会計の機能2
しばらくの沈黙の後、僕は口を開いた。
「会計ってさ、やっぱりみんなに見てもらってこそ意味があると思うんだ。見てもらうためには、やっぱり面白かったりわかりやすかったり。色々な要素があると思う。だから、見てもらうための工夫とかも必要。でも、基本的には、会計は報告的な要素が強いんじゃないかな」
進が、「なるほどねぇ」と深くうなづいた。他のみんなも、納得した表情をした。
僕は雄弁を語ったあと、思わず恥ずかしくなって、顔が赤くなっていた。この回答が正しいとは思わないけれど、自分が言いたいことは言えた気がした。
自分の言いたいことを言うのは中々難しいものだ。歳を取るにつれて、そう思う。小学生の頃は好き勝手なことを言ってたけど、高校生になってくるとなんか、自分の発言に対して深く省みるようになってしまっている自分に気づいた。これを、成長と表現すべきなのか退化と表現すべきなのかはわからない。
「 教室は間違うところである」ということを昔国語の教科書で音読したことを思い出した。大人たちは、迷える子供達のために、先手を打って音読をさせていたのかもしれない。
さて、初めての部活はこんなところであった。先生からやんややんやと色々な説明はあったものの、やはり会計の主たる目的は「報告」にあるという話だった。
高校生の僕らには難しい話である。
簿記で、取引を分かりやすく記帳して、勘定こどにまとめて、管理する。
月ごと、年度ごとに、財務諸表にまとめて、会計の機能を用いて報告する。現時点の状態やら、その期間中の成績などを。
僕は、なんかスゴイ勉強した気になっていた。とりあえず、帰ってごはんを食べて寝たい。
そう思ったのだった。