五話
5・待望の侵入者
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神創暦431年7月9日08:16
ダンジョンを開放してから5日が経ったが、未だに侵入者は野生の獣のみだ。
野生の獣は倒してもDPが少ししか入らない。
1日経過毎に1,000DPが入るので今日で5,000DPが貯まったのでゴブリン召喚陣を第二階層の隠し部屋に設置した。
現在第一階層にはゴブリン108体とスライム148体がいる。
あまり増えすぎるのも困るのでどうした物かと思ったがどうやら召喚陣から出るペースを調整したり、纏めて一定時間に出す事が出来るらしいので早速設定を変更した。
ついでにゴブリンを10体毎にグループに分けてダンジョンの外の魔物を狩るようにした。
ダンジョンの外で倒すと通常の半分しかDPは入らないらしいが、少しでもゴブリンを強化したいのでそこは妥協した。
まあ、それにゴブリンは食事が必要だから仕方がない。
スライムは苔と水があれば大丈夫で、スケルトンはそもそも食事をしない。
かくいう自分も食事は別に食べなくても大丈夫だ。
まあ、不思議なことにこの骨の体でも口に入れたら味がするし骨の隙間から零れ落ちない。
食べた飲食物は何処かへ消える。
まあ、そんなに深く考えずとも困らないしいいか。
そうそう、ゴブリンにスライム、スケルトンのステータスを確認しておこう。
まあ、個体ごとに多少違いはあるが、だいたいは同じだ。
Level:1 〈ゴブリン〉
名前:ノーネーム
職業:--
性別:オス
所属:ダンジョンモンスター
ランク:1
HP:50/50
MP:10/10
STR:20
DEX:15
VIT:9
INT:6
AGI:5
MND:6
LUK:2
-スキル-
棍棒術Lv1
Level:1 〈スライム〉
名前:ノーネーム
職業:--
性別:--
所属:ダンジョンモンスター
ランク:1
HP:13/13
MP:8/8
STR:9
DEX:4
VIT:14
INT:3
AGI:3
MND:6
LUK:3
-スキル-
物理攻撃無効Lv1
Level:1 〈スケルトン〉
名前:ノーネーム
職業:--
性別:--
所属:ダンジョンモンスター
ランク:3
HP:100/100
MP:30/30
STR:35
DEX:40
VIT:48
INT:32
AGI:21
MND:35
LUK:16
-スキル-
剣術Lv2
盾術Lv2
そんな事をしながらダラダラとしていると外に出ているゴブリンから思念が飛んで来た。
ダンジョンで生まれたモンスターとダンジョンマスターは思念が使える。
『グギャ、グギギャ』
どうやら冒険者が4人此方に向かって来るらしい。
ゴブリン共にこのダンジョンまで誘導する様に命じた。
『了解』と返事は来たが心配だ。
何せゴブリンは頭があまりよろしくないからな。
待つ事10分遂に冒険者の姿が見えた。
どうやら心配は杞憂に終わった様で一安心だ。
現在の時刻は、神創歴431年7月9日13:35である。
見た所如何にも初心者の者達だ。
多分F級の者達だろう。
苔の洞窟はF級だからまあ、おかしなことではないが、この虚無の世界は見た目は苔の洞窟とほぼ同じだがランクとしては今の所D級だ。
それはひとえにダンジョンマスターと門番である守護者達が強力な個体であるが故だろう。
そうでなくては良くてE級だ。
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-冒険者サイド-
時は少し遡る事数時間前。
此処は苔の洞窟などがあるノービスの森の近くにある街【ニアサイド】初心者の冒険者が集まる中級都市である。
冒険者とは所謂何でも屋の様なものである。
冒険者ギルドと言う仕事斡旋所の壁に掲示されている物の中から、自分のランクに見合った仕事を選び受付に提出し、期限などが書いてあれば期限内に書いてある事を達成すると報酬とポイントが入る。
ポイントがある程度貯まると次のランクへと昇格が出来る。
但しDランク以上は昇格試験がある。
ランクとは冒険者の総合力から評価される物を明確にしたものだ。
一番上のランクがSとなり一番したがGだ。
まあ、Gは仮免みたいな物で12歳までの子供がなるランクである。
これは危険な街の外などに行かずに小遣い稼ぎ程度の報酬である。
まだ体が出来上がってきて居ない者には流石に、冒険者としては受け入れられない。
だが孤児などの者達は犯罪に手を出しやすい傾向にあるためにその対策として、約100年前に新たにGランクを作り街のゴミ掃除などを斡旋してその日に報酬を渡し、犯罪に走る孤児などの人数を減らす事に成功した。
勿論Fランクの冒険者も街の中の安全な依頼は受けられるが、基本的にGランクの者達が優先だ。
後は、死傷率を減らす為と優秀な冒険者を増やす目的の為に引退した冒険者を講師に、冒険者養成学校や、講習が出来た。
基本的に入学や講習を受けるのは無料だが冒険者養成学校の生徒は最低でも10年間講習生は5年間如何なる理由があろうと、冒険者を辞める事が出来なくなる。
更に怪我や病気以外で長期間依頼を受けなかった場合には罰則が与えられる。
冒険者のランクは以下の通りだ。
S→A→B→C→D→E→F→G
の八段階である。
そして此処ニアサイドの最高ランクはDランクパーティーの者達7人とDランクの冒険者2人の計9人だ。
パーティーランクと個人ランクは別である。
例えばFランクの魔物を1人で倒せる実力のある者はFランク冒険者と呼ばれ、1人ではFランクの魔物を倒せなくてもパーティーでなら倒せればそのパーティーはFランクパーティーとされる。
なので例えばFランクパーティーにDランクの冒険者が加入して居ても、そのパーティーはDランクパーティーとはならずにFランクパーティー扱いだ。
それに依頼にはFランクと書かれて居てもパーティー推奨などの1人では手に余る場合の依頼もある。
例えばFランクの魔物が討伐対象だとしてもその魔物の数が多ければ1つ上のDランクの依頼になるか、はたまた、Fランクのパーティー用になったりと変化する。
以後割愛
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その日もFランク冒険者パーティー【火蜥蜴の尻尾】の4人は依頼を求めて冒険者ギルドを訪れて居た。
彼らはこの街最高の冒険者である、Dランクのサーシェとラボックのコンビに弟子入りしている者達だ。
このパーティーのリーダーである、サムがサーシェの弟である為に教えを受けているのだ。
そして昨日からサーシェとラボックは護衛依頼で隣町まで隊商を護衛して、帰ってくるのは明日を予定している。
サムが集まった他の3人のメンバーに今日の予定を告げる。
「なぁみんな。今日【苔の洞窟】に挑戦してみないか?俺たちもそろそろ一端の冒険者になった事だしさ。腕試しに迷宮に挑戦しようぜ?」
それを聞いたメンバーのうち魔術士のミールは「えっ!?まだ私達には早くないですか?それにサーシェさんとラボックさんは明日まで帰って来ませんよ?行くならお二方の許可を貰ってからの方が良くないですか?」と反対の意見を述べる。
「うーん。私は挑戦したいかな?それに何時迄もサーシェさんとラボックさんの2人に負んぶに抱っこだど何時迄も成長しなくない?」と弓使いのメルシーは言う。
「俺も挑戦したいかな?自分が何処までやれるのか見極めたいし、それに苔の洞窟はF級と一番下のランクだし、挑戦するにはもってこいだぜ?」大剣使いのボーシュも賛成する。
「ほら?2人もこう言ってるしさ。俺も姉貴に何時迄も頼るのは情けねぇしな。それに危うくなれば逃げればいいさ。彼処は確か三階層で構成されていて、居るのはゴブリンとスライムだけじゃねぇか。それに迷宮の主人だった魔物はもうDランクパーティーの【高潔の絆】の人達が討伐して安全だしさ」
例えダンジョンマスターが滅っされたとしてもダンジョンコアさえ無事ならダンジョンはそのままだ。それにダンジョンマスターが復活しない様にダンジョンコアを封印すればダンジョンは最低限の機能しか発揮しなくなり、訓練所には持ってこいの場所へとなる。
苔の洞窟は罠もなくスライムとゴブリンが定期的に増産されるだけだ。
それにあまりに増え過ぎない様に定期的に間引き依頼が出されて最低限の安全は確保されて居る。
そのまま3人に説得されミールも渋々納得した。
後因みにサムは剣士だ。
こうしてFランクパーティー火蜥蜴の尻尾は受付でダンジョンに挑戦する事を告げて許可を取り苔の洞窟に向かうことにする。
因みにダンジョンに挑戦するには許可が居る。
ダンジョンのランクに見合って無ければ当選の様に許可は下りない。
それに間引く直前だと流石に初心者同然のFランクの者達だけだと不安が残るので許可されずDランクかEランクの同伴が推奨される。
それに何故定期的に間引くのかと言うとあまりに増えすぎると魔物の集団暴走『スタンピート』が発生する為だ。
そうすると脅威度はそのダンジョンのランクの1つ上、或いは2つ上へとなる。
その為に定期的に間引く必要がある。
4人は市場で装備を整え苔の洞窟へと向かった。
To be continued......