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文化祭4

 次の日、クラスで文化祭の打ち合わせがあった。簡単に言うと、野菜販売大作戦の総指揮を執るメンバーの決定だ。選抜メンバーに5人選ぶということである。

 学校でよくある、この委員会的な制度では、大抵このメンバーが決めたことを、その他一般人が従って活動が行われる。大人ぶっているちょっと背伸びな女子たちが集まっているグループには絶対に選ばれて欲しくなった。僕は、きっとセンスのないブランディングをされると思ったからだ。なんのまとまりもない、統一感もないデザインをされるに決まっている。あのグループは一見まとまりのあるように見えて、実はまとまりがなかった。いざという時は簡単に切り捨てるし、自分が一番可愛いと思っている。どうして群れいるのかよくわからないけど、女子というものはそういうものなのかと僕は納得していた。

 そして、意外にもあっさりと代表は決まった。僕と、進と橋本と、クラスではもの静かな女の子、佐々木さん。軽音楽部に入っていて、ちょっとロックな安藤くんだ。

 僕が警戒していたグループは誰一人として手をあげなかった。理由は簡単だ。野菜なんて田舎娘が売るもんだろと言って、橋本を睨んでいた。彼らは、南商業グッズを作りたかったのだが、橋本の名演説のおかげで野菜になってしまったからだ。橋本は、そいつらにあっかんべーをかまして見せた。僕は、内心笑っていた。橋本のちょっと強気なその仕草は僕は嫌いじゃない。群れずとも一人でたくましく、そして美しく生きれる女性は素晴らしいと思う。

 

 僕らは、放課後、自主的に学校近くの喫茶店オアシスに集まった。店内は、クラシックが自然な音で流れていた。音が大きく聞こえるわけでもなく、かといって聞こえないわけでもなく。僕は、なぜだか胸が躍った。

「いらっしゃい」

 この喫茶店は何回か来たことがあるが、オレンジジュースが、南商業生なら100円だった。ここのマスターは、南商業の学生がとても好きらしい。甲子園に出ていたころは、甲子園にも駆けつけ応援していた。また、マスターの息子さん(すでに成人して結婚もしているらしい)も、昔は南商業の生徒で、野球部だった(甲子園にも行ったらしい)ポジションは、9番ライトだけど、とてもいいところで打つんだと、よく自慢された。僕らは、オレンジジュースと手作りツナトーストを頼んだ。ツナトーストも南商業生なら、150円だった。

「ココ、いいお店だね」

 安藤くんがつぶやいた。僕は「そうでしょ」と返した。安藤くんは、軽音部でボーカルギターをやっているらしい。髪がなんだかとても長くて前髪の間から目がちらちらと見えていたが、視界が良好なのか気になるところだった。あと、あまり大きな声で角を立てるような喋り方をしないヤツだった。

「あたし、初めてきた」

 佐々木さんは、とても心が躍っているように見えた。佐々木さんは、クラスでは数人の女子たちとひそひそと会話している子だ。僕も初めてしゃべった。佐々木さんは、漫画研究部に属しているらしく、漫画の知識と漫画っぽい絵がとっても甘かった。高校生という多感な時期だと、漫画はオタク扱いされるが、僕はそうは思わなかった。漫画から得るものはたくさんあると思っているかだ。それに、こないだ職員室に諸星先生に会いに行くと、週刊誌少年漫画を堂々と呼んでいた。何歳になっても読めるのは素晴らしいことなのだ。


 僕らは、しばらくどんなことがしたいのか話し合った。橋本は「野菜でごめんね」と少し気にしていたが、僕らは「むしろ、こっちの方が楽しい」と返事をした。僕らは、文化祭の物販に衝撃を与えるような野菜を売りたいということが根底にあるような意見を出し合い、この日は解散した。(まぁ、衝撃を与えるなら、土地の開墾から始めないと本当の意味ではできないのだが)



 

 

 

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