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君と僕の内部統制1
ある時、僕は財布を教室の自分の机の上に置いてトイレに行った。
すると、進が僕の財布を隠した(というか進が自らのポケットに入れたらしかった)。
僕がトイレから戻るとあるべきはずの場所にあるものがなかったため、僕は一瞬パニックになった。
「おかえり」
進は、僕の方へと向かって歩いてきた。僕は進が財布を持っている事を僕は知らない。
「進、僕の財布見なかった。自分の机の上に置いておいたんだけど」
時間的には、授業が終わって放課後ではあったが、まだ教室にはたくさんの人がいた。だから、僕は進がもっていることなんて微塵も思いつかなかった。誰かに持って行かれてしまったのだろうと思った。
「なぁ、イチロー。内部統制って知ってる?」
進が不思議なことを言い出した、短い高校2年の冬のお話である。




