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文化祭1

 夏がおわった。

 いろいろなタイミングで「デビュー」という単語は使われる。小学校デビュー、中学校デビュー、高校デビューに大学デビュー。人は節目節目で変化を楽しむ人間らしい。この南商業でもご多分にもれず、デビューしたクラスの女の子がいた。

 夏休み前は、長い黒髪と目の上まであったパッツン前髪をゆらゆらと揺らしてお化けのような風貌であったが、夏休みをあけると、長い髪をばっさりと切り、茶色の髪の毛にゆるめのパーマをかけて登場した。そして、スタイルを変えて気をよくしたのか、スカートの丈も気持ち短くなっていた。もちろん、この少女の変貌に数少ない男子(主に野球部)の熱い視線を送っていた。

 僕は、といえば特に変化はない。合宿以降ずっと家にいた。簿記部で変わったのは橋本くらいだ。橋本は、髪をショートカットにして、黒髪ではあるがこちらもゆるめのパーマをあてていた。僕と進は「なんか髪の毛にうんこついてるよ」と茶化したが、この言葉が強すぎたせいか、橋本はショックを受けて1日しゃべってくれなかった。次の日、橋本にコンビニの高級アイスをおごることによって自体の収拾を図り、なんとか仲直りをすることになった。橋本は、「そういうときは、うんこじゃなくて、可愛くなったねとかっていうんだよ」と説教をくらったのだった。


 さてさて、9月も中盤になったホームルームで先生は「そろそろ文化祭の出し物を決めようか」と言った。僕らの部活には、目の上のたんこぶである先輩たちはいないため、文化祭については特になにも知らなかった。

 横の席にいた、テニス部の井上に聞くと、この学校の文化祭はとにかく「ヤバい」とのことだった。彼は、頭が悪いのかとにかく「ヤバい、ヤバいんだよ鈴木」としか言わなかった。たぶん、テニス部に入ると、ヤバいしか言えなくなるのかもしれない。簿記部も入ると電卓を恋人とか言い出すのとたぶん大差はないと思うけれど。

 井上に聞いたことを公開していると、先生は文化祭について説明し始めた。

「えっと、まぁ先輩たちから聞いてるかもしれないが、この学校の文化祭は、普通科とはわけが違う。君たちには本気でビジネスをしてもらう。商品を企画して作って、そして販売してもらう。もちろん利益が出たら君たちにがもらっていい。もちろん、あまりにも露骨な商売をやろうとしたら先生たちは止めるが、正当な範囲内と判断できるならば、なんでもやっていい。君たちは、文化祭で商人になる」

 この時、僕は商業高校という特徴がよく出ていると思った。ここは、商業科だ。商いを学ぶ場所である。僕らは、そのためにこの学校に来たのだ(僕は、食堂目当てだったが)

「ただし、学年によっていろいろ決まっているからそこは注意してくれ。君たちは一年生だから、物販だな」

 物販。何を販売するのか見当がつかないが、先生の話を引き続き聞くのであった。



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