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ラークの名のもとに  作者: 由比ケ浜 在人
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「揃ったか」


ラッキーストライクの屋敷、その中央に位置する部屋は赤い絨毯が引かれ、豪華な机と椅子が一つ鎮座しているだけの部屋である。机の後ろには旗が二本、クロスするようにかかげられており、そこには角の生えた翼竜が描かれている。ラッキーストライクの紋章である。


その一つしかない椅子に座れるのはただ一人。


誇りだ、この場に入れることが。アーネットは心の底から思った。


「さっそくだが、この場にいる全員に告ぐ。力を貸せ」


ああ、とアーネットは嘆息した。あれが、私たちの父さんだ。普段はどんなに牙を抜いたふりをしていても、戦場に立つとなると誰よりも気高く、そして剛毅だ。あれが、父さんなのだ。私たちの王なのだ。



「クール公爵から手紙が届いた。内容はピースが捕らえたというふざけたものだ。ほぼ間違いなく、ヴィラ嬢を人質に取られたのだろう。捕らえられた理由は、ピースがまだ奴隷であり、市民権を獲得していないにも関わらず、クール家の令嬢と接近したから、ということらしい。そのことを示すように手紙には国税管理局の捺印が押してあった。そんな馬鹿なことあるはずがない、ピースはこの中にいる誰よりも早くに自分を買い戻した。ということは、どうやったかは知らんが、ピースの買い戻しの事実が消されたことになる。クール公爵によって」


父さんは、机に置いてあった煙草に手を取り、火を付ける。煙草をくわえ、ゆっくりと吸い込むと、煙とともに息を吐きだした。


「あっちの要求は、お前たちだ」


言葉を区切る。この場にいる全員が息を飲む。


「ふざけてるよな」


ああ。


「お前たちに底知れない価値を見出してる。当たりまえだ。お前たちは、冒険者として全員が全員、とてつもない実力者だ。それこそ、国の兵力とは比べ物にはならん」


嗚呼。


「だが、それだけは俺が許さない。ふざけるな。俺たちにとって一番の地雷を我が物顔で踏み抜きやがった」


嗚呼! 


「残さん。この世に。クール公爵という人物がいたという全てを。始末する。抹消する。殲滅する。それが済まねば、俺は奴が泥を飲み、体中の皮を剥ぎ、血という血を俺に差し出してもまだ収まらない」


嗚呼!嗚呼!父さん!あなたの全てを叶えるために、私たちはここにいるのです! あなたが白と言えば、世の中は全て白にする! あなたが赤と言えば、この身を切り裂いて、体を血に染めることだって構わない!


「各員、身を挺せ」


嗚呼!父さん!父さん!! そのお姿を私たちは誰よりも誇りに思います!! 愛しています!!


「打って出る」


そんなあなただからこそ! 私たちはあなたの為に死ねるのです!!


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