表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五百禁軍の姫  作者: 白楠 月玻
一章 微睡む蓮と姫将軍
12/143

一章 [9/21]

「ぐ……」


 志閃(しせん)に言い返された飛露(とびつゆ)は、次の言葉が思いつかないのかそのまま押し黙ってしまった。


「あなたの忠誠心にはいつも驚かされます。もう反射の域ですよね」


 にこやかに言う王紀(おうき)は称賛しているのか、皮肉っているのか。きっと後者だろう。


「いいから話を続けなさい」


 飛露の額に青筋が浮かぶのを見て、泉蝶(せんちょう)は厳しい口調で脱線していた話を戻した。


「前線の状態を報告していたんでしょう?」


「そうでした」


 やはりきれいな笑みを崩さずにうなずく王紀。その笑みのせいでまったく内心が読めない。


「まぁ、そんなに毎日毎日新しい情報が来るわけでもありませんし、さっきまでで僕が得た情報はほとんど出尽くしていますけどね。あとは、(こう)の術師が使っていた術を書きとめたものが届きましたので、仙術部隊の鳥の巣頭将軍に」


 王紀は紙の束を癖毛の志閃に押し付けた。「王紀、さっきから俺のことバカにしてね? 俺、年上よ?」という文句を無視して。


「戦についてはとりあえず以上です。しばらくの間は禁軍に出兵命令が下ることはなさそうですし、普段通りにやっていきましょう」


 そして帝の予定と照らし合わせながら、仕事の分担を確認し合う。

 今日は午後に軍部の高官との謁見があるので、それに合わせて巡回の人数や経路を変更した。


「これでいいですか?」


 最後に、まとめ役の王紀が他の将軍たちに確認をとった。


()い」


「だいじょぶ」


「問題ねぇと思うぜ」


 弓部隊の飛露、仙術部隊の志閃、歩兵部隊の赤覇(せきは)。それぞれがうなずく。


「泉蝶もいいですか?」


 唯一無言だった泉蝶に、王紀は念を押した。


「え? あ、大丈夫よ」


「考えごと~?」


 慌てて返事をした泉蝶に身を乗り出して尋ねたのは志閃だ。


「何考えてんの~? なんか表情的に帝や戦の事じゃなさそうだけど」


「なんでそう言えるのよ?」


 確かに泉蝶は考え事をしていた。今朝助けた子はもう目覚めただろうか、と。


「泉蝶ちゃんが帝のこと話す時は、超まじめ。戦のこと話すときは、眉間にかわいくないしわ寄せて怒った感じ。でも、さっきの泉蝶ちゃんは心配そうな顔してた。俺、女の子の顔はよ~く見てるんだぜっ! まさか、こぃ――」


「黙りなさい!」


 この場合、志閃の「まさか」の後にはどうせくだらない言葉が続く。泉蝶は早々に志閃の言葉をさえぎった。


 志閃が近くにいたらもう一度頭を――今度は剣の鞘で殴ってやりたいところだが、少し距離がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ