5.本気と書いて「マジ」
こー振りぬく角度が、あっインパクトの瞬間握るとか聞いた事があったような~。
ん?後が騒がしい。「戻って」とか「下がれ」とか手を振っている。
大丈夫ですよ。剣の予備はありますからと、背中のマントに手を差し込み、剣を出す。
今度は日本刀にしてみました。こっちの方が斬るという感じがしますね。
黒騎士が襲ってきた。ひょいと潜り抜けつつ、斬る!
次も斬る!
斬る!
KILL!
はあっはー、一刀両断です。
前方回転切りー!、ゾブン!
次も斬る。
唐竹斬り!ザン!縦に真っ二つになる黒騎士達。
避けて斬る。
鞘に戻して、横一閃!ズパーーン!と剣を構えた格好で黒騎士3体程胴が泣き別れです。
一閃する度に、纏めて斬り飛ばす!
吹き飛ぶ!
攻撃される前に神速で一閃!
前に駆けて上段袈裟切りに斬る!
振り切った後返しで切り上げて斬る!
繰り返し斬る!Vの字斬り!
三段突き!ドドド!ちょっと前が混雑してますね。
「必殺!朧一閃!」
抜刀すると前方にデカイ三日月が回転して突き進み霞んで消える。ズバババババーン!!
消えた瞬間、通り過ぎた空間の魔物達が横に真っ二つになる。
一撃で50体近くが絶命する。
黒騎士が、残心中に攻撃してくる。後で悲鳴が聞こえる。ヒョイと、かわして斬る!
方向を少しずらして「必殺!朧一閃!」ズバババババーン!!
もう一丁「必殺!朧一閃!」ズバババババーン!!
若干の硬直がありますね。気をつけましょう。
では少し休憩する為、空洞地帯を作ります。
「超必殺!!陽炎剣山!!!」
刀を床に突き刺す。
陽炎のような剣が100m周辺にいる敵の足元に出現し突き刺す。
ブシャー!とあちこちから絶叫と共に血煙が上がる。
密集しているので数百単位で絶命する。
これで、次のモンスターが来るまで死体が邪魔で時間がかかるでしょう。
ふう、なかなかの無双ゲーです。快調です。
もちろん、向かって来るモノに容赦なし!しかも自分の手を汚していないし・・・。
まさにゲーム感覚。ははっ、ただの殺人狂になっていってるんでしょうか。
それでは休めそうなので、うしろを振り返り営業スマイル~。
円滑な信頼関係作りですかね、はは。
***
彼女は、金髪の少女は、見た事もない剣で踊る様に敵を葬る。すごい。
私は、ナイトシールドの効力が切れたのも忘れ、彼女に魅入っていた。
彼女は、「ヒッサツ!オボナントカ!」今度は見た事もないスキルを発動させた。
幻想的な斬撃が撃ちだされた。威力も凄まじい。上位魔法並の威力だ。
みんな、ポカンと魅入っている。戦士の方も、大口開けて見ている。
「きゃあ!?」
「あぶない!?」
大技の後の隙を、衝かれたのだろうか。姫様とエルフ殿が悲鳴を上げる。
後にも目があるようにかわしました、流石です。
そしてもっとすごい大技も発動しました。
目の前のモンスターがかなり倒されました。モンスターの先頭がかなり遠くです。
新しいモンスターが、死体を掻き分けて進んでいます。時間がかかりそうです。
金髪の少女がこちらに戻ってくる。笑顔を可憐だ。顔が赤くなにゅ。
なんだ!?動悸が激しい!
少女の笑顔から目が離せない。
あーそういえば、私は少女に忠誠を誓ったのだ。それがとても誇らしい。
でもあれは、一方的な願い。できれば本当の忠誠を受けて頂きたい。大丈夫だろうか。
それは、ここを生きて帰ってからだ。その望みはある。
この少女がいるのだから・・・。
***
みなさん、不思議な顔をなさっています。
なになにどうしたの?
「あんたは、いったい・・・」戦士。
「・・・すごい」魔道士。
「これほどの力は、勇者にもありませんでした。あなたは・・・」エルフ。
「勇者さま?・・・」姫。
「彼女すごいね~。なになにその剣なんなの~いったいどんな魔法剣なのよ」優男。
「確かにすごい技と腕、センスです。ぽっ」聖騎士。
「彼女~、その剣見せてもらってもいいかな~」優男。
「おい、無礼じゃないか!」聖騎士
剣?見てどうすんだろ?ははあん~マニアかwあるよね刀剣マニア。どうぞどうぞ。
刀を優男に渡す。
さて、この後どうしよう。まだ、戦ってもいいのかな。
たしかに試したい事はあるんだよね。
「くっくっくくー、まさかこんなイレギュラーがおるとはのう。
まだまだこの世界も捨てたもんではないと思わないか。小さな羽虫と塵芥よ」
彼方から声が響いてくる。
いったい、なんなんでしょう。この館内アナウンス。
「もう少し余を楽しませてもらうかのう。
将軍、やはり一働きしてもらうぞ。あの羽虫に、己の剣で刻まれる様を味あわせよ」
「なんのことだ?あっ、黒騎士の将軍が来た!」戦士の方が説明してくれる。
遠くに、身体半分突き抜けた倍の大きさの黒騎士が現れた。
周りに普通の黒騎士を従え、黒騎士どもは死体を床の端から下に叩き落していた。
少しづつ近づいてきた。
大きい黒騎士が、私を指差している。
「ご指名のようですね。あっ、刀、えーと剣返して貰ってもいいですか~?」
「おい、どうした?優男」戦士の方も優男に話しかける。
「・・・」
「・・・?」戦士と二人で首を傾げる。
「・・・」
「ケケ、ケケケケケケケー」
「!?」戦士もびっくり。
病気ですか?引くわー。
ケケケーって、今時ないわ。
あーなんかバック転しながらシュタ!シュタ!と、あっ!黒騎士いる方に走っていった。
借りパクされた!?
大きい黒騎士に刀を渡してる。
普通の黒騎士に対して振りかぶった。
スパーン!黒騎士の首が吹き飛ぶ。「おお!」とか騒いでる。
「優男よ、元からか・・・」戦士の方が話しかけている。
「元からだよ。元々、勇者の時にするはずだったんだが、全く必要なかったからな。
あのゲスのせいで何の成果も上げれなかった。
だが、諦めないでよかったよ。彼女のおかげで、最後にすごい成果を上げられたw」
優男の体色が水色に変わる。
「魔族だったのか」戦士が渋い顔をする。
裏切り者?元々敵側という事でOK。
魔族ね~体色が違うだけにしか見えないが・・・
「くあははははー、小さな羽虫よ。
頼りの装備の力が無くても、こちらの戦いに挑むかのう~くやしいのう~くくくっ」
「卑怯な!!」聖騎士さんが叫ぶ。
「なんてこった」戦士の方も悔しがる。
「あの・・・」
姫みたいな人も、エルフさんに持たれ泣いている。
魔道士さんがこちらを見ている。
皆さんどうしたんでしょうね~と、魔道士さんに首を傾げる。微笑まれる。
「あてがはずれたのう、塵芥どもよ。またも
ほんの少しだけ寿命が伸びただけだった様だのう~。くくっ絶望を余に感じさせよ~」
館内アナウンス、なんか感じ悪いな。しかも勘違いしてるしな。
盛り上がっている所悪いけど、説明しないと。大きい黒騎士に近づく。
「ほほおー怖気つかずに立ち向かうか。素手でどうするつもりだ。
殺してほしいなら、このおまえの剣でせめての慈悲で一撃で終わらせてやろう」
大きい黒騎士が、勝手な事をしゃべっている。
「彼女~、俺あんた気に入ったからさ。
死体になっても、俺が可愛がってあげちゃうから~、首も身体もね~」
優男こと魔族が話しかけてくる。うわ、キモ。ネクロフィリアですか。死刑確定ですか。
「あの~もしかして、
最初にロングソード折ったから、次の剣に能力があると思ってらっしゃるんですか?」
「なんだ、今頃自分の力だとでもいうつもりか。
舐めるなよ。装備の力が全て自分の力だと勘違いしない事だな。
装備が無ければ、ただの人でしかない事を自覚する事だ。うぬぼれが己が首を絞める。
今更遅いがな~ぬはははー、ジワジワと苦しんで死ね!この俺の元きさまの剣でなw」
日本刀を振り上げる大きい黒騎士。
「超必殺!!陽炎剣山!!!」
手の平を地面に付け、叫ぶ!
陽炎のような剣が100m周辺にいる敵の足元に出現し突き刺す。
ブシャー!とあちこちから、また絶叫と共に血煙が上がる。
大きい黒騎士も刀を構えたまま、優男こと魔族もゲスな笑顔のまま、剣に貫かれ絶命。
「なんだと!剣の力ではないのか!?他の装備の力なのか?この羽虫風情がああー」
まだ言ってるよ。アナウンス。
後では歓声が上がっている。うしろを振り向こうと・・・
ガキン!火花が散った気がした。
***
金髪の少女は、装備が無くても大技のスキルを繰り出した。
やはりだ。彼女は全く慌てていなかった。
しかもそんなに大事な装備を、会ったばかりの他人に渡すわけが無い。
しかし、魔道士もびっくりの殲滅力だ。
魔道士の私の立場が無い。
もし、生きて帰れたら彼女とゆっくり話がしたい。
いや必ず帰ってみせる。
一瞬、大きい魔力を感知した?
ガキン!火花が散った!
!?彼女の頭に何か、先程の魔力!付近には誰もいない、遠距離魔法狙撃!
彼女が後にゆっくり倒れる。私には見ている事しかできなかった。防げなかった。
あまりの事に、赤と白のハレーションが頭の中で起こる。
「きゃああ!?」誰かが悲鳴を上げた。みんなが駆け寄る。私も・・・すぐに・・・
身体を自分で強く抱きかかえても止まらない、寒くも無いのに私は激しく震えてしまう。