6.そして
バタン!と後ろ向きに倒れる。
「くっあははははー、あたりおったわ~!」
「・・・」
「思い知ったか!この羽虫がああーー!
余に逆らうからこうなるのだ!!屑芥の存在は己を恥じて角で隠れておればいいのだ」
「・・・だれだ・・・」ギチッ、手を顔に当てる。
「とうとう余の手を煩わせおって・・・!?」
「・・・おれの・・・」ムクっと上半身を起き上げる。
「ばかな!今のは竜の鱗から削りだした剣を、余の力で打ち出した技。竜さえ倒す技」
「・・・あああ?・・・」スクッと立ち上がる。
「人など木っ端微塵になるのだぞ!
なぜ生きている!いや、なぜダメージを受けていないのだ!」
「・・・きさまか!!!」絶叫する。
「うわあ!?・・・。
・・・くっ羽虫の分際でここまで余をコケにするか。
余が悲鳴だと、貴様の存在ごと消し去ってくれるわ!
全力を持って排除する!全ての魔物共!
やつの全てを燃やし尽くせ!犯しつくせ!殺しつくせ!暴きつくせ!滅殺せしめよ!」
グオオオオオオオオオーーー!!!!空間を震わすほどの魔物達の咆哮が響き渡る。
***
何が起きた!?
前方から高速の飛翔物体がぶつかって来た。顔に当たった。
うるさいほどに、館内のアナウンスが騒いでいる。
今それ何処じゃない。
顔、女の子の顔だぞ!どこに攻撃してるんだと!
女の子の顔は駄目だろう。人形は顔が命という位だぞ!!
アホかと、小一時間説教コースだろ。
なに!?アナウンス貴様が犯人か!しかも魔物側か。敵に認定です!
なんて物騒なものを、女の子の顔にぶち込んでくれてやりあがりますか~。
「・・・きさまか!!!」
ふふふ!説教確定です。殲滅モードです。エネルギー全開です!
美少女達が、心配そうに僕の所に集まっていた。全然大丈夫ですよ?ふふ。
彼女達とついでに戦士の方を少し後に下がらせる。
僕は、顔を片手で押さえ首を斜めにしたまま回りを確認する。ふふ。
前方から、兵士タイプの魔物が徒党を組んで前進してきます。
先程とは違い、全滅避ける為かある程度間隔を開け隊列を組んでいます。
それに混じって、ベヒモス等の大型の魔獣もいます。
象がオモチャに見えるほどの大きさです。でかい角を振り上げています。
空中にも、レッサーデーモンやらアークデーモンやら、デーモン系がウヨウヨ。
ガーゴイルやらの翼のある魔物が、何処にいたのか空中を埋め尽くす程も現れている。
後ろの美少女達や戦士の方が、ひとつひとつ叫びながら説明してくれます。ふふ。
「余の軍団の力を思い知れ!絶望せよ!
まずは、開始の合図に血の花火を地に花開かせよ!デーモン達よ、塵芥を始末せよ!」
アークデーモン達が、手に持った槍を投げつける!後ろの美少女達に!!
カシュ!パリパリ!僕の両肩の背部から金属の棒のような物が飛び出す!
ドガガガガガ!!!!四方八方からの槍が突き刺さる!
「きゃっ!?・・・?」彼女達の周りに、槍が何かに阻まれるように空中に震え止まる。
《背面部自動イージスシステム展開》
《システム正常稼動確認しました。キャプテン》
ありがとう、アリア。少し周りが騒がしくなってきたね。ふふ。
だめだよ。僕が相手でしょう?マナーが悪いな~ふふ。
両足を少し開き真っ直ぐ立ち、祈るように両手を握り腕を前方に突き出す。
「機動少女戦艦グラノアリア!各種兵装・戦闘モード!全方位アクティブレーザ展開!」
《了解。各種兵装・戦闘モードに移行。各部の全方位アクティブレーザ展開します。》
両腕に細かくスジが入り、側面にカカカカッ!とスライドし赤いレーザレンズが現れる。
まるで、両腕両足に沿ってルビーが縦に並ぶ装飾を側面に施したように。30個の目。
全てのルビーの目がキュイ!キュイ!と獲物を狙うようにバラバラに動いている。
《各腕・脚部展開完了。システム順調に稼働しています。キャプテン》
「敵性を各個撃破せよ!照射開始!てぃ!」
《周辺影響考慮し、出力10%で照射しています》
「ナイスフォローだ!アリア」
《ありがとうございます。キャプテン》
周りは魔物たちの威嚇の咆哮だけで、他に音はなく・・・キュイ!キュイ!ジジジジ!
ボッ!ボボボッ!!「ギャー!」「キケーーー!!」デーモン達が絶叫しだす!
「なんだ!?これは?」戦士は周りの情景に目を見張る。
少女の姿が少し変わっていた。腕に刺青や肩に棒を付けた。意味がわからない。
そして、周りでは勝手に燃えだしたり、切り刻まれてデーモン達が次々に落ちていく。
「あああ!ニーソが穴だらけになってくよ!!しまった~」
《問題なしです。控えはあります。キャプテン》
「そうだけどさ~アリア~orz」
《キャプテン。上空敵性の排除率85%切りました。このまま殲滅します》
「あー足装備考えなきゃな~。でもニーソは諦め切れんし・・・」
《キャプテン。前方の大型質量敵性が高速再生させながら接近しています》
「あ、本当だ。ありがとう」
「・・・炎系?」魔道士は考える。これが彼女の魔法なのでしょう。
前方のベヒモスが近づいてきます。顔面をジジジ!と焦がしながら、進んできます。
ベヒモスの後ろには兵士と、魔道士もいます。しきりにベヒモスに回復をかけています。
まるでベヒモスを盾にし、隠れるように進んできます。
そして、空を飛んでいた魔物は、ほとんどいなくなりました。
手の平を開き手首をクロスさせ、手の甲を前方に向ける。
赤いマニュキアが塗られた爪が、内側にカシュ!カシュ!と反転して孔が現れていく。
《1番から8番まで発射孔開放。プロトン魚雷装填。発射管準備完了。キャプテン》
「大型敵性群にロック!プロトン魚雷!射出!!ついで第2射準備」
フシュッ!と指の先の孔から、小さなキラッとしたものが空中に散布される。
前方に誘導されるようにキラキラとしたモノが飛んで行き着弾。グパッ!と炸裂する。
ベヒモスの頭に小さい光が取り付いた。「馬鹿がw」と近くの黒騎士が嘲る。
次の瞬間、激しく白く閃光した。見るとベヒモスの頭部がゴッソリ無くなっていた!?
他のベヒモスも各部に受けていた。腹に大きく風穴が開き絶叫し倒れ、近くの兵を圧死。
「ブモオオオーー!?」「・・・ゴッ!?」「つぶされる!」「どけー!」
《第2射出、発射管準備完了》
「プロトン魚雷!射出!!」
《制空権確保、上空の敵性排除完了です。キャプテン》
「わかった。脚部アクティブレーザ、前方に集中照射!」
《右脚・左脚部全方位アクティブレーザ、前方地上敵性に各個・集中照射開始》
空中の敵性が居なくて、キュイキュイ探していた足の赤い目達が、一斉に前方を向く。
***
「なんだこれは?・・・なんなのだこいつは?」
余の軍団が、たった一人の人間にどんどん倒されていく。
ただの結界に迷い込んだ、羽虫の分際だったはずだ。
1匹のベヒモスだけで城壁を軽くぶち破り、兵1万人を蹴散らせるはずだ。
魔力抵抗の高いデーモン達もすでに倒されている。魔法ではないのか?
黒騎士でさえ、そこいらの冒険者や、あの勇者さえも一捻りで倒すはずなのだ。
そうだ、間違いなのだ。
そう、余は魔王、この世界を力ですべる者。全知全能。絶対者なのだから。
まだ半分も余の軍団は出ていないのじゃ。
物量で押しつぶしてくれるわ。
虎の子の魔法兵団と余直属の近衛騎士団も投入してやる。
いざとなればダークドラゴンも出してやろう。
全力で押しつぶしてくれるわ。くっはははははー。
***
んー、波状攻撃してきますね。断続的に遠距離攻撃も行い始めたようです。
遠距離攻撃を先に潰したいんですが、ここを動くわけにはいきませんしね。
バチッ!と、かなり遠くでレーザが魔法で弾かれたようです。風とか水なら曲げれそう。
まあ、大気中でこの埃や血煙とかですからね。結構減衰せずにいたんですが・・・よし。
「アンナ、ベッキー。ちょっと手伝ってくれるかな?」
《了解しました。ご主人様》
《わかったよ~。マスター》
ギョッとする。少女の背中のマントが、スッと盛り上がった。
マントの横からスッと人が現れた。マントをめくりながら反対側にもう一人現れた。
金髪の少女と、ほとんど背丈の同じ少女が2人もマントの中から現れたのだ。
「機動少女戦機アンナ、出撃いたします」
自分の背丈以上ある黒い大剣を持ち、前方にトットットッと駆け出す。
銀髪を後ろで結い上げた美少女、背中が大胆に開いた黒のメイド服を着ていた。
「機動少女戦機ベッキー、いっきまーす!」
両手に白銀の細身の剣を持ち、前方にタッと駆け出した。すでにいない。
黒髪でショートの美少女、背中が大胆に開いた白のゴスロリの服を着ていた。
「アリア、彼女達の援護と連携、指揮補助をお願いするよ」
《了解しました。A・B両機とのリンケージ確認。暗号化・相互高速通信開始》
「じゃ、アンナは前方から随時殲滅。ベッキーは後方撹乱お願いするよ」
《了解いたしました。掃討開始いたします》
《はーい!ベッキーやっちゃうよ~。見ててね》
ヒュイン!と白い少女は高速移動を開始、魔物の群れに突っ込んでいく。カカカカッ!
移動していく度に、絶叫が響く。白い少女は剣を翼のように広げ舞い踊り斬り狂う。
姿が霞む様に走り抜け、ドンドン奥に進んでいく。
前方では、ゆっくりと黒い少女が進む。3m程の黒い大剣を振りながら進む。ズパン!
ベヒモスに黒い剣から細いワイヤーが4本突き刺さる。バリバリバリ!一瞬にして絶命。
ワイヤーをつけたままベヒモスを振り回し進んでいく。
僕は腕を組んで前を見据えている。こちらまで攻撃が来なくなった。
ベッキーには、魔法使いや隊長クラスを優先的に片付けて貰い、命令系を潰す。
アンナには前方から、プレッシャーをかけさせながら進み及び腰にさせ、隊列を崩す。
どんどんと整然とした物から、混乱し騒然としてくる。そこをもっと掻き乱す。
かなり、魔物の数も減ったし、お出ましかな。
《前方に超大型敵性、出現しました。キャプテン》
《こちらでも目視確認いたしました》
《すごーい!大きいの出たよ~、マスタ~》
「そうみたいだね」
グギャクオオオオオーー! でかい、黒い怪獣だ。ビル10階まであるだろうか。
ズシン!ズシン!と兵士たちの前に歩み出てくる。回りで歓声が上がる。
「魔王様バンザーイ」
「ばんざーい!」
「これで勝ちだ!」ウワー!ウワー!
「ダークドラゴンだ!魔法も直接攻撃も弾くんだ」戦士が説明する。
じゃ、どうやって倒すんだろう。
あっ背中に人が乗っている。しかし、人に慣れた大人しいドラゴンだなと思った。
「ここまで余を追い込むとはな。褒めてやろう。
そしてここまで、追い込んだ己を恨むことだ!そして全て滅びろ!!がははははー!」
ドラゴンの背に乗っていた人が、青い光に包まれ消えた。
歓声が悲鳴に変わった。
ドラゴンが唸り始め、黒騎士たちを貪り喰いだした。尻尾や足で吹き飛ばし始めた。
グギャクオオオオオーー!グオーーー!
「あの野郎!逃げやがった!
ドラゴン操っている奴が転移して離れたら、ただの野生のドラゴンだ!」戦士絶叫!
戦士の方、説明ありがとうございます。
《キャプテン!現在、この閉鎖空間の収縮開始を確認しました》
「どの位持つの?」
《30分、ただ活動可能空間を考えると20分、あとは加速度的に縮小します》
「じゃ、先にドラゴン倒しちゃいますか。アンナ!ベッキー!戻って~」
《了解いたしました。ご主人様》
《この斬る!あっ!は~い。ベッキー、マスターの所に戻りま~す》
アンナがトットットと、剣を後ろに振りながら戻ってくる。レーザーが援護する。
ヒュイン!とベッキーも戻ってくる。アンナが到着するのを見計らい後方を掃討しつつ。
いい娘達だな。
ではと、後ろに話しかける。
「実はみなさんに、お話しがあります。
ドラゴン倒したら脱出方法の相談したいと思いますが、いいですか?」
「?・・・ええ?」
「それじゃ。ちょっと待ってて下さいね~」
「え?」
アンナとベッキーも少し下がる。
少し前に立ち、両腕を真っ直ぐ前に突き出す。
後方に影響が出ると大変だからな。
「イージスシステム、後方に全力展開!」
《了解!イージスシステム後方防壁展開、システム最大出力》
ヴオオオオオオ!キンキン!パリパリ!バリバリ!ガン!
マントの直後ろに、可視化した光の六角形が何個も出現し、色がどんどん黒くなる。
「主砲発射モードに移行!」
《各部、対衝撃対閃光対電磁対熱防御確認、セーフティAAA確認、擬似バレル展開》
両腕の内側に黒い線が3本づつ浮び上がる。奥から手前に黒い線に赤い光が走る。
フオン!フオン!と、どんどん間隔が早くなる。キーン!赤い線になり干渉縞がでる。
「目標、前方大型敵性のどてっぱら!」
《視覚照準と砲身目標連動確認。誤差修正。目標、前方の超大型敵性01に照準確認》
《最終安全装置解除。後方防御の最大出力維持確認。最終命令待機。キャプテン》
胸部の真ん中に直径10センチ位の穴が開く。ガギン!ノズルが飛び出す。
「おう!いくぜ!デカピテイションプラズマーー!ショットォォオオオ!!!」
ノズルから小さな5mm角の立方体が飛び出す。瞬間から膨張し太陽の様に爆発する。
光を反射するように、腕の内側の擬似バレルのシールドが可視化して黒くなる。
光が反射し内側に集まる。太陽が腕に沿って長く伸ばされていく。
一瞬で加速され、前方に撃ちだされる。
金色の光が溢れる。その中で真っ白な光がドラゴンの腹部に伸び、突き抜ける。
「!?」何度目の驚きだろう。
少女が「ちょっと待って」と言って、すぐ少女の後ろに黒い壁ができた。
それは少女のマントを隠す程度だった。
何か光ったと思ったら、目の前が全てが黒い壁に囲まれた。私たちを守るように。
パキン!澄んだ破砕音が聞こえた。
ゴゴゴゴゴ!バリバリバリ!
予想以上の衝撃だ。前方の自動イージスが反応して勝手に展開している。
金色の光が収まる。
《前方超大型敵性01完全消滅。周辺に他敵性確認できません。敵性全て排除完遂》
パキン!
《前方に閉鎖空間の破砕状態確認。閉鎖空間の崩壊予測。現在の安全性計測中・・・》
パキン!パキン!パキ・・・
あー、別な相談事できちゃった。収縮と崩壊、どっち先かな~?
「あの~みなさん・・・」
後ろを振り向くと開かない扉がボロボロになっていた。
扉がずれ、そこから赤い光が漏れていた。
***
扉を潜ると、夕日の眩しい城の入り口から外に出たようだ。空気がうまい!
ゴゴゴゴゴ!不吉な音が、後ろの城(魔王城?)から響いていた。
みんなで顔を見合わせ、全力で走り出したw
城の崩壊の音が聞こえる。
僕の横には、黒いメイドと白いゴスロリが立っていた。みんな汚れちゃったな。
皆さん、落ち着いたのか、実感が湧き始めたのか。
泣き、笑い、抱き合い。無事に生還した事を喜び合っていた。
今度は、僕への感謝の嵐だ。美少女達に何度も感謝され、何度も抱きつかれた。
戦士のオッサン、おまえは駄目だ。僕に抱きつくな。
「あの地獄から、生きて戻れるとは・・・
あんたには感謝しても、感謝しきれない。必ずお礼させて頂くぜ!」
「そーいえば、あんたはいったい・・・そうか、名前も聞く暇がなかったもんな」
そうか自己紹介もまだだったね。彼女達の名前も知りたいしな。
僕はその場で片膝をつく。
「どうしたい?いきなり跪いたりして・・・え?また」
金髪の少女のマントが膨らむ。
マントの中から子供が出てきた。
赤いチョウタイをした、青いジャケットを着た半ズボンの子供だ。
照れたように子供が立ち、子供の肩に手を置き、その後ろに金髪少女は立ち直す。
スッと黒いメイドが近づき、子供の頭を無表情で撫でくりまわす。ナデリ、ナデリ。
パッと白い少女はしゃがみ、子供の手を両手で取り笑顔で振り回す。ブン!ブン!と。
「えーと、その子供は・・・?」みなさんハテナ顔だ。
「いったい誰だい?」
「私のキャプテンです」金髪の少女は、子供の頬を優しい手つきで撫でながら言う。
「私のご主人様です」黒いメイドは、無表情で子供を見つめて撫でくり回したまま言う。
「私のマスターなのです~」白いゴスロリの少女は、手を握ってこちらに笑顔を向ける。
「「「「「はあ~?」」」」」
「僕の名前は!」
魔道士の少女、聖騎士のお姉さん、どうやら本当のお姫様、美人のエルフさん。
お近づきになるには、まだまだ説明しなきゃならないね。
「おい!」戦士もいたね。
まだまだこの世界の事をわかっていない。
ところで、これでエロいフラグはたったのかなw