合宿3〜2220の謎〜
これは、合宿が始まるまでの時間である(まだ始まらないのか。それとも筆者が悩んでいるのか。いい加減合宿を始めてあげれば良いのに。)
女子達はみな猫と戯れているであろうという中、男たちは皆でインドアを決め込んだ。
そして、進が言った。
「なぁ、あの電卓の2220てなんで2220になるんだろうな」
「あ、それ僕も思ってた」
メガネをクイっとあげて、鮎川は言った。僕には何をしゃべっているのか見当がつかなった。
「イチローは知らないのかよ」
僕は、うなづいた。
「電卓あるだろ?あれの打ち方で、どうやっても2220が出るようになる打ち方があるんだよ」
僕は、首をかしげた。
「まず、電卓は上から順に、789、456、123というキー配列だと思うんだ」
僕は、電卓を取り出して、キー配列を確認した。
「それで、7を先頭に死角を書くイメージで打って足してみて」
僕は、789、963、321、147と打った。
「2220だ」
「だろ?つぎに、9からも打ってみろよ」
僕は、963、321、147、789と足しながら打った。
「2220だ。でも、これ同じ数字打ってるよね」
「まぁあね。でも、どっから打っても同じ数値が打てるのはちょっとすごいだろ?で。次だ。こんどは、クロスさせるんだ」
僕は、進が手振りで描くクロスの通りに、963、357、741、159と打った。
「2220……だ」
僕は、驚いて口が開きっぱなしだった。
「すごいだろ?」
「すごいけど……進はなんでこんなのわかったの?ネットにでも出てたの?」
「いや、なんか勉強する気が起きないときってあるだろ?そんときにさ、適当に打ってみるわけよ。そしたら、こんな2220しか出ない法則を見つけて。でも、あとあとネットで探したら出てたけどさ」
「そうなんだ。で、これってどういう理屈なの?」
「わからないんだ」
鮎川が言った。
「これは、本当に謎。このキー配列だからこそ生まれたミラクルなんだきっと」
こうして、僕らのお昼前の休憩は終わったのだった。