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ラークの名のもとに  作者: 由比ケ浜 在人
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アーネットの件が済んだところで、今度は買い出しへと向かう。様々な商店がごった返す場所では、建物の店の前に更に、テントで店を出すという混沌とした状況になっており、人がごった返している。この場所に来たのは、ヴィラ嬢がうちにいらした際にもてなすものを買うためである。


「父様、人が多い場所を歩くのは控えたほうがよろしいかと、買い出しなど私が済ませます。」

「そういうわけにもいかない、なんたって、令嬢をお招きするんだ。俺自身が選ばないとな。」


そういいながら、雑踏を歩くが道の前には誰ひとりいない。この道が人で溢れかえっているにも関わらずだ。俺が歩こうとする先からどんどん人が避けていく。


「おい見ろ!ラッキーストライク家だ!避けろ!」

「関わっちゃいけん!」

「ママー、あの人だれー?」

「しっ!見ちゃいけません!」


可笑しい。いや、ちょっと待ってよそこのお母さん、子供の目なんて塞いでどうした?


「なぁレスカ?」

「なんでしょうか、父様?」

「おかしくない?なんかおかしくない?」

「いえ、可笑しいところは何一つ。父様の道を遮るものがいないのは当たり前のことかと。」


やめてよ!すごいのは俺じゃなくて、俺の息子と娘たちだから!


というわけで、人がごった返す道を何事もなく通りすぎ、目的の茶の専門店へとついた。心にダメージはおったがな!


「いらっしゃいませ、お、これはこれはラッキーストライク様、本日はどのようなものをお求めでしょうか?」


店に入ると店主が心よく迎えてくれた。商人同士の繋がりでこの店主とはある程度面識がある。


「やぁマスター、近々お偉いさんが家くるハメになってね、そこでなるったけ色んな種類の茶葉の最高級のものが欲しいんだ。頼めるかい?」

「あなたの頼みならすぐにでも用意致します。少々お待ちください。」

「助かるよ、ありがとう。」


やはり、ここの店主は仕事ができるなぁ。俺もそろそろ、残り5人を探しながら商人に戻ってみようかな。いつまでも、ニートみたいな生活じゃ出会いだってないだろうし。



そんなことをつらつらと考えていると、レスカが話かけてくる。


「父様。」

「なんだい、レスカ。」

「せっかく街に出てきたので、”おねだり”というのがしてみたいのですが、よろしいでしょうか。」


これは珍しい。レスカが自分からものを欲しがるなんて。ていうか、君の依頼報酬から勝手に買ってもいいのに。


「いいよ、なんでも好きなもの言ってご覧?」

「指輪。」

「は?」

「指輪が欲しいです。裏には、LtoLと刻印の入ったものが。」

「そうかい、ところでレスカ話は変わるけど・・・。」

「7号がいいです。」

「うん、サイズの話じゃなくてね。」

「ヤダヤダー買ってー買ってー。」

「レスカ!?」

「二つでひと組の指輪が欲しいよー。薬指が寂しいよー。」

「茶葉はまだか!?店主速く茶葉を持ってくるんだぁああああ!!」


まぁなんてたわいのない冗談を重ねて、無事茶葉を入手する。親子が冗談でもそんな指輪つけてたらゾッとしない話である。怪談である。


「さて、茶葉も手に入れたし、帰ろうかレスカ。」

「指輪がまだです。」

「うん、それは結婚するかもしれない当人たちが決めることさ、ピースがね。」


なんて言って、俺は茶葉を買って、早速お茶を濁したのであった。


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