、私の異世界の服知識が投入。結果、今までなかった異世界デザインの服が爆誕。もともと、現代日本人転生者たちが多くいる世界。異世界デザインの服を何の戸惑いもなく着こなして見せた。
おっと、話がそれてしまった。まあ、要するに、お母様デザインの服は素晴らしいということだ。
で、今回パーティーで着用するのは青地に白銀の刺繍の入ったドレス。肩と首が出ているけど、全然いやらしく見えない。谷間が見えるか見えないかの位置まで布が肌を覆っている。スカートの部分は前のほうが太ももぐらいの丈で後ろは足首が隠れるくらいの長さになっていく。ニーハイ着用で絶対領域ができる。白のフリルとレースがかわいい。腰の部分に大きめの青いリボンがまかれていて、背中の下くらいの位置でリボン結びになっている。所々にあしらわれている、銀細工と宝石が光に当たるとキラキラと輝いて綺麗。靴は服と同じ青で、白銀の細工が施されている
こちらのセット一式、お母様がデザインし、お母様監修のもと作られた物です。ヴァルテス家独特の、濃い、透き通るような青色の瞳と同じ色の生地を使っているところが素晴らしい。ちなみに、私の眼はヴァルテス家の青と王家から嫁いできたお母様の紫色のグラデーションという何とも不思議な色をしている。優性遺伝と優性遺伝が反発してこんな眼になっちゃった感が半端ないけど、これはこれで気に入ってるんだよ?
髪が丁寧に梳かれ、キラキラが増していくのを見ていると、お母様が話しかけてきた。
「シア、どんな髪型にする?」
「う~ん、お母様にお任せします」
「ふふ、わかったわ」
お母様が私の髪をととのえていく。サイドアップに編みこみがされ、銀細工の髪飾りがつけられる。そのまま化粧を施された。私はまだ若いので、そんなに濃い化粧はしなくてもいいらしく、お茶会などの公の場に出席するときはいつも薄化粧なんだよね。私と同年代で、普段の日常生活でもがっつり厚化粧を決めてる子もいるんだけど・・・・・・。私は、日常生活どころか学園でも、いつもすっぴんでしたが何か?女子力が高ければ、ばっちり化粧をしていくんだろうけど・・・・・・私にあるのは女子力じゃないからなぁ。料理とか、家事とかできるんだけど、これって主婦力のほうじゃない?間違っても女子力ではない。今はこんなだけど、昔は結構、化粧頑張ってたんだよ?前世の私は化粧にも興味を持ってた時期があって、その時、一通りのメイク術は習得して、おまけに肌のお手入れ法も習得したんだ。はじめは、自分の顔で練習してたんだけど、途中お母さんに見つかってしまい、お母さんが化粧の練習に付き合ってくれたんだよね。もちろん、お肌のお手入れも。結果・・・・・・40歳だったはずの私のお母さんは外見20代前半の美女になった。そんな前世のメイク術を駆使して化粧して、その姿をヴァルテスお屋敷にいた人たちに見てもらったら・・・・・・使用人の方たちは倒れ、お兄様は石化し、シノは突然壁に頭を打ち付け、お母様は茫然としていた。ちなみにお父様とユーリは仕事で出かけていた。その後、いち早く正気に戻ったお母様に、化粧を落とされた。その時、お母様から『元がいいから、あんまり化粧はしなくていいの』って言われたんだけど・・・・・・そんなにひどかったのかな、私のメイク・・・・・・ショックだわ~。
「はい、できたわ。」
「ありがとうございます、お母様」
お母様にお礼を言ってから、姿見の前まで行きくるりと1回転してみた。鏡を見ると、いつもより、少しキラキラが増したかな程度にきれいになった私がうつっていた。
「これで、レイン君もイチコロね!」
「お、お母様!!」
ふふふ、といい笑顔で笑うお母様&メイドさんたち。こ、怖い・・・・・・みんないい笑顔で、こっち見て一斉に笑うから怖い。軽くホラーだよ。そんな、私にとっていたたまれない空気をぶち壊してくれたのは、私の専属執事のユーリだった。ユーリは、扉を開き、私の部屋に入ってきた。そして私を見ると、ふわりと笑顔を向けてくれた。
「お嬢様、お帰りなさいませ。先ほどはお出迎えができず、申し訳ございませんでした。」
「ただいま、ユーリ。元気そうで何よりよ」
「はい!それはもう!とってもいいことがございましたので!」
上機嫌でにこにこと笑うユーリ。
ユーリ・ゼノン。乙女ゲームの隠し攻略キャラの1人。明るい、ふわふわとした茶髪に、透き通った翡翠の瞳、ふわふわとした笑顔の癒し系美形な彼は、やはり、乙女ゲームとはかけ離れた存在になった。はっきりと言おう、彼は、オカンであると!!ついでに、エリシア至上主義である。周りから鈍い鈍いといわれている私でもわかるのだ。周りの人たちが彼を見たら、きっと、ドン引きものなんだろう。ユーリは基本、私がそばにいればご機嫌だし、私がいなければひたすらに無表情だ。そして、私に害をなすものが近くにいるととっても不機嫌になる。そんな彼がとっても上機嫌だと?いったい何があった?その疑問が顔に出ていたのか、お母様が答えてくれた。メイドの皆さんはハンカチを取り出す。
「シアの婚約がね、解消されたの。エリシアがいなくなってしまってからすぐに動いたのだけど、お兄様・・・陛下がなかなかうなずいてくれなくて・・・・・・私と旦那様が動いたのに・・・・・・しょうがないから、お義父様とお義母様にもお願いして陛下をおど、説得してもらったの。そして、つい先日、ようやく、陛下が婚約解消をしてくれたの!!」
よよよ、と感動の涙を流すメイドさん達。いい笑顔で何度もうなずくユーリ。キラキラと瞳を輝かせながら経緯を語るお母様。そして、ボケっとしながら、その様子を見守る私。
・・・・・・ユーリが来た事によって新たな情報がもたらされ、場が混とんとしている・・・・・・。話題、・・・・・・何か、この状況を変えることのできる話題は・・・・・・あっ!!
「ユーリ、もしかしてパーティーの準備が終わったの?私とお母様を呼びに来たの?」
「ああ、そうでした。旦那様から、お嬢様と奥様をお呼びするよう言われていたのです。」
「じゃあ、会場までの案内をしてもらっていいかしら?」
「かしこまりました、マイ・マスター。奥様も、どうぞご一緒に」
「ええ、あなたたちも、ちゃんとパーティーに参加するのよ」
「「「「「承知致しました、奥様」」」」」
いつの間に準備したのか、既におめかし済みのお母様とともに、私はパーティー会場へと向かうのだった。




