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0と1の世界でブラックシープ共は夢に溺れる  作者: 西順
第一章 異分子の台頭
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ポーションを作ろう

 錬金術師ギルドでは、お金を払えば、必要な素材が買えるうえ、自身の工房を持たない錬金術師の為に、工房が用意されており、そこで様々な生産が出来る。


「ふう〜〜」


 ギルドの受付で工房の1つを借りて、販売スペースで薬草と、出来たポーションを入れる為のガラス瓶を買い、工房に籠もり、薬草と備え付け水道の水を使い、せっせと初級ポーションを作り続けた。工房内の時間は2倍速なので、十分に時間が使えてありがたかった。


『初級ポーション』

レア度:2 品質:☆☆☆☆☆☆☆☆

効果:飲むまたは傷に掛ける事で、HPを58回復させる。


 それで出来たのがこれだ。探究者になった事で『鑑定』が『鑑識』に変化し、レア度や品質などが見れるようになった。トンブクトゥの話では、初級ポーションのレア度は2で固定、品質は☆10が最高品質だそうだ。


「いや、品質☆2の水道水と品質☆5の薬草で、どうして品質☆8の初級ポーションが作れるんです?」


 トンブクトゥがこの結果に疑問を呈する。


「どうして?」


 そう言われても意味が分からん。


「これは検証班が何百回と検証した結果ですが、ポーションの品質は薬草や水の品質に依存し、薬草か水、そのどちらか高い品質の方の品質を上回る品質のポーションは出来ないはずなんですよ」


「それは、薬草と水を良品質で揃えても、そうなるんですか?」


 良品質の薬草と良品質の水を用意すれば、更に良品質の物が作れると思っていたんだけど。


「最高品質の☆10の浄化水と、ハーヴェストトータスから稀にドロップする☆10の薬草を使っても、初級ポーションの品質が上限突破する事はありませんでした」


「はあ、そうなんですね。…………上限突破?」


「品質の☆は、もしかしたら10以上があるのではないか? との推測から、検証班が検証したのですが、どうやっても、☆10は超えなかったので、初級ポーションだけでなく、他のアイテムや武器防具も、品質が☆10を超える事はない。またはまだ実装されていない。との結論に至りました。分かりますよ? ゼフュロスさんも創意工夫をされていましたから。でも……」


 良く分からんが、頑張って検証した人がいるようだ。でも品質は☆10まで上げられるのか。まだ工夫する余地はありそうだ。


 これまで僕が試行錯誤していたやり方は、トンブクトゥが工程を飛ばすと低品質になると言っていた事から、なら逆に工程を増やしたらどうなるか? と考えて、図書館でポーションの作り方に関する書物を読み漁ったうえでのやり方だ。


 図書館の錬金術コーナーにあった本は、だいたいが調薬師のやり方や、錬金術による簡単な製作法が載っているだけだったが、その中に1冊だけ、とある錬金術師が書いた、ポーション作成記録と言う名の日誌に載っていたやり方が面白そうだったので試してみただけだ。


 その日誌によると、その錬金術師は錬金術師ギルドお付きの錬金術師だったらしく、日々良品質なポーションの納品を求められていたそうだ。


 そのやり方は、水道水を蒸留させて蒸留水を作り、薬草は根まである☆5以上の薬草を使うと言う事だった。


 水道水はそのまま使うには雑味があるそうで、それを蒸留すると、レア度3の蒸留水となる。蒸留器は工房に備え付けられているので、それで蒸留した。


 薬草(プレイヤーは葉の多いタンポポ? だと言っている)は☆4以下になると、薬草に傷が付いていたり、根元で刈り取られ(薬草は根が太く長い)て根っこが付いていない物など、状態が完全でない物となり、これを使うと、薬草本来の薬効を発揮させられないそうだ。ただ、錬金術師ギルドに納品される薬草は、☆5以上が条件となっているそうで、確かに、冒険者ギルドや街の露店などで売っている薬草は、☆4以下が殆どだったなあと振り返る。その分お高いのだが。


 薬草は錬金術の『乾燥』のスキルを使用する前に、しっかり丁寧に蒸留水で洗い、汚れを取り除く事。そして水気を綺麗な布でしっかり丁寧に拭き取る事。ここで水気が残っていても、品質と薬効が下がるそうだ。実際に試した結果、水気が残っている薬草は、水気が残っていない薬草よりも乾燥に時間が掛かり、品質と薬効(回復量)が下がったので、日誌に間違いはないようだった。


 薬草を乾燥させる時は、完品の薬草を用いる事。洗っている時に傷が付いたり、乾燥させる前に切ったりした場合も、ポーションの品質が下がるそうだ。これも試してみた結果、品質、薬効が下がったので間違いない。


 そしてここが重要なのだが、『乾燥』でカラカラに乾燥させた乾燥薬草は、全部を薬研(やげん)で粉末にするのではなく、根、花、茎、葉で丁寧に切り分ける。薬草に使うのは、この葉の部分だけだ。根付きの薬草を使うのだから、葉、花、茎、根まで全て使うのかと思うだろうが、根は使えるが、粉末にした場合、味に雑味が混じり、薬効は下がらないが、品質は下がると記載されていた。花や茎は使わない。実際、葉も根も粉末にした薬草から作ったポーションと、葉だけを粉末にしたポーションでは、葉だけポーションの方が確かに不味くなかった。根も含んだやつは、苦くなるだけで不味くないけれど、決して美味しくはない。


 そして蒸留水と、その5分の1の量の薬草粉末を錬成陣の上の鍋に投入し、MPを使って2つを錬成させる。すると沸騰したポーション液が出来る。これで完成かと言えば違う。更に別の鍋に布を張り、これでポーション液を()し、布を外したら、外部からの影響を受けないようにフタをして、急速冷却する。工房には冷蔵庫があるのでそこに突っ込むべし。と日誌には書かれていたが、僕はクロリスに頼んで冷やして貰った。冷蔵庫のポーションとクロリスに冷やして貰ったポーションでは、クロリスが冷やした方が、品質、薬効共に上がっていたので、ここら辺が役得だったかも知れない。


 何にしても、僕のポーション道はまだまだ道半ばだ。


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