金木犀
どこにいるんだろう?
そんな不安がぼくの心に過っても
僕には確かな自信が残っていた、
取り敢えず僕はバスの停留所へ向かった
急いでバスに乗り込むと、窓から君と
よく行った公園やインドカレー屋さんが見える
バスは映写機のように思い出を見せてくれた
それから僕はホオスギ駅前で降り
30分かけて、その場所へ向かう。
ここでトラブルが発生した、
なんと電車が人身事故で遅延しているという
僕は一抹の不安を抱えながら
靴ひもを結んで走り出した。
一秒でも早く君に会いたい、ただそれだけだ。
途中で何度も靴ひもを結び直して一直線に向かった
前から君が行きたいって言って
行かせてあげれなかった場所
それが君と僕を結びつけるものだ。
ネリネの花畑に君はいた
僕はすぐに君の名前を呼びたかった
でも出る声は小さくか細くなって
すると君は「こっちの方こそ、ごめんね」と呟く
君は謝らなくていいのになんでいつも.....
僕は少し大きい声で
「君自身を隠さないで僕に真っ直ぐに
向き合ってほしいんだ!」
と君の目と向き合って言った。
すると君の目から涙が出てくるのが見えた
僕は言いすぎたと思って「ごめん」と呟いたが
彼女の涙は悲しみとは違い、嬉しさの涙だった
君が初めて僕に素を出してくれた気がした
僕が「一緒に帰ろう」と呟くと
彼女は心の底から微笑んで頷いた。
帰り道、僕たちは他愛のない話で笑って
充実した時間を過ごした。
その日から僕と君のあいだには
何気ない日常を彩るBGMが流れ続けている。