表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

4.美少女は愛で!悪は砕く!!それがー俺のルゥールだぁ!


「あのー、すいませんが、ここどこですか?」かー」かーー」



 のんきな声が、黒い空間に響いた。全ての時が止まったようなきがする。

戦士は腹の傷に薬草を押さえ込んだまま、脂汗が浮かんだ顔で後を振り向いた。


 金髪の長髪で頭の両横を黒いリボンで結んだ少女が、突然扉から現れ立っていた。

中性的な凛々しい少女の声だ。背は姫さん位だろうか。どうみても子供だ、小さい。

 だが、装備が何とも機能面で疑問視のある服装だ。可愛い顔して破廉恥な装備だ。

胸と股間を申し訳程度で隠した赤い金属の装備だ。太ももまである黒い皮のような薄い

ブーツを装備。黒い手袋、黒いマントを付け、腰にはロングソード一本装備した軽装。


黒い瞳でこちらをキョトンと見ていた。

魔王の声が響き渡る。



「結界に触り、迷い込んだか小さな羽虫よ。面倒だー「うわー!お嬢さん!

 大丈夫ですか。ああー可愛い御御足にこんな酷い傷が、なんてこった!!」

少女魔道士の横にスッと、いつの間にか移動し膝をつきワタフタしている。


「美人のエルフさんの玉の御肌が傷だらけ!!」

今度は、スッとエルフのそばにいつの間にか移動し手を恭しく取る。


「僕には、あなたの全てはわからない。

 でも、あなたの顔が悲しみに曇るのはつらい。可愛い顔に涙は似合わない」

姫さんを助け起し涙を白いレースのハンカチで拭ってあげ渡す。


「悲しみは時だけが癒す。

 ぼくにもあなたを癒し、可愛い顔に笑顔を戻す事ができればいいのに、無力です」

聖騎士にも手を差し出し、もう一つ白いレースのハンカチを出し涙を拭ってあげて渡す。



「あんた・・・」戦士はこの何も知らない少女に、逃げろと言いたかった。

いったい何処に逃げろというつもりだ。


「あなたはどうしてこんな所に・・・」姫さんも突然の事に、正気に戻らされる。


「いけない。どうすれば・・・」聖騎士はもともと自己犠牲が激しい。他人、特に弱者

への理不尽な仕打は見逃せない。今は自分の事は二の次にし、正気に戻ったようだ。

ここで正気に戻ったのは、いい事だったのか。あのまま死ねた方が・・・


ボーゼンとみんなが見つめる中、少女はマントを翻し数歩離れる。



「もうよいかな?不幸な小さな羽虫よ、さあ、数刻伸びた生にー「ヒール!」

また、しゃべりを遮り、みんなに唱える。しょうがないので野郎にも唱える。



「なに!?」戦士の身体も淡い光に包まれる。腹の傷が消えた。ただのヒールでだと。

魔道士も直った自分の足を見ている。他のみんなも完全回復して、驚いている。



「おい。羽虫よー「どうです?気分はよくなりましたか」


「ちょっ、そこー「もうーみなさん美人さんですね。困っちゃうな~」


「・・・「・・・」


「おい、そー「しかし、ここはいったいどこなんですか?」



「グオオオオー、無視するか!この世界の覇者である余を、この羽虫が!!!

 もう面倒だ。全てを殺せ、犯せ、汚せ、晒せ、蹂躙せよ!!!!」




 戦士は時間稼ぎ?に感謝する。全員が冷静になったようだ。

少女のヒールがあれば、もう少しまともに戦えるだろうか。ほんの少しだけ・・・。

いや、ロングソードは装備しているようだが、あまりにも華奢だ。

ヒールの素質があるのだろうが、あまりにも戦闘向きではない。

足捌きや動きが素人だ。そうただの初心者だろう。



「少女よ。これでもう少しマシな死に場所を探せるようになった!感謝する」

ガシャ!ガキン!と盾と剣を構え、最大最高の信頼の挨拶を送る庸兵団長の戦士。


「いやー、こんな所で貴方の様な可憐な少女に出会えるとは、地獄も満更ではない」

少女にウィンクする優男。皆に多種多様な強化魔法を掛け続ける。


「ごめんなさい。こんな所でなければ褒美を、今は私の感謝しか送る事ができない」

少女に姫は申し訳ないと頭を下げる。そして、再度戦いに鼓舞する。全体士気上昇。


「再びの精霊との対話を叶えて頂きありがとうございます。最大の感謝と精霊の加護を」

エルフは少女に、人の子に初めて、自分が死滅した際の精霊の加護の譲渡を契約した。


「あなたは私が必ず守る。これは、最後で、新たな、無二の私の決意。神聖な忠誠!」

少女の前に聖騎士は跪き誓う。例え、死に瀕しても最後の一瞬まで、諦めず信じ続ける。


「・・・ありがとう」ニコッと魔道士は不器用に最大の感謝を込め、笑顔と共に歩む。

全ての魔力、生命力を削っても少女を逃がす為の血路を開く。聖銀の杖の安全弁を外す。


「・・・」姫の生き残った3人の従者はウロウロ。


「あのう・・・」何か言いたそうな少女を後に下げる。まだ言いたそうにしてる。


「これは、俺達の戦いだ」戦士は前に眼を向ける。少女を守るために。




「遺言は終わったか。有象無象の塵芥共!

 勇者たる奴がいないお前達で、どれ程の対抗できるのか試してみよ!身の程を知れ!」


「『クロスセイバースラッシュ』!」聖騎士の先制攻撃!

前衛の聖騎士の構えた剣から、前方に白い光の奔流を伸ばし、横に凪ぐ!!

ドババババババー!と5m程伸び黒騎士達を弾き飛ばした。


「『ウルファング・シールドバッシュ』!」戦士の盾攻撃!

戦士の盾から丸太ほどの気が前方に放出!黒騎士達に風穴を開け数m吹き飛ばす。


「『スロークロック』」格好は派手な優男だが、地味に前方に状態異常を引きを越す。


「水の精霊よ。愚かな者共の足元を戸惑わせよ!」エルフの精霊魔法。

前方広範囲に薄く水の皮膜が張られ、歩みを惑わす。攻撃ができない。


「『シューテイング・ナロー・ダークサンダー』!!魔道士の雷魔法。

エルフとの合体魔法。広範囲に雷が落ち、水の皮膜に通電し、通常以上に広範囲に影響。

直撃し戦闘不能になるモノ、身動き出来なくなるモノが多数倒れる。


「右側の黒騎士2体弱っています。従士隊!抜刀!」「はっ!」姫の指示と従士隊攻撃。

そこを弱っていない黒騎士が従士隊を襲う。


「『ローゼン・スラッシュウイップ』!」姫の鞭攻撃!

従士隊に襲い掛かった黒騎士を攻撃、そこを従士隊がとどめの攻撃!




「『ホーリークロッツシールド』!」聖騎士が全体防御魔法!


倒しても、倒しても、次から次に溢れて来る。黒騎士と野獣型魔物の波状攻撃。


聖騎士の膝が地に着きそうになる。身震いと共に立ち直す。

魔道士の杖が赤く発光している。唱えようとして咽る。口を押さえ、無理に呑み込む音。

従者をかばって、姫がダメージを食らう。膝をつきながら、強化魔法を唱え続ける優男。

精霊にお願いし続けトランス状態のエルフ。

バアン!戦士の盾が木っ端微塵に弾け飛び、戦士自身もダメージを食らう。


 今倒れた黒騎士の後から、また新しい黒騎士が現れる。


いつも、酷い戦闘だった!こんなのばかりだった。いつもボロボロだった。

だが、最後はいたいけな少女を守る戦闘だった。助ける事は結局できないだろう。

こんな死に様なら、先代達に顔向けるだろう。

だが・・・賭けるか。あんな小僧の勇者には使う気にはならなかった。



「聖騎士どの!あとどの位持つ」


「ふっ!幾らでも持たせて見せるよ」ドガガガガ!「『ホーリークロッツシールド』!」

やせ我慢を・・・感謝する。


「俺は、この少女のために、コレを使ってみようと思う」


「それは?」


「庸兵団には色々とまずいものがあるんでね!

 代々コレが受け継がれる。全てを無に帰する為の魔法カード。

 奴が使おうとしたのに似ている。生命力や魔力を全て反転させ身体毎吹っ飛ぶそうだ」


「なっ」


「本当なら魔王にでも使いたかったが、無理そうだw

 だから、これで後の扉を吹っ飛ばせるか試してみようと思う。彼女のために」


「なら・・・私のほうが魔力高い・・・」


「いや、魔道士には少しでも穴が開いた時の事をお願いしたい。

 少しでも開けば、転送可能か。他の方法があるか。これは俺にはできん。彼女を頼む」


「わかった・・・」


「みんな、すまんな。特に姫さんには、国の事もあるのに」


「ふ、愚問ですわね。彼女が居なければ、すでに終わっていた。彼女だけは救います」


皆、こんな状況なのに笑っていた。それはとても清々しく殉教者のように。




***




 扉の前で手持ちぶたさに、金髪の毛先を弄りながら静かに見ていた。


 まじ戦闘すげー。このパーティ強いな。でも難易度高すぎね?

モンスターの湧きというか、レイド戦用じゃないかなこの数と規模。

さっきは美少女がいたから辻ヒールしちゃったけど、良かったのかな。


 すげー感謝されたようだけど・・・あーまた傷付いてる。リアル戦闘だからなー。

押されているよね。ヒーラがいないのはバランス悪いよね。

もう、これギブアップだよね、きっと。

戦闘参加してもいいのかな。身体の調子も試したいんだけどな。聞いてみようかな。


 いま、戦士が後衛にて何か話し合っている。

お姫様のような格好した娘に話しかけて、許可をもらおうと話した。



「え?それはかまいませんが、でも今話し合いで・・・」



よし!許可はもらったし、戦闘を試してみよう。




***




「あのう~、少し戦ってみてもいいですか」



私と同じ背丈の金髪の少女が、私に話しかけてきた。

しかし可愛いのに、この露出過多の格好はいただけませんわ。

お城に帰ったら、似合いのドレスを着させたいですわね。

・・・ふっ、未練ですわ。時間があれば、彼女に何かしらの手紙を持たす事も・・・え?

彼女が戦うのですか、ヒールの援護でもして頂けるという事でしょうか。

それはうれしいですが、今戦士が貴方のために小さな賭けをする所。



「え?それはかまいませんが、でも今話し合いで・・・」



 彼女が、ロングソードを抜いて、トコトコと前に進んでいく。え?え?ええええー!?




***




「たのんだぞ。魔道士どの」戦士は笑う。


魔道士は俯く。

どれ、聖騎士にもうちょっとだけとお礼を・・・ええええええー!?

後にいた少女が最前線に出ていた。



「・・・!?」魔道士も動けないでいた。



少女は、黒騎士に向かってロングソードを振りぬいた。ガキン!

少女のロングソードから盛大な打撃音が響いた。



「あれぇ~?」



彼女のロングソードは折れて、折れた剣の先は上空にキラキラと舞っていた。



「角度が悪かったかな?」



どこか、のんきな少女の声に「なんでやねん」と心で戦士はつぶやいたとか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ