１２
「とまれ、何者だ」
大きな門の前に二人の兵士がいた。その門の向こうには、大きな屋敷が見える。厳かで悠然とたたずむその屋敷は、クール公爵の屋敷だった。
「何者？ あんまり嗤わせるな、さっさとそこをどけ」
どうにも頭に血が昇ってる。口から出る言葉が荒っぽくなってしまう。
「おい！ ここがどこだかわか・・・っ・・・て・・・」
松明を持ちながら一人歩いてきた兵士が、不意に言葉を詰まらせた。そして、機敏な動きで、道を退ける。
「―――申し訳ございません！！ ラーク様とは知らず！公爵からご訪問の予定があると伺っていませんでしたので・・・」
「別に構わん。それよりもさっさと門を開けろ」
「し、しかし・・・、一度公爵に一度お伺いしなければ・・・」
「急いでいる、勝手に通るぞ。ゴルバ。」
「はっ」
ゴルバが集団から歩みでる。
「―――“破壊のゴルバ”・・・！！ ラーク様！！お願いいたします！！何卒！何卒！！お考え直して
「もう遅い、先に戦争を吹っかけてきたのは公爵だ」
ゴルバが手にある大剣を片手で振りぬく。
瞬間、轟音が響き渡った。多くの爆弾を同時に爆発させたかのような音に少し顔を顰める。衝撃の余波で、こちらに飛んできた瓦礫が目前に迫るが、それが俺の身に届くことはない。届く前に“燃え尽きた”ためだ。
「ケガはありませんか、父様」
レスカがいつのまにか横に立ち、魔法を発動していた。
「ない、それより目の前で伸びている兵士二人を叩き起こせ」
「はい」
レスカはそういうと、兵士のところにいき、腹を蹴り上げた。
「ゲェホッ！！」
数センチ浮かび上がったかのように見えた兵士の体から、声にならない声が漏れ、意識を覚醒させる。
「起きたか、父様がお呼びだ。さっさと跪け虫が」
「グおぉ・・っ。ッ！ も、門が・・・ない・・・」
「状況確認してる場合か、“父様がお呼びだ”と言ったはずだ、虫が」
「ッ！ 申し訳ございませんラーク様！ な、なにか？」
「公爵はどこにいる？」
「こ、この時間であれば大広間にて食事をなさっているはずです！」
「そうか、ご苦労」
さっさと行こうか。
瓦礫まみれになった場所を一歩踏み出し、クール公爵の家に侵入する。鋼の門のみならず、屋敷を囲っていた壁まで残骸になっており、非常に歩きやすい。
「ゴルバ、歩きやすい。流石だ」
「父上のためです。私はただ貴方の障害を壊すだけです」
「父様！？ ゴルバ！！ 貴方がさっき壊した門の残骸が父様に当たるところだったのよ！！ もっと考えて壊しなさい！！ 大体少し褒められたくらいで
「嫉妬は醜いぞ、レスカ」
「～～～～っ！！ 聞きました父様！？ ゴルバが言うにことかいて！」
「レスカもさっきは助かった、ありがとう」
「はぃ、父様のぉためぇですからぁ。にへへ」
