三章 [3]
「つまり、志閃は気の感覚から水蓮はシロだっていうのね?」
泉蝶は志閃に確認した。
「そゆこと」
「そして、飛露は水蓮の監視をしているけど、今のところおかしな気の動きはないのね?」
そして、飛露にもそう確かめる。
「早く尾を出せばいいものを」
飛露がいらだちをこめて唸るように言った。
「そうですね」
王紀も飛露に賛同した。
「今のどっちつかずな状況は、正直我々も動きにくいです。この状態で、陛下の指示にあった水蓮さんを禁軍に入れて――、と言うのはなかなか苦しいものがあります」
「でも、禁軍の人選は陛下次第よ? 陛下もよく考えたうえでの決断だったようだし」
「疑わしいものはみな牢に入れてしまえばよいのだ!」
飛露はそう声を荒げた。
「飛露飛露。帝は水蓮ちゃんが桃源を救ってくれるって夢を見たのよ? そんなこと言っていいの?」
そう言う志閃は、飛露の非をついたようにおもしろそうだ。
「貴様が言ったのだろう。『運命』だと。あの小娘が救世主なら、牢にいようがなんだろうが、桃源を救うさだめになるはずだ。天の決めた気の流れは変わらぬ。どれだけ、我々が変えようとしてもだ」
しかし飛露は、先ほどまでの迷いを吹っ切ったようだ。毅然とした強い口調でそう言う。
「なんか、そう言う思考するあたり、飛露もかなり仙術使いなんだなって思うよね」
「しかし、陛下が指示した以上、水蓮さんを禁軍に所属させるのは決定しているようなものなんですよね……」
「そうそう、帝が言ったことにケチつけるのおかしいって」
作戦本部はそれぞれ違う意見を持つ将軍たちのせいで非常ににぎやかだ。
「まーな。だが、オレも正直不安だ」
仙術関係の話では全く発言しなかった赤覇もそう声を出す。
「……試すか?」
そして、その一言で将軍たちの視線が赤覇に集まった。
「試すって?」
残りの将軍を代表して、泉蝶がそう尋ねる。
「いや、思い付きで言っただけだが……」
しかし、赤覇に案はないらしい。
「赤覇はバカなんだから、もうちょっと考えて発言しなよ」
「あー、オレはバカだから、なにか考える前にこの剣で志閃を真っ二つにしそうだぜ」
「そうですねー……」
いつもの調子でじゃれ合う志閃と赤覇をしり目に、禁軍将軍の頭脳担当王紀が顎に手を当てた。
「禁軍は、陛下の意志が深く反映されますが、それでも『軍隊』である以上、ある程度の武力は要求されます。簡易的な入軍試験を行うのもいいかもしれませんね。それで彼女の能力が少しでもわかれば、今後の対応もしやすくなるかもしれませんし」




