二章 [3/13]
「水蓮はどんな仙術が得意なの?」
桃源で学び使われる仙術は、自身や自然界に存在するものがまとう気を操る術だ。
そして、その気の種類には大きく分けて五つの属性があると言われている。すなわち、木火土金水。わかりやすいところで言えば、川は水の属性を持つし、森は木の属性を持つ。
それと同様に、人間や動物の発する気にも同じように属性があるというのだ。
志閃いわく、泉蝶は「泉」という字にあわず金の属性の気をまとっているらしいが、彼女自身はその「気」と呼ばれるものを感じることができない。気を感じられるか否かは、生まれながらの才能によるところが大きい。
「私の属性は、水。泉蝶さんは金ですね」
聞いていないにもかかわらず、泉蝶の気まで教えてくれる。
「あの金色の髪が混ざってるお兄さんは、木。大きな気をもっていました。赤茶の大きな男の人は火で、腹黒そうなお兄さんは土。弓を持ってる怖い人は水でしたね。五人とも属性が違ったからよく覚えています」
なるほど、以前志閃が言っていたものと一致する。彼女には本当に仙術の心得があるようだ。
もう少し彼女の術について聞きたいが、仙術の知識がない泉蝶には何を尋ねれば良いのかわからない。
「傷の調子はどう?」
仕方なく、泉蝶は別の質問をした。
「糸は抜けましたし、あざもだいぶ良くなったのでもう少しだと思います。あのお医者さん、どうも正確な日数を言ってくれなくて……。大丈夫なんですよね……?」
「あ~。あの人はね――」
泉蝶は、医者のあいまいな物言いをする癖について話した。
「じゃあ、私に対してだけじゃないんですね?」
少し安心したように水蓮。
「えぇ、痕は残ると思うけど、傷が完全にくっついてかさぶたが取れれば問題なく動かせるわ」
泉蝶は応急処置以上の医療知識を持っていなかったが、水蓮を安心させるために言い切った。




