"時空の乱れ"
「うるせえな。塵も積もれば山となるってよく言うけどな、ゴミはいくら集まってもゴミなんだよ」
男達が固まっていた理由は、少年の発している強烈な殺気だった。
周りにも何人か人はいるのだが、人々は少年の姿に驚きの視線を送っている。
コクとハクも、特に何かを感じているわけではない。だが、少年が発しているのが殺気だというのは、冒険者としての経験や本能で理解できる。できるからこそ、感嘆する。
「殺気を特定の相手だけに当てる、か」
「随分と珍しい技使うじゃねえか」
コクは腕を組んで、ニヤリと笑みを浮かべた。
男達を挟んで目の前に立っている少年には気配がなかった。その時点で只者じゃないというのは察してはいたのたが、やはり気配がないと力量を測る上では難しいものがある。
ましてや、あの小柄で華奢な体型だ。コクは見た目で人を判断したりはしないのだが、やはりその見た目が余計に妨げとなって、彼の力量を正確には測れないでいた。
しかし、一般人では殺気を放つということもできないのに、それを特定の相手だけに当てるというのは、普通の冒険者でも、ましてやAランク冒険者でもできない。……いや、出来たとしても稀だと言った方が正しいか。
「で? やるのか?」
低く――声変わりしていないが――鋭い声で、少年は話しかける。
だが、男達は少年の殺気に当てられてうんともうなずけないし、言葉も発せない。それを分かっているだろうに、少年は殺気を収めようとしない。
「……なあ、もういいんじゃないか?」
思わず、と言った風に、コクが少年へ話しかけた。
その声に少年は反応し、小さくため息を吐いて殺気を収める。
「散れ。二度と話しかけてくるな」
「ひ、ひいっ!」
威圧の込められた声をかけられ、男たちは小さく悲鳴を上げながらそそくさとその場を去っていった。
「……ふう、騒がせてしまったようですまなかったな」
小さく息を吐き、少年はコクとハクへと歩み寄っていった。
「いや。こっちこそ、邪魔したか?」
「まあ、別に構わないさ。こんな見た目だから、ああいう奴らに絡まれるのはしょっちゅうでな」
少年が頭巾の下から見える口元に苦笑の笑みを浮かべると、コクはふと真顔になって少年へ話しかける。
「なあ、あんた。只者じゃないな?」
不意に言われたことなので、少年の口元もふっと真顔になる。
「さあ、どうだろうな?」
はぐらかすように少年は言う。それに対して、ハクも一言告げる。
「王都じゃ見かけないけど……他の街から?」
「ああ、まあな。……ん?」
「ん?」
急に声を上げた少年に、ハクが同じ声を上げる。少年はハクの体を見回し、何かを考え始めた。
しばらくじっとしていた少年だったが、やがてにやりと笑みを浮かべると、両手を頭巾にかけて外した。
その瞬間、コクとハクは驚きの表情を浮かべる。
だが、それも当然のことだった。今までに見たことのなかった、ハクと同じ白銀の髪を持つ人。それが、目の前の少年だった。
狼の獣人なのか、その頭には狼の耳があった。
「俺の名前はスイ。もしかして……だけど、ハク、って名前なんじゃないか、お前?」
「は……? なんで、それを?」
スイと名乗った少年は更に笑みを深める。
防音の結界を張り、周りの人から会話を遮断すると、スイは口を開いた。
「お前たちの知り合いに、パトロスという人がいるだろう?」
「ああ」
スイのその言葉に一瞬驚いたものの、コクがそう受け答える。
「彼に教えてもらったんだ。これでも伝手は広いのでね。……ちなみに、俺はSランク冒険者の一人だ。当然、同じSランク冒険者の顔も名前も知ってる」
『っ!?』
驚きを露わに、コクとハクは一歩後退る。
世界で三人しかいないSランク冒険者。そのうちの一人はコクとハクも良く知っているパトロスという男だが、自分たちが知っているもう一人のSランク冒険者は現在敵対しているリィヅ王国のSランク冒険者だ。
こんなにも近くにSランク冒険者が集中しているとは思えず、コクとハクも警戒した。
こうもあっさりと自分の正体を明かし、不思議そうに二人を見つめるスイに対して、コクは躊躇いがちに尋ねる。
「……まさか、リィヅ王国のSランク冒険者か?」
できれば違ってほしい、Sランクであるということが冗談であってほしい。そんな思いで尋ねたコクだったが、スイの目は冗談を言うものではなかった。
それはハクも理解しており、特に何も言わずにスイの答えを待つ。
「違うけど?」
即答だった。その時眉が少し顰められたのは、他人と一緒にしてほしくないという不愉快からのものだ。
それにはなんとなく気づいた二人だったが、あっさりと否定されて一瞬呆然とする。
「……本当だな?」
「ああ」
躊躇せずに、真顔でうなずくスイ。
そこに嘘はないと判断した二人は、ようやく警戒心を緩める。それでも完全に警戒を解かないのは、Sランクであると言ったことが影響しているのだろう。
Sランクというのは世界でたった三人しかいないのだ。昔はもう一人いたのだが、現在は表舞台から姿を消しており、知らない者も少ないがいる。
パトロスでもなく、リィヅ王国のSランク冒険者でもない、ましてや元Sランク冒険者だった自分たちの母でもないとなれば、残りは一人しかいない。
「……どの国にも属さない流離の冒険者……″放浪魔術剣士″」
「ほう、よく知ってるな。……まあ、千代の息子なら情報収集くらいはするよな」
『っ!?』
自分たちを拾い、育ててくれた母親の名前を出され、二人は再び警戒態勢に入る。だが、スイは特に慌てる様子はないまま冷静に言う。
「千代とは昔からの付き合いで知ってる。それに、お前たちに会うのも初めてじゃないと思うんだけどな?」
「は?」
声を上げたのは、ハクだった。
彼は一度見聞きしたら忘れないという特技……というよりは能力を持っている。だから、一度会った相手なら顔も名前も忘れていないはずだった。
コクに関しては、そもそも覚えることが苦手なので気にしていないが、ハクがこんな声を上げたということは本当は会っていないのだろうと判断するも……迷う。
目の前にいる人物は嘘を言っている様子は全くなく、むしろ真面目に話をしているようだった。だが、迷うのも一瞬……の内の一瞬。
彼の中でもっとも優先しているのは弟であるハクであり、見ず知らずの少年ではない。
「お前、目的は何だ?」
警戒心を隠しもせずに話しかけるコク。
それに対する返事は、肩を竦めるという行為だった。
「覚えていなくても当然だ。お前たちと会ったのは、まだ赤ん坊だった頃だし。お前ら二人とも、ぐっすりと眠ってたんだから」
要するに、ハクの能力云々ではないと暗に伝えている。
「ともあれ、俺の身分はどうでもいい。ちょっと約束があるので、ここで失礼するよ。また会おう、コク、ハク」
コクも名前を呼ばれ、肩をわずかに揺らす。
名乗ってもいないのに名前を呼ばれるのは、どこか薄気味悪さすら感じた。だが、悪者でもないようなので、あからさまな態度を取るわけにはいかない。
もしSランクという肩書が本当なら、自分達では勝ち目はないのだから。
スイは手をひらひらと振りながら、頭巾を被り直してその場を去っていった。
*
「……これが、アルとの出会いだった」
「へえ。アルさんってば、そんな風に思われてたんですか?」
「……まあ、あの時は二人とここまで親しくなるとは思ってなかったけどな」
食後の紅茶を飲みながら、アルが呟く。
「なあ、前から気になってたけど、母さんとはどういう関係なんだよ?」
「ん? 単純に、同じSランク冒険者としての友人って関係だけど? ……十五年ぶりに会いに行ってみれば、コクとハクとはすれ違いだったんだよな。辺境のラーズに送ったって言ってたから行ってみれば、またすれ違うし……」
「あら、アルでもそんなことがあるのね」
「普段生活してない世界なんだから、仕方ないだろ?」
不服そうに呟くアル。その後カップを机に置いて落ち着くと、ふっと真顔になる。
「……それで、今回の本題だが」
それが、何を指しているのかは、この場にいる者は全員が理解していた。コクとハクに至っては自分たちの事なのだから当然だろう。
「まず、コクとハクまでこの世界の事情に巻き込まれることになるが……それでも、構わないな?」
確認するように尋ねるアルへ、コクとハクは躊躇わずうなずいた。
「さて。さっき、コクとハクは、暗黒大戦の前に起こる現象の一つの、被害者だと言ったな」
アルのその一言に、全員がうなずく。
「その現象とは、″時空の乱れ″という現象のことだ」
「ホーラ……」
「スパティウム?」
コクとハクの二人が呆然とそう返す。聞いたことがない名前だけに、他の面々も首を傾げる。
それも当然だろうとアルはうなずき、指を鳴らす。すると、空中に現れたのはアルの従魔であり、友人である水狼たち。
「″時空の乱れ″とは、文字通りの意味だ。古代語で訳されたこれは、ずっと昔から存在している。……現代語で訳すと、時間と空間の乱れ、だ」
「時間と空間の乱れ? 要は時間と空間が歪むってこと?」
勘の鋭いレイが、そう尋ねる。事実それは的中し、アルがそれに対して首肯したことからそれははっきりした。
「次元乱流とも名付けられたことがあったけど、今はこっちが使われてるな。……で、主な現象は、異世界の人や物をこちら側に無理矢理引き摺ってくること」
つまり、お前達のことだ。
そういった視線をコクとハクへ送る。わかっているとばかりに二人はうなずき、他の者も大体のことは察していたのでうなずく。
そもそも、異世界という存在すらなかなか信じられないだろうに、アラン達までしっかりと話についていけているようだった。……もっとも、まだ子供であるロイには話が全くわからず、お腹が膨れたこともあってユウキの隣でうとうとしているのだが。
「今呼び出したこいつらは、魔物でもあるがもともと幻獣という存在だ。彼らは普段異界へ体を落ち着けている。こことは違う別の世界を普段の居場所としている幻獣がこちらに無理矢理引き摺り出されることもあるんだ」
翼狼、雷鳥、九尾はAランク以上の強力な魔物……そして幻獣と呼ばれる存在だ。そんな彼らが普通なら滅多に人の前に現れないのは、普段は異界に身を置いているからなのだ。……その他にも、元の数が少ないということもあるのだが。
「ともあれ、簡単に説明をすればこんな感じだ」
「主なって言ってたけど、他にあるのか?」
ルートスが尋ねる。
それはアランとミーシャも、コクとハクも気になっていたのか、アルへと視線を向けた。アルファ達はそこらの事情を把握しているので特に気になってはいなかったが、少しだけ焦るような、心配するような視線を向けていた。
……もっとも、一流以上である冒険者である彼らがそうあからさまにそんな態度は見せないのだが。
「そうだな。こちらの世界への影響が、非常に大きい」
「こっちの? 俺達の世界じゃなくてか?」
コクが尋ねる。
実際問題、異世界の人や物をこちら側に無理矢理引き摺ってくるというとんでもない影響を、自分たちの暮らしていた世界に及ぼしているのだ。
それを考えれば、こちらの世界への影響が、ではなく、こちらの世界への影響も、と表現できるだろう。
だが、それに対してアルは首を横に振る。それを見たコクとハクは、表情を引き締めた。
「確かに向こう側の世界にも、異世界との扉を開かせたという意味では少なからず影響は大きいだろう。けど、こっちにはもっと大きい問題がある」
「それは?」
ルートスが即座に尋ねる。
「まず、異世界への扉がこちらに開いたら、近場に村があるとすればそこは全焼する」
アルは、五十年以上も前のロクベイ村大火事事件や思い出しながらそう告げる。
ロクベイ村はレラン王国の王都付近にあるギルドサニーズ、アルの所属ギルドの近くにある小さな村で、水属性魔法を使える者が一人しかいなかったために消火が遅くなった。だが、近くにギルドがあったのが幸いし、死者は出たものの、取り残された者の中で助かった者がいたのも事実だ。
いきなり発火し、全焼した村。
アルはその調査を依頼された。
そしてそれを解明し、原因は″時空の乱れ″である、と告げたのだ。
″時空の乱れ″とは、すなわち空間に出来る歪みだ。異世界だけでなく、過去や未来からも人や物を運んでくる。
実際に、未来から来たと思われる魔道具というのは今もなお存在している。それのお陰で魔道具が次々に開発されていき、後にいくつか行方不明になったという事案もある。
「過去や未来、異世界から人や物を……ね」
アリュスフィアが呟く。
コクとハクも、深刻そうな顔でアルを見つめる。
「……元の世界には、戻れるの?」
ハクが尋ねる。
時空の乱れは半ば自然現象に近い。……いや、自然現象だ。
それが原因で自分たちは異世界に飛ばされたのだから、戻れる方法は少ないだろうと……あるいはないだろうと思っていた。
人の力では、空間を切り裂いて異世界に渡ることなどできない。だからこそ、一般の人間は異世界の存在すら信じていない、もしくは知らないのだから。
自分たちの暮らしている世界での四つの偉業を一人でやり遂げてしまったハクですら、異世界に渡る術など知らない。ましてや、自分たちが暮らしていた世界という特定の場所に行きたいのだ。
異世界が一つだけとは思えない。
それこそ、星の数ほどあるだろう。
そんな中の一つを、とんでもない奇跡でもない限り、一発……いや、数十発で当てられるかどうか。
それでも、アルは自分たちの世界に渡ってきた。おそらくは大丈夫だろうと、わずかな期待を抱いてはいたのだ。
そう思って、ハクはアルに尋ねた。しかし……
「ああ、いくらでもある」
『え?』
間の抜けた声がリビングに響いた。だが、当然だろう。
事情を知っているアルファ達はともかく、この世界の秘密を知らない者達は何も把握していないのだ。もちろん、異世界に渡る方法も。
「まず、コクとハクの暮らしていた世界への″扉″が開いていれば、一般人でも渡れる。……けど、その扉は百年前に閉じてそれっきりだからな。あと千年と数日待たないと開かない」
「そ、そんなっ!」
コクが、机を両手で叩いて立ち上がる。
コクとハクとて人間だ。……いや、正確にはアルの血を引いている以上普通の人間より何百年と長く生きるのだが、長命種族ならばともかく、千年もの年月を、待っていられるはずがない。
だがアルは彼に落ち着くように促し、座らせる。
「いくらでもあるって言ったろ。お前らの世界への″扉″は今は閉じているから使えないとして……」
この世界には、″時空の乱れ″とは違う異世界に渡る″扉″が存在している。
それは場所によって繋がっている先は違う。もちろん、コクとハクの暮らしている世界への扉も存在している。だが、扉は物によってばらばらだが、開いている時と閉じている時の期間が決まっている。例えば、コクとハクの世界に繋がっている扉は、閉じている期間は千百年と少しだが、開いている時間はたった十年だ。
それでも開いている時間はまだ長い方で、一番短いのは半日だ。
扉が閉まっているのは、異世界へ渡るための魔力が足りないからだ。この世界各地に存在している扉は、人気のない場所にある。周囲の特殊な魔素を吸い、魔力に変換してそれを溜め、溜まったら開く。そして魔力が尽きれば閉まり、また魔力を溜めるのだ。
その量もまた扉ごとに違っているので、開いている期間と閉じている期間が各々違うのだ。
「……アルって、どうやって俺たちの世界に来て、帰ってきたんだよ? もう百年もその扉は開いてないんだろ?」
「だから、いくらでもあると言っただろ。扉じゃなくても、魔術で時空を移動できるんだよ」
「……魔術?」
ハクが小さく声を上げた。
彼にとって魔術というもののイメージは、今ではほとんど失われた古代の魔術というものだ。それが、この世界でも存在しているのかと。だが、アルならその魔術が使えてもおかしくはないと納得してうなずいた。
「コクやハクの魔術のイメージは古代魔術という感じだろうけど、こっちでの魔術というのは、大きな魔力量を持つ者が使うものであって、古代の魔術とは関連性はほとんどない。まあ、古代魔術というのも存在はしているけど、そっちとは違って今は成長段階だからな。古代のものよりも、今の方が魔法は発展してる。魔術の方が強いというのは変わらないんだけど、こっちの魔術師は数が少ないことに変わりはないけどそれなりにいる」
暗にそっちの世界の魔法使いは魔法を劣化させていると言われた気がして面白くないコクとハクだったが、事実であるために何も言えない。
「……まあ、成長段階とはいっても、このまま魔術師の数が減り続ければ、すぐに魔法も廃れていくだろうけどな」
「……魔術師、減ってるのか?」
アルファがアルへと尋ねた。それに対しアルは間もなく首肯し、口を開く。
「少なくても、十年前に比べても明らかに少ない。百年前はもっといたんだがな。……近年の魔法技術が発達しすぎて、魔術師のような魔力量だけではない者も出てくるようになったんだ。魔法を使うことで、魔法使いの体にも少なからず影響してるってことだ。このままじゃ、魔法使いはいても、魔術師は確実に滅びるだろうな」
十年、二十年、三十年……百年と経って、確実に魔術師の数は減っている。魔術師並みの魔力の持ち主の数は、例年に比べて半分以下になっている。十年前に比べて、魔術の使い手というのが更に希少な存在になった。
そういう意味では、この場に魔術師が三人も揃っているということ自体奇跡に近い。……まあ、アルやユウキの二人はまだ魔術師がだいぶ残っていた時代も生きているのだから少し違うかも知れないが。
「……なるほど。こっちでは、魔法使いと魔術師とでは使う魔法自体が違うということなのか」
「そういうことだ。まあ、とにかく今回は本当に厄介な戦争だな。ああ、そうだ。コクとハクは俺が魔術で元の世界に帰す。……けど、戦争には二人にも参加してほしい」
「……戦争とか、何を巡ってやるんだよ」
コクにとって戦争というのに対し、決していい印象を持たない。だが、それは当たり前のことだ。
戦争とは人同士の醜い争いを指す言葉なのだから。
金もかかるし、何より人はたくさん死ぬ。自然も死ぬことがある。誰だって、国民としては戦争などしたくはないだろう。
その原因は色々ある。それこそ、土地を巡っての戦争、一国を傘下に収めようとしての戦争、一国に恨みを持っての戦争……などといったように、戦争をする国によって戦う理由は違うのだ。……だが、今回の戦争では事情が違う。
「世界の命運を巡った戦争だ」
「はっ、そんなこと……は?」
どうせ国同士のくだらない争いだと思っていたコクだったのだが、世界の命運を巡っての戦争だと言われれば考えを変えざるを得ない。
「今回は国同士の戦いじゃないんだ。……そもそも、この世界じゃ国ごとに守神がいて、戦争なんて起こせないようになってるんだぞ」
「……そ、そうなのか? って、そうじゃなくて、世界の命運をかけて、って、どういう……?」
混乱しているコクに向かってアルは一つうなずくと、表情を変えないまま告げる。
「言ったろ。巻き込むことになるって。……これは、人同士の争いじゃない。種族間の争いだ。……この世界を滅ぼそうとする闇族と、それを止めようとする人類の、な」
初めてその話を聞くコクとハクは、呆然とアルの言葉を聞くのだった。




