表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五百禁軍の姫  作者: 白楠 月玻
四章 探す蓮と大剣士
59/143

四章 [4]

「痛むか?」


「……少し」


「握ってみろ」


 飛露(とびつゆ)は自分の腕を差し出した。袖なしの稽古着を着た飛露の腕は、良く引き締まっている。

 水蓮(すいれん)はその手首の少し上あたりを力いっぱい握りしめた。

「ふぬぬ……」という、かわいいとはお世辞にも言えない掛け声つきだ。


「それが本気か?」


「あ、はい」


「…………」


 握力が弱すぎる。


「左は――?」


 そう言われ、左手でも飛露の腕を握った。

 こちらの方がさらに弱い。怪我のせいで右手の握力が極端に落ちているというわけではなさそうだ。


「筋力強化が必要だな。これが引けるか?」


 飛露は自分の弓を差し出した。とりあえず近くにあったのがそれしかなかったからだ。

 水蓮は彼女の体型には大きい弓を構えた。慣れない動作ではあったが、構え方はあっていたので、飛露は何も言わない。弦を引こうとして――。


「……引けません」


 水蓮がどれだけ力を込めても、弦は半分ほども引けなかった。


()い。貴様には無理だろうと思っていた。ついてこい。弓を貸そう」


「ありがとうございます!」


 踵を返して武器庫へと歩きはじめた飛露を、水蓮は笑顔で追いかけた。


「飛露将軍ってあんな感じの子が好みなんですか?」


「馬鹿言うな」


「お気に入りか? あの子の気ものすごい安定してたし」


「あの子の気、かなり安心するよなー。志閃(しせん)将軍じゃないけど、ああいう気、かなり好きかも~」


 誰かに任せず、自ら弓を選ぼうとしている飛露に、昔から彼のもとで帝に仕えてきた人々はささやきを交わす。もちろん、当事者たちには聞こえないように。


 飛露が聞いたら問答無用で、稽古の量を増やされそうな言葉を交わしつつ、彼らは木陰から出て弓の稽古をはじめたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ