第1話~魔法陣と魔術師~
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鈴虫の鳴き声が響く森に古臭い車が煙を上げて走っていた。
現在、29年。秋。
「工藤大佐。もっとスピード上げてください」
その車の運転席に座りハンドルを握る青髪で長髪の女性が隣にいる工藤と呼ばれる紺髪の男性に喋りかける。
「お前なぁ…。結構魔力消費するんだぞ、火力をエネルギーに変換するって古い。しかも煙くさい」
工藤はそう言いながら女性の方を向くと女性もこっちを見ていた。それに驚き工藤は素早く前を向いた。
「いいから早くしてください。この仕事遅れたらどうするんですか」
女性が仕方なさそうに言った。
「はいはい。わかりました。俺大佐なのに…。なんでこんなタメ口で」
工藤は助手席の前にある小さな火が燃えている小さな穴に掌を向け力を入れたかと思ったらその中から炎が燃え盛った。
「文句はいいですから。それより、相手の情報を確認した方が良いですよ」
女性がニコッと笑うが目は冷たく工藤を見ている。
「そうだな…。敵の数は11人で、悪魔は1人。あ、悪魔って分かるか?悪の為に魔法を使うことだぞ、分かるか?"少尉"~」
ここぞとばかりに工藤が女性を責める。
「わかっています。広辞苑第4925ページ。7777年まで残虐非道で、人に災いをもたらし、悪に誘い込む悪霊。また、そのような人間。仏道修行を妨げる悪神の総称。魔。魔羅。キリスト教で、神の創造した世界に対する破壊的で攪乱的な要素。悪への誘惑者。地獄に落ちた天使という解釈もありました。ですがこの意味で記載されていた物を最近では悪道の為に魔法を使い犯罪を起こした者または起こそうとする人をいう。また」
「もういい!はぁ。君に知的情報で勝負を挑んだ僕が悪かった…」
工藤がため息を吐き頭を抱えた。
「わかればいいんですよ」
女性は母親の様な優しい笑顔で言った。
「くぅぅぅう」
それに対して工藤は歯を食いしばり炎を威力を上げた。
こんなやり取りが続きもう少しで城が聳え立つ国の中心の都会へ近づくにつれ道が広くなった。
「大佐。あれ…」
女性の視線に合わせ工藤もその方向を見る。
「あれは、巨大な魔力の放出反応の光だ…行ってみるか」
「はい」
2人は車を降り光が放たれる方へと無造作に生えている草を分けて進んだ。
「これは…」
そこにはすごく複雑で巨きな白い魔法陣が光っていた。その中心には少年が倒れていた。
「大佐」
「ああ」
工藤が魔法陣の上を進んだ。
「速水少尉!城に連れ帰るぞ」
「はい」
工藤は少年を背中に乗せ車に運んだ。
「出しますよ」
「頼む」
工藤が少年を後ろの席に寝かし、助手席に乗ってもう1度穴に炎を燃え上がらせた。そして車は走り出した。
それからしばらくすると白い魔法陣は静かに消えていった。
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「着きましたよ。大佐」
大きな城の裏口付近に車を止め、魔力を放出し続ける眠った工藤を揺らす速水。
「おお。もう着いたか。少年はどうだ?」
工藤が眠たそうに目を擦りながら問いた。
「グッスリと眠ってますよ」
そう言われると工藤は少年を背中に乗せ車を出た。
門を潜り大きな城に入る。
「では、俺は総帥に援護の要請と少年のことを報告してくる。少尉は帰っていていいぞ」
工藤に言われ、分かれ道で速水は右には曲がり工藤は前に進んだ。
「では、明日8時にへ迎えに行きます」
「お疲れ」
工藤は速水が去ったのを確認すると背中に乗せていた少年を連れてに階段を登っていった。
「ふぅ」
階段を登り続ける工藤がため息をつく。
「ん…」
階段を登っていると工藤の耳元で声がした。
「おっ。目が覚めたか、少年」
「え…誰!?」
少年は驚いた表情で自分が乗っている工藤の顔を見た。
「俺か?俺は工藤熱也。国家魔術師であり階級、大佐だ。そして二つ名が美炎の魔術師だ!」
工藤が階段の真ん中でキメ顔を作りそう言った。