表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五百禁軍の姫  作者: 白楠 月玻
一章 微睡む蓮と姫将軍
13/143

一章 [10/21]

「何か悩みがあるのですか? 泉蝶(せんちょう)


 王紀(おうき)はわずかに眉を下げて心配そうな顔を作って見せた。


「たいしたことじゃないわ」


「男性には打ち明けにくい悩みですか?」


「何であんたまで志閃(しせん)みたいなこと言うのよ! 女の子を拾ったのよっ!」


 これ以上誤解されるのも嫌だったので、泉蝶はそう叫んだ。その後どうなるかも考えず。


「女の子? 女の子? 女の子!? 女の子!!」


 志閃が嬉しそうに叫びながら異常な速度で迫ってくる。


 泉蝶はその顔面に肘を叩きこんで黙らせてから、簡潔に今朝助けた少女の話をした。


 話を聞いた後の反応は、四者四様。


「なんでそれを一番に言ってくれなかったの~。俺、飛んで手当てに行ったのに!」


 まず、手負いの少女と聞き、すぐさま復活した志閃。


「まさか、(こう)が送り込んだ刺客ではなかろうな!」


 飛露(とびつゆ)は怪しむ。


「命があってよかったな」


 赤覇(せきは)は少しだけ強面の表情を崩し、王紀は「近隣――特に少女を見つけた渓流より上流の村を中心に、行方不明者が出ていないか調べるよう指示してきましょう」と部下を捜すべく部屋を出ていった。


「俺も――」と部屋を出ていこうとする志閃は、大柄な赤覇に止められる。


「どこに行くつもりだ?」


 どすの利いた声でそう尋ねる赤覇。


「え~、そんなのわかりきってるっしょ? 傷つき、流され、心細く病室で俺を待っている女の子に会いに行くのさ」


「お前、正直だな……」


 あきれつつも、赤覇は志閃を引き留める手を緩めない。


「でさ、泉蝶ちゃん」


 未だに全力で赤覇の腕を振りほどき病室に向かおうとしながら、志閃は首だけ泉蝶に向けた。ひどくまじめな顔をしている。


「なによ?」


 彼にならって、泉蝶も気を引き締めた。


「女の子、かわいい?」


「…………ッ!」


 まじめな顔で、そんなくだらないことを聞くのかこいつは――。


「病室には王紀が帰ってきてから行きましょう」


 声だけは他の将軍向けに落ち着いて。しかし、動作は鬼神のような荒々しさで。

 今度こそ志閃の頭に硬い剣の鞘が振り下ろされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ