追われる理由
「じゃあ、行ってきます」
春の終わり目。もうすぐに夏が迫ってきている頃、アラン達は旅支度を済ませて村人との別れを済ませていた。
「気をつけてね。お弁当持った? 着替えは? あと、お水も持ったわね?」
「だ、大丈夫だよ、母さん」
「ミーシャ、アル君がいれば大丈夫だとは思うけど、くれぐれも体には気をつけてね」
「うん、ありがとう」
「ルートス。お前に言うことはほとんどない。ただ……次に会うまでにお前たちの名前が聞こえてきたら、盛大に祝ってやるからな」
「ああ、ありがとう、父さん」
三人がそれぞれ別れの挨拶をすると同時に、アルも村人たちに囲まれて、別れを惜しんでいた。
「おにいちゃん、いかないで!」
「もっとまほう、おしえて?」
「やだーやだー! ぼくもいくー!」
そんな風に一番別れを惜しんでいたのは子供たちだった。アルファたちがこの村に来て別れた時もそうだったが、アルは魔法をみんなに教えたこともあってかなりの人気があったのだ。
だからこそ、子供たちが泣きじゃくるのも仕方ない。
「ありがとうね、アル。あなたなら、いつでも私たちが歓迎するから」
「元気でな。今年はあんたのおかげで助かったよ。子供たちの魔法に関しては俺たちがあとは教えるから、任せてくれ」
「また、またいつかいらっしゃいね。みんなでお出迎えします」
そんな風に声をかけられる中で、アルの頬は嬉しさから緩んでいる。そんな主を見て、ウォルは何も言わない。
人が嫌いな……むしろ恨んでいるような性格だが、アルが嬉しそうに笑みを浮かべている中で水を差すような真似はしたくなかったのだ。
彼にとって一番の存在は、あくまでアルなのだから。
「ありがとう。俺は恩返しのほんの一部のつもりだから。礼はいらないよ。……ここは良い村だ。本当に、温かい。第二の故郷のような感じすらするよ。けど……行かなきゃ。機会があったら、また寄らせてもらう」
「ああ、いつでも来ると良いじゃろう。お主ならばいつでも儂らが歓迎するじゃろうて」
村長のレブルスが前に出てきて、笑みを浮かべながらそう言う。
アルも笑みを浮かべて、ちょっと思い出したように村人へ告げた。
「そうだ。あんたらには危険な目に遭ってほしくないから、言っておく。夏が終わるまでは山脈の中に入らないほうが良い。入らなければ、危険はないから」
「む? どういうことじゃ?」
レブルスは不思議そうに首を傾げる。他の男たちや、山脈に潜ったことのある冒険者たちも同様に首を傾げた。
「この村の冒険者が活動している範囲の中に、Aランクの魔物が現れ始める。しばらくは……少なくとも夏が終わるまでは、決して中には入るな。それは冗談でも、忠告でもない。……警告だ」
アルの真剣な眼差しを受けて、レブルスは息を呑んだ。
この数ヶ月間で、アルは村人たちからの多大な信頼を得ている。それが功を成したのか、村人たちの顔も真剣なものになった。
「……具体的には、いつ頃が良いのじゃ?」
「そう、だな。秋になれば確実にあいつらも引くだろう。皇帝に対する定期報告に関しては、『Aランク以上の魔物が自分たちの行動範囲内に現れ始めた』と伝えたほうが良いだろう。……俺の名前は、色々とまずいから出さないほうが良い。あと、秋になって報告するときは、『魔物は姿を消した』、で通じると思うから、そうしてほしい」
アルの言葉を信じて、レブルスを始めとした村人たちは一斉にうなずいてくれた。
「わかった。お主の言葉、全面的に信じることにしよう」
レブルスの言葉に安心したのか、アルは笑みを浮かべてうなずいた。
「よし、出発しよう!」
「おう!」
「了解」
「わかったよ!」
アラン、ルートス、ミーシャの順番で返事をし、ウォルはアルの背後で静かに頭を下げるだけだった。
こうして、アラン達三人は、カル村を出発した――。
*
「……は?」
「え?」
「……アル、今、なんて?」
「だから、このままじゃ時間がかかりすぎるから、空を飛んでいくぞって言ったんだ」
村から数キロ離れた街道まで歩いて、ルートス、ミーシャ、アランの呆然とした声が響く。
辺りは草原で、夏に近づく時期なので、緑色の草が鮮やかな絨毯を作り出していた。
「白夜、極夜、水狼。頼む」
『御意』
一斉に返事をすると、彼らはそれぞれ自分の体の大きさを本来の姿に戻す。
白夜と水狼は体長約二メートル強、極夜は体長三メートルほどにまでなった。
「え……?」
アランは呆然と呟く。
村では白夜と水狼の本来の姿を見ることはできなかったが、アランは、水狼の本来の姿に見覚えがあった。それは、当時その現場にいたミーシャも同様だ。
「極夜、三人を頼む」
『うむ、承知した』
だが、そんな二人の様子に気づいていながらも、アルは結局無視して三人へ極夜に乗るように促した。
「ほら、早く乗ってくれ」
アルは水狼に跨りながらそう言う。ウォルも白夜の背に飛び乗り、黙って主の指示を待っていた。
「え? い、いきなりか!? ちょっとそれは……」
「大丈夫だ。極夜は背に人を乗せる時、結界を張ってくれる。慣性の法則はどうにもならないが、落ちはしない」
「ほ、本当だろうな……?」
「ここに来て恩人を殺すか」
ルートスの不安そうな声にアルは即答した。
アランはそんな二人のやり取りを聞いて意を決し、彼らが乗りやすいように身を屈めている極夜の背に飛び乗る。
「うおっ! なんだこれ! すごい触り心地が……!」
ルートスとミーシャが顔を見合わせ、アランのその言葉が気になったのか、好奇心に負けて覚悟を決めるのだった。
「え? これは……」
「すごい……気持ちいいなあ」
ルートスが多少戸惑う中で、ミーシャはシルクの如き極夜の羽毛を堪能していた。
アルがそんな三人の様子に満足そうにうなずくと、従魔たちへ指示を出し、五人と三匹の一行は空へと舞い上がって行った。
空を飛ぶ一行のスピードは、凄まじいものだった。馬に乗るよりも圧倒的に早いペースで進んできたアラン達一行は、都まで歩きで七日程度の距離を稼いだ。
だが、いくら空を飛ぶことが圧倒的に早い、もしくは速いとは言っても、たった一日で都に着くことは不可能だった。
「……一気にここまで来ちまったな」
「明日の朝には都に着くだろう。……いいか、田舎人は都会に行くと周りを見回すという特徴がある。アルスレンド様に不躾な視線を送る輩が増えるから、前だけを見て堂々と歩くのだぞ」
ウォルがアルのために紅茶を淹れながらそう言う。目を細めて威圧を発している辺り、彼はまだアラン達を認めてはいないらしい。
「ウォル、言い過ぎだぞ。まあ、ここまで来ればとりあえずは大丈夫だろうけど……」
「そう言えば、アル。お前、追われてるんじゃなかったのか?」
「ああ、まあな。ちょっと事情があって以前は駄目だったけど、今ならあんな奴はどうとでもなる」
「……お前、Aランク冒険者だろ? ジャノンさんみたいなBランク冒険者でも向こうは厄介がってたのに、お前みたいなAランク冒険者があの怪我ってどういう……」
「アルスレンド様はあの時……!」
「待て、ウォル。……俺が話す」
「……はっ」
相変わらずアルの一言で鎮まるウォルだが、その目には主を心の底から心配する色があった。だがアルはそんな彼に感謝の視線を送るだけで、特に何も言わなかった。
「……さて、俺の事情に巻き込まれることを承知で助けてくれたっていうのは、ジャノンの言葉でよくわかってる。そうなった以上、アラン達には最後まで付き合ってもらうぞ。……それでも、構わないな?」
アルのその言葉に、アラン達三人は当然とうなずく。
「教えてくれ。あの時、何があったのか」
ルートスが代表するかのように尋ねる。アルも真剣な表情をしてうなずくと、静かに息を吸った。
「……まず、最初に。俺は、獣人族じゃない」
『は?』
いきなり告げられた言葉に、三人は間の抜けた声を出す。
だが、それも当然だろう。アルの頭には狼の耳、尻には同じく狼の尻尾があるのだから。
「獣人と一緒にしないでほしい。俺の本当の……って言うのか? まあ、ちょっと複雑だが……」
不愉快そうに呟いた後、アルがそっと目を瞑ると、見る間にアルの髪色が変わっていく。三人は目を軽く見開き、数秒後にはアルの髪の色は紺色になっていた。当然と言うべきか、耳や尻尾も髪と同じ紺色になっていた。
「俺の種族は"才を持つ子"。そして、"虹目"……それも"片目"の持ち主だ」
アラン達の表情が、驚き一色に染まる。
"虹目"は"レイヴァの親戚"という別名でも呼ばれる戦闘民族だ。数は少ないが、強靭的な身体能力と魔術で敵を屠ることを楽しむ彼らは、まさに狂人と呼ぶに相応しい。
だがアルはレイヴァであり、狂人と呼ばれる"虹目"の特徴はほとんどない。
"虹目"の特徴は、その名の通り虹色の如く、あるいはパールの如く輝く瞳だ。だがアルは青色の目であり、虹色の目にはとても見えない。だが……
『っ!?』
アルの左目が、いつの間にか虹色に染まっていた。それはまさにパールのようだと表現するに相応しく、美しき光彩を放っていた。普段は長めの前髪でほぼ隠れている左目だが、今はアルがそれを掻き上げてその美しいといった形容詞がぴったりな目が全て露わになっている。
まばたきをすると目は元の色に戻っており、アルは小さくうめいて息を吐くと、静かに続けた。
「"虹目"は全員が狂人だとは限らない。まあ、そう言った者は目の色を染める度に大きく魔力を消費するから、あまり無闇には力を使えないんだけどな。……まあ、別にこのままでも十分なんだけどな」
「……つまり、アルは無闇に他人を傷つけない、と?」
「ああ。当然だろ」
少なくとも、アルは村人を傷つけなかった。村人が少し大きな喧嘩を起こしても、力を振るわずに止めていたのだ。
それ故にアラン達もそんなに心配はしていなかったのだが、念のための確認ということもあったのだろう。
「レイヴァで、青目で、才を持つ子で……更に虹目で、それも片目だってのか?」
普通の"虹目"は、両目を虹色に染めることができる。当然普段は別の色で、今アルがやって見せたように、戦闘になると力を発揮するべく目の色は虹色に染まる。
だがそんな"虹目"の持ち主の中でも、珍しい者がいる。それが、アルのように片目しか虹色に染められないという者だ。
"虹目"は、人間社会でも差別される。『虹目は狂人で人殺し』という印象が強いこの世界で、彼らが人間社会で差別されるのは仕方のないことだった。
片目は、そんな人間社会の中でも差別され、"虹目"の中でも差別される。
両目を虹色にできる通常の"虹目"は普段の十倍の力が出せるにも関わらず、"片目"はその二分の一……五倍の強化しかできない。
戦闘力を重視する"虹目"にとって、"片目"の彼らは足手纏いでしかないのだ。
だからこそ、レイヴァと同じく人間不信になり、警戒心がより強くなってしまう。
そんな特徴を持つ彼らだが、アルはこの時、覚悟を決めてアラン達に話をしていた。
彼らを敵から護る覚悟もそうだが、"片目"として彼らに嫌われてしまうかもしれないという覚悟。
だが、アラン達はアルを信頼している。だからこそ、彼を嫌う、あるいは差別するという選択肢はない。
それは、今まで田舎で、みんなで協力しながら暮らしていたことが影響しているのだろう。
「ははっ、やっぱりお前、すごい奴だったんだな」
「は?」
「すごいことだよ! だって、こんなにも希少な種族の血が重なりに重なって……それでも屈することなく今を生きてるってことは、それだけお前が強いって事なんだろ?」
アランは少し興奮気味にそう言う。
だがアルは呆然とアランを見つめるだけだ。そして、ルートスとミーシャもそんなアルに追い打ちをかけるように続ける。
「ああ、俺もそう思うよ。実際、アルを慕って一緒にいてくれる仲間がこんなにいるじゃないか。何でそんなに強張った表情で話す必要がある? 俺たちは、お前を信頼してるんだぞ?」
「そうだよそうだよ。私達はもう仲間じゃない? ここまで来てアルに協力しないなんてことはないよ。アルがなんだろうと、アルはアルなんだから」
「…………」
そんな光景を黙って眺めているのは、ウォルだった。
自分の主をこんなにも激励してくれるような人間は、それこそ数えるくらいの数しかいなかった。
彼がほとんど家族の下に帰ることができずにいる理由は様々だが、それのせいで少なからず孤独を感じているのは間違いない。
自分が主を支える。
そう決意し、忠誠を誓っているウォルからすれば、彼ら三人の言葉はとても温かいものに思えた。
従者としてではなく、友人として。
「ありがとう。また励まされた、か。そうだな。なんか、馬鹿らしくなってきた」
アルが空を仰ぎながら髪の色を紺色から白銀色へと戻す。そして笑みを浮かべながら正面に向き直り、改めて言った。
「まあ、俺の種族に関してはこんなところ、だ。で、追われてる理由に関しては」
言わなくてももうわかるだろう? とそんな視線を三人に送る。
「……つまり、お前の血筋、か」
「ああ。まあ、正確に言えば血液なんだろうがな。……ああ、ついでに言っておこう。俺はさっき話した三つの種族だけじゃなくて、人魚族の血も持ってる」
「は!?」
声を荒げたのはアラン。ルートスとミーシャも驚きで目を見開いていたが、もう十分に驚いたためか声には出さない。
「奴らは知らないことだがな。……もっと正確に言えば、人魚族の魂が俺の体に宿っている、と言った方がいいんだろうけど。所謂、二重人格ってやつに似ている」
「……な、るほど」
ミーシャが小さく呟く。
人魚族は、基本海の中に暮らす種族だ。
普通に人魚と聞けば、上半身人、下半身魚といったイメージをするだろうが、この場合は違う。
魚類と人類の血と特徴を持つ彼らは、体を鱗と毛で覆われている。魔力は少ないが、水を操る能力は高く身体能力も高い。特に水の中では地上にいる時とは比べ物にならないほど強い。
そんな、アルの体を流れる様々な種族の血は、戦闘に特化したものだと言っても決して過言ではない。
レイヴァという戦闘民族の末裔の血に、青目と言う最高段階の魔力量を持つ魔術の才能、"片目"という戦闘民族――別名をレイヴァの親戚――による身体強化、"才を持つ子"というあらゆることに才能を持つ種族の血、人魚族の持つ大きな身体能力と普通ならあり得ないほどに多くの種族の血を、アルは持っている。
そんな才能を持つ者を、放っておけるはずがないのだろう。
彼の遺伝子を持つ子供が出来れば、それは赤ん坊のころから調教すればほぼ間違いなく自分たちの戦力となるのだから。
「まあ、そんなわけで。色んな奴らに狙われてたりするわけ」
「狙われてたりするわけ……じゃないぞ。なんでそんなに呑気な雰囲気で言える?」
「……慣れてるからな」
『…………』
しみじみと呟かれるそのアルの雰囲気は、十五歳ほどの少年のそれではなかった。
ふと、アランは気になっていたことがあったとアルに問いかける。
「なあ、アル。お前が目を覚ましてジャノンさんに励まされた時に、『ちょう』って言いかけたよな? あれって……」
「ん? ああ、『俺はこれでも長命種族だ』って言いたかったんだ。けど、あの時はあの場にいた奴らを信用するわけにはいかなくてな」
「やっぱりな」
アランはそう呟く。今の彼の話を聞いてなんとなくわかってはいたのだが、確認しないわけにはいかなかった。
そしてそんなアランを見ていたルートスが、手に持ったカップを仰いで茶を飲むと、改めて訊ねた。
「……それで、アルが敵に攻撃をできなかったのは? 何かあるとは言っていたけど」
「ああ、それか。これだ」
そう言って、アルは手を握り、掌を上に向けて拳を開いた。
収納魔法を使って異空間に仕舞っていた物を取り出したのだ。アラン達はそれを最初に見た時は驚いたのだが、驚くことにも疲れた彼らはもう反応しない。
だが、アルの手の上に載った物……と言うにはかなりバラバラになっている何かの残骸を見て、三人は頭に疑問符を浮かべた。
「……えっと、これは?」
ミーシャが訊ねる。それを聞いてアルはうなずくと、再び残骸を異空間に仕舞い込んで言った。
「魔力制御装置。高性能な魔道具だ。これのお陰で俺は他人に直接の攻撃が出来なくなった。わざわざこれを、俺のためだけに大きな労力を費やしてプレゼントしてくれたんだよ。……アランが見た、あのタキシードの男にな」
アランは、初めてアルと会った日のギルドでの出来事を思い出す。
エメラルドグリーンの髪をオールバックにした若い男は、ジャノンとアルの攻撃によってさっさと諦めて去って行った。
「こいつを作るのにかなりの時間と金を費やしたらしいから、しばらくは大丈夫だとは思うけど……何代にも渡って俺を狙ってきたような組織だ、今さら諦めるとも思えない」
呟き、アルは溜息を吐く。何代にも渡って、と言う部分にアラン達は同情を覚えたが、アルの戦闘の血筋を思えばある意味では仕方のないことなのだろう。
「まあ、またアルスレンド様を狙ってきたら追い返すだけだがな」
ウォルはアルに追加の紅茶を淹れながらそう言った。アラン達に対する口調が若干柔らかくなったのは、先ほどのアルへの激励の言葉が影響しているのだろうが、アラン達はそれに気づきはしない。
「ともあれ、今回の件はそんな感じだ。……ふう」
茶を一口飲み、アルは息を吐いた。
「お疲れ様です」
「ああ」
ウォルが労いの言葉を入れると、アルは短く返した。
「なるほどな。深い事情があるのはわかってたんだけど、まさかここまで深いとは……」
ルートスがしみじみと呟く。
「そうだね。アルってば、最初から話してくれれば……ああ、私達を信頼するわけにはいかないんだったね」
「ああ。まあ、今は信頼してるよ。もちろん、カル村の人達も……」
だが、あの大人数の前でこの話をするつもりはない。あんなに多くの人に自分のことを話せば、少なからず迷惑をかける。
自分を狙ってきている組織は一国の力を物ともしないほどの力を持っている。それは、いくつかある大きな組織はすべて例外なく、だ。
自分の秘密を知った人間がどうなるか、組織によってやり方は違うだろうがどうせ碌な目には遭わない。
今回アラン達にその話をしたのは、自分と旅をする上で、なぜ自分が追われているのかというそこら辺の事情を話さなければ、信頼は落ちるだろうと判断したからだ。
知り合いの誰かに彼らを任せても良かったのだろうが、それでは無責任だとアルは思っている。
ならば最初から誘わなければ良いのだが、やはり可能性を秘めた卵を潰してしまうのはもったいない。
だからこそ、アルも決意して彼らを連れてきて、こうして話をしたのだから。
「ああ、わかっていると思うけど、今回の話の件は……」
アルは、静かに人さし指を立てて口に当てる。その行為だけで何を示しているのか、想像するに難くないだろう。
三人はわかっているとばかりに、即座にうなずくのだった。
主な登場人物
○アルスレンド・ネロヴァッサー
"才を持つ子"、"白髪に青い目を持つ子"、"虹目"、人魚族 年齢不詳 男
謎の多い少年。戦闘の血筋を狙われていたところをアランたちに助けられる。




