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0と1の世界でブラックシープ共は夢に溺れる  作者: 西順
第一章 異分子の台頭

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別の生き物

「う〜ん……、この怨霊糸って使えるの?」


「使えるんじゃない? 霊糸だから、錬金術師系統と呪術師系統両方で使えると思うわ。さっき着ても大丈夫だったし、VIT的には問題ないでしょうし」


 特に感慨もなくそう言う事を口にしないで欲しい。身に着けるのは僕になるんだから。


「この怨霊糸って、『浄化(ピュリファイ)』で浄化出来ない?」


「どうかしら? 『浄化』」


 とクロリスが怨霊糸に『浄化』を唱えたものがこちらです。


『精霊糸』

レア度:4 品質:☆☆☆☆

効果:この世界を動かす精霊たちとの交信に使われる霊糸。装備するとMNDに上方補正が入る。


「精霊……、ってどんな存在?」


 図書館で、大精霊がいるとかいないとかって探検家の日誌に書かれていたけれど。


「精霊は、別名マクスウェルズと言って、魔力(MP)の最小単位とも言われ、様々な現象を司る存在よ。これが魔に落ちるとマクスウェルの魔とかマクスウェルの悪魔と言われるの」


「マクスウェルズねえ。大精霊は違うの?」


「大精霊はラプラシズね。1体1体だとラプラスと言うわ。シャムールからの指示を受けて、それをマクスウェルズを使って実現させていると聞いた事があるわ」


「へえ〜〜」


「知りませんでした」


 僕が感心していると、グレイとリバーシをやっていたトンブクトゥがぼそっと呟いた。【世界観察者】は知っていないといけないんじゃないかなあ?


「この世界に未知が溢れているから、ワタクシは【世界観察者】をしているんですよ?」


 どうやら顔に出ていたらしく、トンブクトゥが、無知は恥ではない。と反論してきた。別に責めているつもりはないんだけど。


「まあ、でも、精霊糸がMPと繋がっていて、これを内包した素材なら、MPで動かしたり強化したり出来るって事だよね?」


「そうね」


 トンブクトゥの事は一先ず置いておくとして、この精霊糸は欲しいな。MPは使うけど、防具の強化に丁度良い。ちらりとクロリスを見れば、それだけで僕の意図を汲み取ってくれたらしく、リビングアーマーの素材と、スケルトンの骨を大量に出してくれた。


「まだまたあるわよ」


「それは嬉しいけれど、ちょっと休ませて。スライム核を大量に作るのにMPを使い過ぎたから、MP回復させたい」


「先に『魔力譲渡(MPハンドオーバー)』が必要ね」


 とクロリスからMPを受け取りながら、僕が望む防具に必要な物を考える。スライム核は絶対に必要でしょう? 精霊糸も欲しいかな? 半呪術的素材である怨霊糸で動かせていたって事は、コバルトやカルシウム、燐も使えるか? でもコバルトは毒性があるって話だしなあ。でも鉄よりも硬度はある。粉塵にならなければ問題ないのかな。作業中はマスク必須か? 量も関係しそう。量と言えば、


「スライム粘液どうしようか?」


 スライム核と同量採取したから、3000個あるんだよねえ。クロリスの『ストレージ』を圧迫する事はないだろうけど、何かに使いたいところだ。『魔力譲渡』をしてくれたクロリスに何とはなしに尋ねる。


「私に聞かれても。あんなの防具にしたら、身体中ネチネチになるんじゃない?」


 確かに。……確かに?


「『乾燥』を掛ければ、ネチネチじゃなくなるんじゃない?」


「ああ、そ〜〜れは、……あるかも?」


 とりあえずアイテムボックスから鍋を出し、その中に溢れそうな程のスライム粘液を入れて貰った。それを錬成陣の上に置き、


「良し! 『乾燥』!」


 と『乾燥』を掛けたのがこれ。


珪素(けいそ)

レア度:1 品質:☆☆☆☆☆

効果:大地に多量に存在する半金属。水晶やガラスの材料。


 スライム〇〇ではなく、灰白色の粉末が現れた。


「珪素?」


「珪素!? スライムって珪素で構成されていたんですか!? まさかの珪素(シリコン)生命体!?」


 僕よりもトンブクトゥが凄く驚いている。珪素生命体って何?


「はっ!? すみません! まさかスライムが珪素生命体だったとは思わず! ワタクシの中のSF魂が踊り出してしまいました!」


 それは珪素生命体の説明になっていない。と僕がジト目を向ければ、トンブクトゥが慌てて説明してくれた。何でも、普通の生命体は有機生命体と言って、炭素を元にして作られているけれど、それとは別、珪素(シリコン)を元に作られた生命体と言うのが存在するのではないかと、トンブクトゥたちが住む世界では妄想されていたそうだ。それがまさかこっちの世界にスライムとして存在していたとは思わなかったらしい。


 トンブクトゥの見立てでは、スライムはどうやら二酸化珪素で出来ているようだ。酸素(空気の1要素?)が抜けたのは、錬金術がそう言うものであるかららしい。先程の燐も、骨では普通、燐酸として存在しているんだそうだ。錬金術では素材に何かしら手を加えると、酸素が抜け易いらしい。


 二酸化珪素は、自然界では石英などと言った形で存在し、マグマなどの主成分でもあるそうだ。酸素を珪素が互いに共有する事で、粘性が高くなり、その最高峰がガラスであるそうだ。


 トンブクトゥ曰く、ガラスは粘体であるそうで、時間経過で形が崩れるそうだ。対して水晶は結晶であり、その形を保持し続けると言う違いがあるらしい。


「防具には向かなそうですね」


「いえいえ、シリコンならばゴムのような弾性を持たせる事が出来るので、防具の留め具や関節部などで使う事が可能だと思いますよ」


 成程、そう言う使い方も出来るのか。


「結構使い道ありそうです?」


「はい! もしコバルトを扱うのでしたら、ガラスとして目を保護したり、シリコン製の手袋で、直接コバルトに触れないようにする事も可能かと」


 成程。普通の手袋だと、糸と糸の隙間からコバルトに触れてしまう可能性とか出てくるのか。あとはマスクをどうするかだな。


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