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ラークの名のもとに  作者: 由比ケ浜 在人
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3

結婚って何だろうな。俺は考える。結婚っていうのは、まぁ言っちゃえば、男女がつがいになるってことなんだろう。そうなんだろうさ。結婚は人生の墓場なんて言われたりもするが、それは人生の終着駅を見つけられたというべきことなのだろう。奥さんが毎日、愛妻弁当を作ってくれて今日も一日頑張ってきてくださいねなんて玄関で言ってくれたり、仕事から帰ってくれば、笑顔で迎えてくれたりして、夜になれば、そろそろ子供が欲しいとかって言われちゃったりして夜戦をおっぱじめ


「え、羨ましいんだけど」

「父さん?」


何? もしかして、俺は結婚してないのに、息子の結婚の報告聞いてんの? マジで? どういうこと? あわなくない?時系列がめちゃめちゃじゃない? ピースは俺を差し置いて結婚すんの? ははっはは



「ふざけんなてめぇ!!!」

「父さん!?」


思い切り胸倉掴み上げてガンくれやる。そんな俺を見て、食卓にいるみんなは驚き戸惑っているようだった。その視線が俺に集中しているかと思うと途端になぜか惨めな気持ちになってきて、凄く冷静になった。なにやってんだ俺は。


胸倉をそっと離し、驚いた表情でこちらを見つめるピースになんとか言い訳しようと頭をめぐらす。父の威厳を保たねば。


「いや、すまない。あんまり唐突だったから、少し寂しく思ってな。なんでもっと早く言わなかったのかと理不尽な怒り方をしてしまった。」


少し哀愁を入れるのがポイントである。まぁ、しかし、冒険者でも一流のピースのことだから、俺の言ってることはなんとなく間違いだと察している可能性は高い。父の威厳は守れてはいないかもしれないが、こういっておけば、ピースも矛を収めてくれるだろう。そう思いながら、ピースを見ると、


「...父さん、わ、わたしがっ、出て行くのは寂しいと言ってくれるん、、ですか...」


静かに泣いていた。何故!? とにかく、俺の言い訳はあまりよろしくなかったようで、俺は顔を背けるように言う。


「もう俺は主でもなんでもないから、別に結婚するからって、俺に嫁さんの顔見せなくてもいいんだぞ?」

「いいえ、父さんに見て頂きたいんです。それと報告遅くなってしまって申し訳ありませんでした。ちょっと事情がありまして....」

「事情?」

「ええ、その結婚したい女性というのが...」


そう、この時俺は失念していたんだ。ピースはそれはもう一流の冒険者であり、イケメンであるということ、そんなこいつが結婚したいという女性は須らく普通ではないということを。


「公国四大貴族のクール公爵の息女にあたる、ヴィラ様なのです。」


俺の脳はショートした。よりにもよってこいつ貴族最高位の娘に手を出しやがった....!


その後の食事はよく覚えていない。ただ、兄貴すっげぇやなんてはしゃぐマルボロ、ホープ、ゴルバという弟たちと、結婚というものに想いをはせるアーネット、クルル、レスカ、ユノという女性陣と、嬉しそう微笑む使用人二人と、ただ何となくはしゃいでる双子はちらっと覚えている。しかし、印象に残ったのは、ピースの心から幸せそうな顔だった。



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